たった7時間で家を設計してきた -即日設計レポ-

はじめまして、仙台で活動する建築学生の団体、仙台建築都市学生会議です!毎年私たちは、たった1日で建築をつくる「即日設計」という企画を行っていて、今年も当日発表されたテーマを元に、メンバー達が即日で建築をデザインしました!今日はそんな私たちのイベントの様子をお伝えします。

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え、オネエの家を造るんですか……??


  • まずはラフスケッチからはじめる。


  • とにかくアイデアを書きまくります。メモやスケッチなど。

建築に馴染みのない方からすると、「即日設計」とは……?という感じだと思いますので、まずは簡単に内容の説明をしておきましょう。

「即日設計」とは、私たちが毎年12月にメンバー内で開いている企画で、与えられたテーマに従い「たった1日」で建築を作ってしまおう!という内容です。しかし必要な事はたくさん。一から建築をデザインして、最後は図面や模型を使ったプレゼンテーションをしなければいけません。

多くの建築学生にとっては、限られた時間内でコンセプトをまとめたり、模型や図面を作ったりというのはとんでもなくハードですが、一方でスキルアップができたらいいなぁ……なんて思ったり、いや、やっぱり思わなかったり?

さて、そんな今年の課題名は「20house」。縦・横・高さの合計が20mとなるような住宅を作るというものでした。もちろん、ただ住宅を造るだけでなく、そこにはきちんと住む人の生活が反映されなければいけません。今回住人として設定されたキャラクターは様々で、消防士の男性や彫刻家の女性といったものから、果てはタカラジェンヌやオネエの華道家まで……。この中から一人が「くじ引き」で各チームに割り当てられます。

特に難しいのがオネエのキャラクター。最近でこそ「オネエタレント」がテレビに出るのも当たり前ですが、「オネエ」な方々に提案する建築をつくるためには、彼らの普段の生活についてよく知らなければいけません。さて、一体どんな建築をつくればいいのでしょう……?

なお、各チームに与えられた時間はたったの7時間。どんな人がそこに住もうとも、時間内にプランを練り、建築に必要な機能を設定して、形としてまとめなければいけません。

だいぶ時間があるようにも見えますが、やってみると本当に大変です。それはもはや闘いと呼ぶにふさわしい。


あなたのまわりの「ケンチク」のつくりかた

ところでみなさん、身の回りの建築がいったいどのようにデザインされるのかご存知でしょうか?
せっかくなので、今回の即日設計を例にそのおおまかな流れをご紹介しましょう!

まず建築家がやることは「条件整理」です。今回の場合は、どんな人が住むのか、高さなどに制限がないのか、といったルールを整理して、必要な機能づくりの参考にします。特に住宅において大切なのが、どんな人が「どのような生活」をしているのかということ。というわけで、どのチームも決められた「住人」の生活を一生懸命思い浮かべながら、設計する建築に必要な機能について考えていきます。

建築に必要な機能がある程度決まると、次はプランニングがはじまります。こんな部屋が必要、この部屋はいらない、この部屋同士は隣り合わせ……。というように、使う人の様子を思い浮かべながら間取りを考え、一方で3次元方向にもプランニングをしていきます。この時、外観や中の細かいデザインについてもコンセプトを立てて決めていきます。たくさんの必要な要素が合わさって、ひとつの具体的な形にまとまっていく瞬間です。

最後はアウトプット。実際に形になった建築を表現します。ある人はパースを描き、ある人はCADソフトで図面を作ったり、またある人は模型を作ってディテールを表現したり。ありとあらゆる方法を使って少しでも多く建築作品の形を見せていきます。今回の場合も、時間がない中で模型や図面などを仕上げていきました。


  • ホワイトボードでプランニング中。

  • 模型だってちゃんとつくります。


模型が間に合うか……!?でも完成!!

今回の制限時間はわずか7時間。どのチームも非常に苦戦しつつなんとか作品を完成させました。中にはギリギリまで模型が完成しなかったチームも。さて、この限られた時間の中で一体どんな作品が出来たのでしょう……?いくつかご紹介します!


  • 一生懸命プレゼンしてます。

  • 角材で作られた構造模型。かっこいい!

こちらのチームは消防士のために、家の中でも活発で自由な暮らしが出来るよう、アスレチック型の住宅を大胆にも提案していました。一部の床を意図的に抜くことで自由に空間を使えるようになるんだとか。なんだか毎日トレーニングできそうですね。


  • 強引なセールストークで聴衆にアピール。

  • 内部や外部に至るまで、きちんと表現されています

一方このチームは牧師のための住宅。外壁には十字架の形をしたスリットが入っていて、光が差し込むと部屋の中に十字架が現れるという凝った作品です。と思いきや、実はオーガニックな家庭菜園があったり、ストレス解消(?)のためにサンドバッグがあったりと、なんだか色々なギミックが。
ともあれ住んでいて楽しそう。


  • 問題作の審議中。

  • 図面。CADソフトさまさまです。

そんな中、見事メンバーの投票によって優勝となった作品がこちら。華道家であり「オネエ」である住人のための住宅で、昼間は華道教室として使える和室が、夜は畳をずらすことで地下にあるバーへの入り口に変身する…というトンデモ作品。いやぁ、なんというか条件の難しさがよい方向に転がった作品なのでしょうか。


といった感じで無事に終わった即日設計。建築学生の私たちとしてはいいトレーニングになったな!と感じる一方で、もっと表現のスキルを上げなければいけないなと思うこともしばしばでした。短い時間の中でもしっかりとデザインして作品の形をまとめるという難しい内容ではありますが、よい経験になったのではないでしょうか?

また、今回の記事を通じて、建築に普段なじみのない方々にも「建築学生のようす」が伝わればいいなと思います。課題・作品作りで苦しんでいるのは決して美大生・芸大生だけではありません!私たち建築学生も仲間ですよ!(G)


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なお、仙台建築都市学生会議では、毎年卒業設計の日本一を決めるイベント「せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦」を主催しています。第16回を迎える今回は、審査員長に世界的にも有名なSANAAの西沢立衛さんをお招きし、新国立競技場コンペで話題にもなった、伊東豊雄さん設計のせんだいメディアテークで開催します。ということでみなさま、ぜひこちらにも足をお運びください!


▼開催概要
せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦2016

日時:3月6日(日)15:00〜(公開審査)
3月6日(日)〜 3月13日(日)10:00〜19:00(展示期間)
   (ただし初日は9:00から、最終日は15:00まで)
会場:せんだいメディアテーク (〒980-0871 仙台市青葉区春日町2-1)
審査員:*敬称略 
    西沢立衛(建築家、SANAA、横浜国立大Y-GSA教授、審査員長)
    手塚貴晴(建築家、東京都市大学教授)
    田根剛 (建築家、DGT.)
    倉方俊輔(建築史家、大阪市立大学大学院准教授)
    成瀬友梨(建築家、成瀬・猪熊建築設計事務所)
    小野田泰明(建築計画者、東北大学大学院教授)
    福屋粧子(建築家、東北工業大学准教授)

大会公式サイト:http://gakuseikaigi.com/nihon1/16/

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GROUP WRITER

仙台建築都市学生会議 / SSNAU

仙台市周辺の大学で建築・都市などを学ぶ学生による有志団体「仙台建築都市学生会議(学生会議)」です。現在は東北大学、宮城大学、東北工業大学、東北学院大学、宮城学院女子大学などの学生を中心に約100名程度の学生が在籍しています。主な活動としては毎年3月にせんだいメディアテークを中心として行われる「せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦」の運営や、建築家を招いてのレクチャー開催などの企画があります