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1. ボッティチェリ展 @東京都美術館
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イタリア美術ときいて真っ先に頭に浮かぶのは、やはりイタリア・ルネサンス期の作品群だろう。レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロ、ミケランジェロをはじめとする数々の優れた芸術家たちが、15世紀末から16世紀初頭にかけてフィレンツェに相次いで誕生した。当時共和国の実質的支配者であったメディチ家の庇護もあり、フィレンツェがいかに豊かな芸術環境にあったかがうかがえる。
そんなフィレンツェで生涯活動した「フィレンツェの画家」であり、ルネサンスを代表する画家の一人が、今回の主役ボッティチェリだ。
皮なめし職人の息子として生まれたボッティチェリは、早くから絵画に関心を寄せ、15歳のときにはフィリッポ・リッピの工房で修行を始める。25歳には自らの工房を構え、公的な注文を受けるようになる。
代表作である《春(プリマヴェーラ)》や《ヴィーナスの誕生》など神話画の印象が強いボッティチェリだが、実際には大型の祭壇画や個人のための肖像画まで幅広い主題の絵画を手掛けている。その洗練された画風は、フィレンツェの支配者メディチ家をはじめ、教養あるパトロンたちに大いに好まれた。
ボッティチェリの作品の多くは板に描かれ、非常に繊細であることもあって、これまでまとまった作品数の来日は叶うことがなかった。2016年、日伊国交樹立150周年という特別な機会だからこそ叶った、貴重な展示であることは言うまでもない。ボッティチェリ本人の初期から晩年にわたるまでの作品20点に加え、その師匠であるフィリッポ・リッピ、そして弟子であるフィリッピーノ・リッピの作品も交えた約80作品をじっくり堪能できる機会となりそうだ。
パリスの審判 / Sandro Botticelli e bottegaサンドロ・ボッティチェリと工房 / ヴェネツィア、チーニ邸美術館、ジョルジョ・チーニ財団 / Foto Matteo De Fina. Tutti i diritti riservatiFondazione Giorgio Cini onlus
ルネサンス期の作家は、レオナルド・ダ・ヴィンチにしてもラファエロにしても、遠近法や明暗法を駆使した自然主義的な表現的にむかっていた。対照的に中世美術を思わせる装飾的・象徴的な様式を貫き、独自の絵画世界を作り上げたボッティチェリの作品をぜひ堪能してほしい。
特設Webサイトでは作品の解説が丁寧に掲載されている。
知的好奇心の強かったボッティチェリ。加えてテーマは宗教画であるから、あらかじめ知っておかないと気づかない工夫や表現がたくさんある。ぜひ、予習をしてから美術館に足を運んでみてほしい。
▼開催概要
ボッティチェリ展
会期:2016年1月16日(土)〜4月3日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
詳細:http://botticelli.jp
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2. 特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」
@東京都江戸東京博物館
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同じ時期、東京都江戸東京博物館ではイタリアが生んだ天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会も開催される。自然観察を通じて真理に近づこうとしたレオナルドの挑戦を、日本初公開の絵画《糸巻きの聖母》(バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト)と直筆ノート『鳥の飛翔に関する手稿』(トリノ王立図書館)を中心に紹介する。
レオナルド・ダ・ヴィンチというと、《モナ・リザ》や《最後の晩餐》、《受胎告知》を始めとする宗教画などが有名だが、今回注目される2点は「見えない世界を探る(beyond the visible)」ために、レオナルドが行った人間観察・自然研究が集約された円熟期の傑作という意味で、レオナルドを知る上で欠かせない重要な2点だ。
『鳥の飛翔に関する手稿』には、人間の飛行に関する実験方法から実現の予言にいたるまで(生きた鳥の生態や機械の部品の観察を含めて)、芸術、科学に関する論述、自然、建築、機械、水力学、科学技術に関する研究が、図解入りで収められている。ここには、たとえ自然や神に挑戦し、対立することになろうとも、自然によって与えられた人間の限界を克服するための装置を設計し、人間が科学技術に託した大きな夢、すなわち空を飛ぶという夢が描き出されている。
一方、《糸巻きの聖母》は、15点にも満たないレオナルドの真筆絵画の1つだ。しかもレオナルドが生きた時代に最も高く評価された作品の1つであるというだけでなく、まさに「装置としての絵画」であり、哲学的な意味での先駆的作品と言える。彼は、本作において、人類の運命や救済といったものも意識しながら、目に見えるものの彼方のさまざまな考察、思念、内的感情との間で交わす精神的会話を形にすることを目指していたことがわかる。
イタリア美術を知る上で欠かせないレオナルド・ダ・ヴィンチの作品、この機会に逃さず観ておきたい。
▼開催概要
特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」
会場:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室
会期:2016 年1月16日(土)〜4月10日(日)
開館時間:9:30〜17:30 (入館は17:00まで)
※毎週土曜日は9:30〜19:30(入館は19:00まで)
詳細:http://www.davinci2016.jp/
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3.カラヴァッジョ展 @国立西洋美術館
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さて、続いて紹介するのは続く16世紀後半から17世紀前半にかけて活躍した画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。前述の通り巨匠を多く排出しているイタリアですら、ユーロ導入前の最高紙幣の10万リラ札には、カラヴァッジョの肖像と《女占い師》が使われていたほど、イタリアが誇る大画家である。
カラヴァッジョの画法は、目の前のモデルを忠実に写すリアリズム、素描を行わずカンヴァスに直接描く手法、モチーフの半分を強烈な明暗で影に隠す明暗法(テネプリスム)が特徴だ。加えて、直接観る者に訴えかけるヴィヴィッドな主題解釈といった点で、ルネサンス以来の規範を打ち破った変革者のひとりとして注目され、新時代・バロック美術の創始者としても数えられている。
その新しさから、当時、イタリアだけでなくヨーロッパ各地の画家たちが熱狂的に継承した。継承者たちは「カラヴァジェスキ」と呼ばれるほど。
今回の展示では、38歳で没したカラヴァッジョの貴重な現存60点強のなかから、本人の作品約10点、そしてその継承者カラヴァジェスキの作品を合わせて約50点が展示される予定だ。
カラヴァッジョのメッセージが、その継承者たちにどう受け継がれたのだろうか。ここ数十年全世界を席巻している「カラヴァッジョ・ブーム」、その理由をぜひ自らの目で確かめてみてほしい。
▼開催概要
カラヴァッジョ展
会期:2016年3月1日(火)〜6月12日(日)
会場:国立西洋美術館
開館時間:9:30〜17:30 ※金曜日は20時まで
休館日:月曜日(3月21日、3月28日、5月2日は開館)、3月22日(火)
詳細:http://caravaggio.jp
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4.日本イタリア友好教育美術展 @銀座アートホール
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さて、最後に紹介するのは、イタリア美術年とも思える節目に、イタリアの初期ルネサンスの聖地と呼ばれるシエナの美術家と作品を日本に招き、美術文化交流を行う展示『日本イタリア友好教育美術展』だ。
シエナは、イタリアトスカーナ地方にある都市。
初期ルネサンスの聖地とも言われ当時芸術の中心地でもあった。シエナ美術館には、ルネサンス期の重要な画家、ドゥッチオやシモーネ・マルティーニなど、初期ルネサンスを代表する美術家の絵画や彫刻が多く所蔵されており、単に企画展示という形での使用は不可能であった。
その様なシエナ美術館の固く閉ざされた門戸を開いたのは、2009年同美術館で開かれた「日伊芸術の伝統と現代」展で、多くの日本美術作品が初めて展示されたことだった。
また、当時の出展者(日本美術家たち)は美術展のほか、ワークショップや現地の子供との合同制作などの社会教育にも熱心に取組んだことから、同様に子供への美術教育に力を注ぐイタリアの人々は、彼らの行動に感銘を受けた。以来、日本とイタリア美術による美術教育の交流を展開し、両国の親交を一層深めていくようになったのである。
「教育」を基軸に始まった美術交流を背景に、今年3月に再び「日本イタリア友好教育美術展」と題して、子供への美術教育に関する教育者向けの美術レクチャーも伴う展示が開催される。
美術を学ぶ人すべてに開かれたこの展示、貴重な作品群を観に、ぜひ足を運んでみてほしい。
▼開催概要
日伊国交樹立150 周年を記念して
日本イタリア友好教育美術展
日本とイタリアの美術家との美術文化交流
会場:銀座アートホール(入場無料)
会期:2016年3月8日(火)〜13日(日)
時間:11:00〜17:30 ※最終日は14:00 まで
主催:一般社団法人世界芸術文化交流会
協力:プリズマ・マルチメディア協会
後援:シエナ美術館/聖マリア・デッラ・スカラ救済院/カゼリ高等学校/公益財団法人日伊協会(予定)
運営:株式会社フィネス(主催WACより運営を委託)
▽本展に伴うイベント
「知られざるルネサンス(仮)」
美術教育に関する教育者向け美術レクチャー
日時:2016年3月12日(土)13:30~15:00(予定)
講演者:ピエールジャコモ・ペトリオーリ博士、ダニエル・サッソン博士
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