関野吉晴という生き方

ようやくこの話が書ける手羽です。

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関野吉晴」という名前はご存知でしょうか?

あ。知らない?

では、「グレートジャーニー」は知ってますか?
以下、すごくわかりやすくまとまってるので、「ほぼ日刊イトイ新聞グレートジャーニー 関野吉晴さん」の記事を使わせていただきます。

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約700万年前に生まれた原生人類は、およそ6万年前にアフリカを飛び出し、世界のあちこちに拡散していきました。その壮大な人類拡散の過程を ブライアン・M・フェイガンというイギリスの考古学者が、 「グレートジャーニー(The Great Journey)」と名付けました。 人類の歴史のなかでも最大級の冒険、と位置づけられているものだそうです
その旅した人々の来た道を、 自動車やバイク、電車、飛行機といった「近代的動力はつかわない」というルールを自分に課し、 徒歩や自転車、カヤック、 馬、らくだ、犬ぞり、トナカイのそりなどを使い、逆向きにたどる・・・という壮大なことをやったのが関野吉晴さんなのです。


1993年から始まった足かけ10年の旅は、2時間のドキュメント番組8本となり、1年に1本のペースで放映され、大好評を得ました。


そして、2004年から、2011年までの期間に 「新グレートジャーニー」として、 日本列島に人類がやってきた3つのルートをたどりました。


この旅のすごさは「海のルート」をたどるにあたって、 「砂鉄を集める」ことから旅をはじめていったこと。
千葉県九十九里海岸で集めた120kgの砂鉄を、 日本の昔ながらの「たたら製鉄」で製鉄し、それで斧や鉈などの道具をつくり、それらを使って丸太船をつくり、帆を織り、縄を綯い、星を見ながらインドネシアから石垣島までの約4700キロの航海に成功しました。
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ものづくりの原点をたどる旅でもあったということですね。

実は関野さんは、2002年にムサビの教養文化(文化人類学)の教授に就任しています。
こう書くと「ああ。ほとんど授業はやらない名前だけ貸してもらうアレね(苦笑)」と思われそうですが、ムサビは専任教員には厳しい大学でして(笑)、普通に構内をプラプラ関野先生が歩いてます。
新グレートジャーニーも長期休業期間を使って活動され、どうしても調整つかない時は現地から生中継講義もやりました。会場の女子学生さんから「性欲の処理はどうしてるんですか?」と質問されたり(笑)

ということもあって、新グレートジャーニーはムサビ生やムサビOBOGがたくさん関わってます。
クルーとして同行した佐藤洋平さん(油絵)や前田次郎さん(基礎デ)もそうだし、さっきから地図のキャプションで登場してる棚橋早苗さんも視デOGだし、


これらの奮闘記をつづったドキュメンタリー映画「僕らのカヌーができるまで」も、
●監督:
江藤孝治(大学院視デ修了/総合演出・鉄器編監督)
水本博之(映像卒/縄編監督)
木下美月(視デ卒/食編監督)
鈴木純一(視デ卒/カヌーづくり編監督)
●出演:
高林聡子(大学院油絵コース修了)
小池真代(基礎デザイン学科卒業)
田中里子(工芸工業デザイン学科卒業)
田中はるひ(映像学科卒業)
前田恵美(油絵学科卒業)
他、多数
ですし、第2回World Gate Film Festival のドキュメンタリー部門・グランプリを受賞した完結編「縄文号とパクール号の航海」の監督・編集・撮影も映像学科卒の水本さんです。
 

「冒険と美大」って両極端に存在するように見えますが、「自分の手で作り上げる喜び」という点で実はすごく近いものなのかもしれません。


んで、その関野先生ですが、今週末11月21日(土)はまるで関野DAY状態でして。

まず、19時56分から日本テレビ系「世界一受けたい授業」に登場します。
授業タイトルは「南米最南端からアフリカまで!5万kmを10年かけて踏破した壮大な旅・グレートジャーニー!」
昨日も書きましたが、7日はタマビ・プロダクトの和田先生、14日は東北芸工の"ネコ耳"志村先生、そして今週がムサビの関野先生と美大の教員がたまたま3週続けて講師になってるんですね。

そして22時からは再放送ですが、NHK教育テレビ「>SWITCHインタビュー 達人たち」にゴリラと会話できる霊長類学者で京都大学総長の山極壽一さんと登場します。

あ。ちなみにその日の日テレ「マツコ会議」はタイトルが「モテると噂の“美大男子”は本当にいるのか?美大の学園祭に潜入」。
実は先日のムサビ芸祭に取材にきてまして、まるまるムサビの芸術祭が紹介されます。土曜の夜はムサビがもらいましたな。こちらもどうぞ。もちろん手羽はすべてビデオ予約済みです(笑)
・・・しかし・・・・モテると噂?・・・って誰が?どこで?・・・。


関野先生の話にもどして。
関野先生主催のシンポジウムが来週小平で開催されます。
市民と学生のためのシンポジウム 宇宙を知ることによって何がわかるのか? 〜市民にとって宇宙とはなにか〜
●日時:2015年11月28日(土)午後7時−9時(6時半開場)
●会場:小平市中央公民館ホール(西武多摩湖線青梅街道駅より徒歩5分)
●資料代:200円 定員:160名
●申込み:こくちーず
●パネリスト:三浦均、宮原ひろ子
●コーディネーター:関野吉晴


三浦先生、宮原先生もムサビの先生です。
映像学科の三浦先生は数値計算と組み合わせた科学的なコンピュータグラフィックス映像が近年の研究テーマだし、宮原先生は著書「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか: 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来」が2015年講談社科学出版賞を受賞してる、今注目株の若手研究家。

「美大は絵を教わるだけじゃない」であるし、ムサビの教育理念「教養を有する美術家養成」ってことですね。
ちなみに「現代アートは資本主義を最も先鋭的に表現する!(1)」で東京画廊オーナー・山本豊津さんが
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武蔵野美術大学で教えていますが、たとえば芸術文化学科には、経済学の授業はありません。これは同大学だけでなく、日本の美術大学のほとんどすべてに共通したことです。(中略)別の例で言えば、日本では建築学科は工学部にありますが、ヨーロッパでは芸術学部にあります。このことは、建築・芸術が社会と強く、密接に繋がっていることを如実に表しています。
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と語ってますが、教養科目としては経済学の授業は昔からあります。
ポイントは「用意はしてる。とりたい人は取れ。大学生なんだから自分で選択しろ」ではなく「経済学とか違う分野に興味を持つよう学生を誘導する」ことなのかもしれません。
ちなみにムサビには建築学科があります(笑)



以上、関野先生は小平であるプロジェクトを始めようとされてて最近話す機会があったんですが、視点が「50億年・地球サイズで見た小平」で、私たちの考え方を根本的に変えないとダメだな・・と実感した手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。