箱根駅伝とロボコンから、美大対抗コンペの提案

新春TV放談は今年も面白かったけど、ほとんどフジテレビを応援する番組に2年連続でなってた気がする、フジっ子の手羽です。

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1月1日、2日とつい見てしまった番組は、箱根駅伝と高専ロボコンでして。
箱根駅伝公式Webサイト
[高専ロボコン]トップ

手羽は箱根駅伝には全然興味ないんだけど、奥さんが大好きなのでチャンネルを変えることができず、毎年ダラーと見てしまうのがこれ。箱根駅伝に出たいとは思わないけど、毎年見るたびに「どうにかしてムサビの旗を画面に映すことできないかな・・」とか考えてしまったり。

元日に放送された高専ロボコンは再放送だったけど、これが面白いのなんの。
ルールは一言でいうなら「ロボットによる輪投げバトル」。
ゴールが同じであっても速攻タイプ、敵のジャマ優先タイプ、一発逆転タイプいろいろあり、さらにそのアプローチも違う。「美大なんかよりクリエイティブなことしてるなー」とつくづく思ってしまいます。

理工系はロボコンとか鳥人間コンテストとかテレビで放送されるバトルがあって羨ましいんですよ。あれ見て男の子だと「東工大に行きたい」と思ったりしますもんね。
男子離れが進む美大もなにかテレビで放送されるような美大対抗バトルやるべきだと思ってて。男の子が熱くなるようなやつ。

大学対抗の美術・デザイン競技・・・・確かに存在しません。
公募展等個人やゼミ単位で申し込むものはあるけど、「大学対抗の真剣勝負の美術競技」ってないんですよ。高校だとデザセンだったり、まんが甲子園だったり、ファッションデザイン選手権だったり、いっぱいあるのに。
美術大学主催の高校生向けコンペ情報
それをあえて避けてきた部分もあると思うけど。
大学名で順位がつくのは・・・TOKYO DESIGN WEEKのASIA AWARDS 学校作品展ぐらいでしょうか?ほんとはあれもゼミ単位で応募してるケースなので厳密には違いますが。


箱根駅伝やロボコンの魅力って、
・わかりやすい判断基準を持つ競争(勝利)
・チームワーク(友情)
・継続的な頑張り(努力)
・地元を意識したやり方(つながり)

であり、美術・デザインが世の中に浸透(正当化)されないのはこれらが見えない(見えにくい)からなのかなあ、と。てか、勝利・友情・努力ってジャンプ3大原則。
なんだかんだ強力な共感システムであり、それが見えないんじゃ一般に浸透されない。
「答えがないのが美術」ではあるけど、このフォーマットや仕組みをマネできるとこはマネしたい。大学対抗の美術競技って、美術を一般に正当化させるには面白いコンテンツになると思うのです。


ただ、それが思いつかない(笑)
「美」「芸術」という要素が入る限り、「わかりやすい判断基準」の設定ができないんですよね。といって、判断基準が設定できないか、というとそうでもないと思ってて、「関ジャニの仕分け∞」でやってるピアノ王No1決定戦なんてすごくいい例で、やはり正解のない音楽に対し、「正確さ」を設定することで視聴者にもはっきりと結果が見えるバトル化に成功してるんですよ。
ああいう形で提示できないか、と。ま、「譜面」「音符」という正解があるからできることでもあるんだけど。


美大だとなんだろうなあ・・・。
美大対抗フリーハンドで直線引く合戦」とか「美大対抗DICカラーガイド色当て合戦」とかかな。「10m引いて、0.2mmしかずれてない!!」とか「おしい!それはN-701じゃなくてN-703でした!!」とか。
・・・・これ、面白いか?・・・。


現実的には「美大対抗デッサン対決」かしら。
「全く実物と同じように描く」をテーマにし、最後に映像とオーバーラップさせ形の正確度を図る。「78%一致しました!」とか。「デッサンは嘘ついてナンボ」なので美大・美術関係者からはヒナンゴーゴーでしょうが、それを言いだすとキリがないわけで。あ、でもこれじゃ「友情」要素が出せないか。


と、もろもろ考えた上で、下記の企画を提案いたします。

美術系大学対抗 デザインコンペティション

(1)企画概要
社会問題をテーマにしたお題が出され、デザイン的アプローチで5人1組のチームが一定期間内に解決策を模索し、プレゼンを行う。それを各大学出身著名人が審査する。ま、デザセン大学拡大版ってことです(笑)
略して「デザコン」。


(2)企画必須条件
■テレビ放送されること
テレビ放送されなければこの企画の意味が無い。
■教員に大人になってもらうこと
「ターゲットは美術関係者以外」「社会にわかりやすく知らせる」がテーマであることを教員が理解し、「ゲーム」を大人として楽しんでいただく必要がある。


(3)企画詳細
A案:10大学がそれぞれチーム(5人一組)を作って、各大学で制作に取り組む。
・同日時にUstream中継でお題が発表され、それを各大学で見る。
・1週間後の審査日に向けて具体的な解決策、映像・モックアップなどを各大学で取り組む。
・企画会議、取材・制作風景などを撮影する。その際に各大学の特徴が出るような施設・機材・地域性なども利用すれば大学広報にもつながる。
・審査は観客も入れて東京で行う。各大学は10分間のプレゼン持ち時間で説明を行う。審査員はそのプレゼントと制作物をそれぞれ審査し順位を決める。

メリット:
・「10大学」と大学数が多いので、競走としてのドラマは面白くなる。
・「私は●●大学を応援したい」と見ている側が感情移入しやすい。

デメリット:
・地方大学は移動時間がかかるため、他大学に比べ制作時間が取れないなどの不公平感が発生する。


B案:10大学がそれぞれチーム(5人一組)を作って、1箇所で制作に取り組む。
・A案とほぼ同じだが、違うのは制作場所が「各大学」ではなく、「特定の大学」という点。例えば、多摩美術大学八王子キャンパスで10大学が制作に取り組み、翌年度は金沢美術工芸大学で開催する等会場校を持ちまわりで開催する。
・会場校以外の大学は合宿生活となる。
・お題は地域性に関連したものにし、審査委員に地域の方を加える。

メリット:
・地方による不公平感を解消することができる。
・より不公平感を解消するために、「機材は支給されたものしか使ってはいけない」「会場校の学生も合宿生活を行う」などの制約をあえて作るのもいい。
・地域性を生かしたお題を、その地域独自の問題を全国に知らせることができる。またそれを全国の美大が考えることによる新しさを見出せることができる。

デメリット:
・「特定の大学」の負担が大きすぎ、「各大学の事情」が発生してくる可能性が高い。


C案:国公立五芸大チーム・東京五美大・京都5芸大チームで競う。
各大学代表1名ずつが参加し、国公立チーム・東京五美大チーム・京都五芸大の5人1組のチームをその場で組む。そして会場校で制作を行い、全員が1週間程度の合宿生活を行う。

●メリット:
・B案よりも会場校の負担が減る。
・初めて出会う学生がチームを作るので、仲間との協力・葛藤を「人間ドラマ」として強く見せることができる。

●デメリット:
・初めて会う学生同士のチームなので、「レベルの高いデザイン」を求めるのは難しいかもしれない。
・3チームしか作れないため、多くのデザイン提案を見せることができない。
・「大学対抗」という趣旨は薄くなる。


(4)備考
取り入れると盛り上がると思われる要素としては、
・1回の審査で決着ではなく、2から3段階くらいで大学が絞り込まれていくスタイルにする(学内予選もあり)。
・勝負がついて終わり、ではなく勝ったチームの案が実現に向かっていくような道筋を用意する。
・社会人入試のプロが混じったりしないよう、20才以下とか年齢制限をかける

気になる点としては、
・成果物が「案」でとまるので、審査では機能面や経済面などの検証がしにくい。逆にそれらをプロ目線で審査すると専門性が高くなり、一般の人々にとって勝敗の理由が納得しにくい。
・テレビなので案の見た目やプレゼン技術にどうしても目がいき、企画趣旨にあったデザインの必要性や社会性が印象に残りにくい。
・「ロボコン」「鳥人間」の面白さの一つは、最後は勝負が誰にも分かるかたちで着くことであり、審査員判断だけではなくルールでどこまで分かりやすく決まめれるかが、ポイントになる。
・「あいのり」的恋愛バラエティに変質しないか(いや、それを狙って作るのも手)。
が考えられる。

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どなたかこの企画書をテレビ局に持ち込んでくれませんかね。
欽ちゃんの仮装大賞はムサビOBが持ち込んだ企画なので、そんな感じで。



以上、今年の年末年始テレビは出川哲朗が出まくってるような気がする手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。