今回最大のメインプログラムは、メディアアートディレクターである齋藤氏自らが主導した、ライゾマティクス《アートトラックプロジェクト ハル号 アケボノ号》。東京ミッドタウンのキャノピー・スクエアに常駐する〝ハル号〟は東京の様々なデータや来場者の入力した文字やパターンなどの情報をビジュアライズする大型アートトラックです。一方、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、国立新美術館を回遊する〝アケボノ号〟は、ミラーボールの搭載された光のステージとして様々なパフォーマンスの舞台となります。
この2つのアートトラックのコンセプトは、「都市が生きていたらどのように話すのか」。今の東京、今の六本木を映し出す鏡として、アートナイトに一夜限り現れます。
街を移動するパフォーマンス
街を移動するパフォーマンスでは、東野祥子、鈴木ユキオらによる、アートトラックを特設ステージとして使用するサイトスペシフィックなダンスプロジェクト《ダンス・トラック・プロジェクト》や、こどもにも親しみやすいキュートでカラフルでポップな《ズンマチャンゴのかけら箱》なども展開。六本木という街全体をアートの場とする『アートナイト』らしい独特の夜が、今年も楽しめそうです。
街中で展開されるインスタレーション
さらに、六本木のあちこちで、インスタレーションも展開されます。
ダイナミズムや即興性・記号性といった要素のみをグラフィティで呈示するドローイングマシーンの作品、菅野創・山口崇洋による《SENSELESS DRAWING BOT》、コンピューターグラフィックスの幾何学形状を再現する山岡潤一《Morphing cube》といったプログラムのほか、来場者の手によりレゴを用いた作品の姿が変わっていく参加型作品・ジェイ・ムーン《結びつく街》、光るパイロンを用いたインタラクティブアート・おかだゆか&川名宏和《KAWAT Tower》といった作品が点在します。
プログラムのキーワードは「光」と「参加」
六本木アートナイトの魅力の一つは、プログラムのあちらこちらで、キーワード「光」と「参加型」が楽しめること。六本木ヒルズでは太陽電池の小さなライトでつくる《リトル・サン・ガーデン》が展開。2000個近い小さな太陽たちが、夜の六本木ヒルズで煌めきます。チームラボにより、参加者がスマートフォンで好きな花火を打ち上げられるインタラクティブメディアアート《クリスタル花火》も打ち上げられます。サントリー美術館では、「みんなで光の箱を作ろう」「夜の虹を作ろう」など、光をテーマとしたワークショップを展開。各館「光」や「参加型」にこだわったプログラムが、数多く展開される予定です。
メディアアートのプログラムからpick up:《ダムタイプ映像祭》
メディアアートというと、昨年末から今年にかけての東京都現代美術館『新たな系譜学をもとめて』での、ダムタイプの展示・パフォーマンスが記憶に新しいのではないでしょうか。野村萬斎とダムタイプ・高谷史郎のコラボレーションパフォーマンスは、限られた人数しか見られないながらもその場の人々を大いに魅了し、話題になりました。
そのダムタイプの過去代表作の映像を映画館で放映する《ダムタイプ映像祭》(本記事のトップ画像参照)は、同じく六本木ヒルズ内TOHOシネマズで、25日(土)21:00~26日(日)5:00(※この間に5作品、順次公開)で観ることができます。
メディアアートに光を当てながらも…?
アナログ志向の注目オープンコール採択プログラム『六本木アートスイッチ』
そのほか、街なかパフォーマンスとして注目すべきは、オープンコールプログラムで選ばれたスイッチ総研《六本木アートスイッチ》。柴幸男率いる劇団・ままごとが香川県の小豆島や横浜の象の鼻パークで行ってきた「スイッチ」が、ついにその企画のみで集団化。「スイッチ」を押すと3~30秒ほどの寸劇が突然始まる演劇で、スイッチは常に些細なワンアクション。的に矢を放ったり、土鍋の蓋をあけたり。
メディアアートとはうってかわり、こちらは人力のアートといったところでしょうか。この「スイッチ」を押す人は「スイッチャー」と呼ばれる通りすがりの人。あなたが押した「スイッチ」で小さな物語が始まるかもしれません。
今年のテーマは「ハルはアケボノ ひかルつながルさんかすル」。
あなたも夜の六本木をゆらゆらと歩きながら、煌めく光と人々が織りなす世界に参加しませんか?
▼開催概要
名称:六本木アートナイト 2015
基本理念:「六本木アートナイト」は六本木の街を舞台にした一夜限りのアートの饗宴です。様々な商業施設や文化施設が集積する六本木の街に、アート作品のみならず、デザイン、音楽、映像、パフォーマンスなどを含む多様な作品を点在させて、非日常的な体験をつくり出します。そして、生活の中でアートを楽しむという新しいライフスタイルを提案します。また、アートと街が一体化することによって、六本木の文化的なイメージを向上させ、東京という大都市における街づくりの先駆的なモデルを創出します。東京を代表するアートの祭典として、さらなる発展を続けます。
日時:2015年4月25日(土)10:00〜4月26日(日)18:00
4月25日(土)18:22【日没】 〜4月26日(日)4:56【日の出】
※コアタイムはメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
開催場所:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
入場料:無料 (但し、一部のプログラムおよび美術館企画展は有料)
主催: 東京都、アーツカウンシル東京・東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、六本木アートナイト実行委員会 【国立新美術館、サントリー美術館、東京ミッドタウン、21_21 DESIGN SIGHT、森美術館、森ビル、六本木商店街振興組合(五十音順)】
▼詳細(公式サイト)
http://www.roppongiartnight.com
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