つくる。デモする。ふれる。クリエイターのためのプラットフォーム「DemoDay.Tokyo」(前編)

クリエイターが集い、自らの作品をデモンストレーションする「Demo Day」カルチャーがNYを中心に盛り上がりを見せています。一方で、デザイナーやプログラマーなどのクリエイターが世間からは認知されないという課題も生まれています。そんな状況に疑問を投げかけ、クリエイター自身が主体となって発信できる場所として、新しいプラットフォーム「DemoDay.Tokyo」が始まります。ファッション、映像、音楽など、ジャンルを問わずにデモンストレーションが行われた第一回目の「DemoDay.Tokyo #0」を、PARTNERの学生ライター・神谷 郁が取材してきました!

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「Demo day」ってどんなもの?
そのタイトルの通り、今回の「Demoday.Tokyo #0」は、一人のクリエイターが10分という持ち時間の中で自らのアイデアをデモンストレーションするというもの。
完成・未完成を問わず、実験的なプロダクトや、これから拡張したり、進化していく可能性を持った作品が多いと感じました。



自分一人の世論調査「リトル・ビッグ・データ」
マシュー・ファーゴ


ブログやSNS、誰にも見せない日記など、誰もが何かしらの形で日々の記録を残しています。プログラマー・翻訳家として幅広く活動しているマシュー・ファーゴさんの、少し変わった日々の記録が、この「リトル・ビッグ・データ」。
彼は”自分一人の世論調査”をテーマに、「その日履いていたパンツの色」「その日のヒゲの長さ」「その日の気分」など、日常のちょっとした事をデータとして記録し続けました。
集め続けたデータを解析したところ、水色のパンツを履いていた日は、9割ハッピーな気分で過ごせていたことが分かったそうです。



居住空間に溶け込むプロダクト「Life Space UXという新しい挑戦」
戸村朝子(Sony)

天井など何にでも取り付けることができ、光と音が同じ場所から降ってくるような感覚を味わえる「LED電球スピーカー」、壁が巨大なスクリーンになる「4K超短焦点プロジェクター」、“魔法のランタンスピーカー”として話題になった「グラスサウンドスピーカー」など、Sonyによる「Life Space UX」は、既存の居住空間に溶け込みながら、その価値をより高めていくようなプロダクトを次々と生み出しています。
会場では実演も行われ、360°全方向に音が広がっていくスピーカーなど、これまでになかった体験をする事ができました。

Life Space UX 公式サイト:http://www.sony.co.jp/Products/products-for-life-space/


クリエイターのコミュニティをつくる「ALGO.JS」
林 久純


  • ▲粒子の数などを打ち込むことで、このような表現が生み出される

作ったものを気軽にインターネットで公開し、それを見た人が刺激を受けてまた新しいものを作る。「ALGO.JS」は、そうしたコミュニティーを作ることを目指して開発されたJavaScriptフレームワークです。
プログラムを用いたアニメーション表現を従来よりも簡単に作ることができるため、制作の敷居を低くしてクリエイターのコミュニティーが広がることを狙いとしています。
このように、表現を生み出すためにプログラムを用いる「クリエイティブコーディング」はVJやアートと近い領域にあり、美大生とも近い存在であると言えそうです!


ファンタジックな世界観を生み出す「5次元的映像/音響作品」
藤元 翔平 & 國本 怜

音楽からリアルタイムで映像を生成し、それを鏡に投影することで独自の世界観を生み出す「5次元的映像/音響作品」。
作曲家として活動している國本さんと、エンジニアとして活動している藤元さんの共作で、向こう側にもう一つの世界があるような鏡の性質に惹かれ、その性質が“私たちが住んでいる四次元の他に、もう一つの次元、世界がある”という五次元的な考え方とリンクしていると思ったことがこの作品の制作のきっかけになったそうです。


制作活動の中から生まれたアイデア「ファイルフォーマットをつくる」
比嘉 了



traders by Rhizomatiks (realtime visualization of Tokyo Stock Exchange)

インスタレーション、リアルタイム舞台演出、ライブパフォーマンスなど、プログラマーとして世界的に活動している比嘉さんは、プログラムを用いた映像作品を制作していく中で、そういった制作を素早く、スムーズにするためのファイルフォーマットを作ろうと考えついたそうです。
デモンストレーションではTwitterや株価のデータをリアルタイムで取得し、それを元に制作した映像などが紹介されていました。


誰でもIoTマスターになれる「remo-on」
PARTY


近年注目を集めているIoT(Internet of Things)。スマホから家の鍵を開けられる「qrio」などが話題を集め、スマホ一台で何でも操作できる時代が近づいています。
この「remo-on」は、IoTが広まることで、スマホを持っていない高齢者などが取り残されてしまうという課題から生まれたプロダクト。
テレビやクーラーなどのリモコンを自由にIoT化できるというもので、リモコンのボタンを押すだけで元気であることを家族に知らせたり、自宅の照明も操作できるといった活用方法が紹介されていました。

また、デモンストレーションの間に行われたパートナー紹介では、アートに特化したハッカソン「3331α Art Hack Day 2015」(http://arthackday.jp/)、お菓子のスタートアップとして知られる株式会社ベイク(http://www.bake-jp.com/)も登場。
ハッカソン、お菓子と、一見すると美大生とは異なるジャンルのように感じられますが、どちらも「アート」や「デザイン」と密接な関わりを持って活動されています。
新しいことに触れてみたい美大生は、ぜひチェックしてみてください!

デモンストレーションの中で、「5次元的映像/音響作品」を制作した藤元さんは“エンジニアとして活動していると、制作しても自分の名前が表には出なかったりする。そういったしがらみに捕われず、自分の作品は自分の名前で世に出していきたい”と語っていました。
現代のクリエイターが、自身が携わった作品を“自分が作った”と言えない状況に陥ってしまうことは少なくありません。
そういった現状を覆す「DemoDay.Tokyo」のようなプラットフォームが、これから広がっていくのではないでしょうか。

後編でも様々な作品をご紹介させて頂きますので、お楽しみに!
(後編に続く)

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DemoDay.Tokyo
NYを中心に盛り上がりを見せている「Demo Day」カルチャーを元にしたイベント。
広告、アート、音楽、映像、ゲームなど、登壇者の領域にはこだわらず、
クリエイター自らが作品をデモンストレーションし、その才能を認知させることを目的としている。

モデレーター:清水幹太(PARTY)・塩谷舞
公式サイト:http://demoday.tokyo/
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執筆 神谷 郁 
東京工科大学デザイン学部4年生。フリーマガジン「PARTNER」の編集を経て、今はUI/UXデザインを日々勉強中です!
以前に書いた記事:
今、デザインが重要視される理由とは?「UI Crunch Under25」に参加してきました!

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本記事の後編はこちら
つくる。デモする。ふれる。
クリエイターのためのプラットフォーム「DemoDay.Tokyo」(後編)

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