『テラーオブハウス』!? ムサビ出身にがウーロン、ついに渋谷ユーロスペースに!

えーっと、今日はにがウーロンの記事なので、力を抜いていきたいと思います。「にがウーロン」知ってます?もちろん知ってますよね、美大生のみなさん。ムサビ在学時代には芸術祭で長蛇の列を作っちゃう人気お笑い集団だったとかいう噂ですよ、実際のところは私もその頃は高校生だったので知らないんですけどね。卒業後もコントライブや映画、メンバーは漫画の出版なんかもして大活躍の「にがウーロン」なんですが、今回ついに渋谷ユーロスペースで、新作映画『テラーオブハウス』なんていうまた攻めたタイトルの青春スリラー映画を上映するそうなんです。そう、明日舞台挨拶(笑)。その心境を、監督角田裕秋さんと、脚本シーズン野田さんに伺ってきました。お楽しみあれー!

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たっぷりのくだらなさ × 美大卒の高いクリエイティビティ = 最高のユーモア

みなさんこんにちは。
今日紹介する「にがウーロン」ですね、

私は3年ほど前に、
知り合いに誘われて行ったんです。

にがウーロンのコントライブ
「にがウーロン×マルマルマル」
というやつだったと思います。

私は彼らの大後輩にあたるので何も偉そうなことを言えたもんじゃないんですが、お笑いライブだと思って行ったことをとても後悔する(ちなみに私はあんまりテレビじゃお笑いをみない)、たっぷりのくだらなさと、ココロオドル言葉と、共感甚だしい日常感と、そしてさすが美大卒な映像・演出クオリティで、その世界にどっぷりはまりこみまして。


  • 吹き出しかわいいでしょ。この吹き出しが壁とか床とかいろんなモノの気持ちを喋るんです!


  • シーズン野田の体を張った役作りが光ります

うまく言葉に言い表せないんですが、しょーっもないくだらなさと創造力が一緒になると最高の「ユーモア」になるんだな、って気づいちゃった感じですね。なぜかそのユーモアにハマってしまって、3日公演で2回も観に行ってました。それからというもの、ことあるたびにコントライブを観に行っているんですが、実は彼らもともとムサビの映像科出身ということもあるし、昔から映画を撮っていたんですよね。



で、今回念願叶って渋谷・ユーロスペースで、明日から(!)レイトショーで新作『テラー・オブ・ハウス』が公開されるということで。にがウーロンの「うっかりファン」としてはとてもとても嬉しい出来事なので、みなさんにもご紹介します。



実際には、私は生粋のホラー映画で眠れなくなるタイプでして、予告編で悲鳴をあげたので、まだ作品は見てません。

▽映画情報
『TERROR OF HOUSE』
8月29日~9月4日に東京・ユーロスペース渋谷でレイトショー上映。初日(明日!)舞台挨拶あり&毎日ゲストトークイベント実施!

原案:にがウーロン
監督:角田裕秋
脚本:シーズン野田
出演:池田光咲 山崎真実 小西キス 岡安旅人 小川紘司 坂元パルム(にがウーロン) 中村僚志 江上聖和 野田和彦 横屋敷有沙 國武綾

あらすじ:
とある家でルームシェアをして暮らす、6人の若者たち。彼らはみんな、自ら"志望"している夢を叶えるため日々邁進している。

http://terror-of-house.info

読者のみなさんと同じく、まだ見ていない人として、監督角田裕秋さんと、脚本を担当しましたシーズン野田さんにインタビューをしてまいりました。

彼らのユーモアには結局のところ私の技量では撃ち勝てなくてですね、ひたすら呑まれ続けるという、非常に稀有なインタビュー仕様となっております。

お楽しみください。笑。



予備校時代に出会い、結成された「にがウーロン」。
一本道をらせんを描きながら歩く遠回りみたいな生き方が、
唯一無二の世界観を生むかもしれない!?


— 数えてみたんですが、2003年に結成ということはもう12年が経っていますね。

シーズン野田(以下、野田):12年か、体感的には14年くらいなんですけどね。

— さすがとても繊細な感覚をお持ちですね。にがウーロンを知らない読者の方も多いと思うので、にがウーロンの成り立ちを伺ってもいいですか。

野田:メンバーとは予備校時代に知り合いました。上京して新しい環境の中で持ち前の人見知りが完全に発症していましたが、今のメンバーにだけは自分から積極的に話しかけた記憶があります。


  • 左から、坂元パルム、シーズン野田、ライフスタイル角田、加藤ふりかけ

面白い顔のヤツがいるなと(坂元パルム)、敵になったらやっかいな不良がいるなと(加藤ふりかけ)。でまぁ仲良くなって、大学も同じところにたまたま受かって、そこにまた一人声の面白いヤツが一人やってきて(ライフスタイル角田)っていう。大学ではちょっと浮いてましたね。一緒につるむうちに何かやろうという話になり、みんなお笑い好きだったんで迷わずコントやりました。そのノリが終わらずに、今でも続いてるってだけですね。まぁ実はもう一人いたんですが、ス○ップの森君的な扱いで割愛します。

— それで12年ってとんでもないですね。にがウーロンとしては映画・コントを、メンバー個人の活動で言えば、漫画家・役者・起業などとても幅広い活動をしていますよね。

角田裕秋(以下、角田):これまで活動してきて思うことは、「色々なことをやってる」というのは決して良い見られ方をすることばかりではないってことですね。

— そ、そうなんですか‥‥。

角田:えぇ。どのジャンルでも、本気でそれに専念している人たちからは相手にされず、「で、結局にがウーロンて何がやりたい人たちなの?」と。迷いがあるように見えるんでしょうね。自分でも、何がやりたいんだろうなと思うことはあります。多分、一人で活動していたらこういうこと(幅広くいろんなアウトプットの仕方をすること)にはなっていないと思うんですよね。自分とは得意なことや考え方、憧れるものが微妙に違う仲間たちと一緒に活動しているから、善くも悪くも可能性を絞らない。自分にはない活動のアイディアが出てきたりもする。それがチームならではだと思うんです。

— 素敵ですね、チームとしての強さを感じますね。みなさんで一緒に住んでいたりもしましたもんね。

角田:あ、でも振り幅としては、特段オリジナリティはないと思っています。ケツメイシみたいに薬剤師もいないし。あ、まあうちには起業家がいるか。起業家は面白いな。起業家にはお金の面でも仕事の面でも、助けられてます。そこ以外で言えば、映画もコントも漫画もやるよーなんて人たちは結構いると思います。だから実は、特別幅広い活動ってほどでもない。仲間同士で一緒に住んでるっていうのも、よくある。セカオワとかも一緒に住んでるんだっけか。あんなに売れてるのに一緒に住んでるっていうインパクトがあの人たちにはあるけど、僕らは金ないから一緒に住んでた。めっちゃ普通(笑)

— まぁ、まぁ。

角田:だからにがウーロンてのは、こうやって文字情報とか説明だけ聞いても、特段なんの斬新さもない。にがウーロンとは、めっちゃ普通の活動をがんばっているおじさんクリエーターグループなんです。でも、そのめっちゃ普通の活動を、ぼくらにがウーロンがやることによって、なんか面白いな、にがウーロンぽいなって思わせることができたら、そこではじめてオリジナリティになると思うんですよ。それがひとつの僕らの意義。チャラい表層的な活動の斬新さなんていらないんですよ!


12年やってブレイクしていない(まじで?!)人たちが何を言わんや、と思われるかもしれませんが、こんな感じで、一本道をらせんを描きながら歩いて行くような、遠回りみたいな生き方が、唯一無二の世界観を生むかもしれない。生むでしょ?というね、そんな確信をもって最近は「なんとかやってます」。僕が思うに、にがウーロンは、そういうチームですね。


作品自体はいつも一貫して
「ドユーモア」を産み出すことに命を懸けている
ユーモアの度が超えたモノを作りたい


— ということで、にがウーロン待望&久しぶりの映画作品ですね。

野田:えぇ。

—私はいつもコントライブを最高に楽しませてもらっているのですが、みなさんにとって、映画とコントライブとってどうシナジーがありますか?

野田:シナジーってなんですか?アナジーしかしらないな。

— えっと‥‥、すいません、難しい言葉使っちゃって。たぶん、アナジーの逆ですね。

野田:ああ、良いアナジーのことね。そうですね……特に無いですね(笑)。たまたまコントとか映画やってるだけだからな。だから周囲からは「君たち何がやりたいの?」といった、奇異と戸惑いと憂いが混じった目で見られます。こだわりのない人たちっていうかね。アナジーだらけですよね。まぁ見るほうは僕らのことなんて知らないわけだから、どういう人たちなのかなってさっさとシンボル化して整理したいわけです。けれども、そうはさせないのがにがウーロンなので、あまり好かれないですね。僕らめんどくさいんです。コントに限っても、笑わせたいの?怒らせたいの?寝かせたいの?泣かせたいの?妊娠させたいの?なんて色々言われるわけですから、どっちにしたってとらえどころがない奴らなんですね。そんなのそっちで決めてくれよって思うんですけどね。まぁ、世間様は大分お忙しいようですし、僕らのことなんて親以外誰も考えてはくれないだろうから、今後は奇抜妖怪「キバツン」だと思ってくれと触れ込もうかな。

— 私の昔のあだ名、キバツンでした。


  • インタビュアーの私の発言に、極端に驚くシーズン野田。 / Photo by Ryuki Kamijyo

野田:まさかかぶるとはね(笑)まぁこのように捉えどころがないわけだけど、これだけ個人で色々できる時代において、コントだけやるとか映画だけやるとか、相撲だけやるとか、親方だけやるとか別に決めなくてもいいんじゃないのかなって思うんですよね。何やったっていいんですよ。もっと個人として自由に自意識を語るってことが平然と行われても僕自身はいいと思ってるわけです。個がメディアとなる時代ですよ。映画の人、コントの人ではなくて、「にがウーロンがする何か」に興味を持ってもらいたいですね。

— 私は興味もってるんですけどね!

野田:あ、そういうの大丈夫です。まぁ色々やりたいとはいえ、実は作品自体はいつも一貫して「ドユーモア」を産み出すことに命を懸けてます。「ドリュー・バリモア」の略ではなく、ユーモアの度が超えたモノを作りたいと。ジャンル問わずそれは一緒です。ですから、コントだとこうで、映画だとこう、みたいなことはあまりなく創作哲学はだいたい一緒ですね。まぁ難しいですけど。



冗談じゃなく、人生で一番キツい5日間、
就職活動をせず自主活動をしてきた僕らにとっては、
まさに「社会」でした


— 角田さんは、今回の作品制作してみていかがでしたか?

角田:オリジナル企画が通って、会社にお金を出してもらえて、はじめて制作する商業作品なのですが、作っていく過程でいろんな壁にぶちあたり、くじけそうになりました。撮影期間が5日間だったんですが、冗談じゃなく、人生で一番キツい5日間でしたね。5日で老けましたもん。処刑前のマリーアントワネットか、っての。でもなにが一番キツいかって、そんな制作時の苦労は、映画のできとは全く関係がないことですね‥‥。画面に映ってるものが全て。大林宣彦監督が言う、「映像が汗をかく」感じが出ていればいいなあと思うのですが。
とにかく、就職活動をせず自主活動をしてきた僕らにとっては、わりと「社会」でした。社会と向き合ったというか、社会の中で制作するっていうことを再認識したというか。良い意味でがんじがらめの中で作りました。

— 今回の作品は、みなさんにとってどんな作品ですか?

野田:長くなるけどいいかな?

— だめです。

野田:じゃあ話すね。そもそも…

— そもそもからか~。長くなりそうですね‥‥

野田:……そも、コントばかりやっている印象になっているのですが、ぴあフィルムフェスティバルで受賞をしたときは「がんばろう、映画」となってたんです。


  • 2009年 監督シーズン野田 『三角の白いあれ』

けれどもなかなか企画が通らない。いつも良いところまで行って梯子を外される。そうすると映像化されないシナリオだけがどんどん溜まっていくわけです。シナリオってそれ単体では作品にならないんですよね。だから悶々としてました。洗濯物みたいですよ、早く干してあげたいんだけどけれども外は晴れないから、部屋干しで悪臭はなってるっていう。で、にがウーロン何やってんの?みたいな時期が結構続いて、うんコントやろう、と。コントはすぐに見せることができますから。

だから今回、『テラーオブハウス』が公開にこぎ着けたことはちょっと感慨深いですね。
感慨深いシリーズvol.1って感じです。ただこのシリーズはvol.2、vol.3と続くと感慨深さが減ってきそうなので、vol.1で終わりかな。



コントとホラーはちょっとした度合いの違いで
いつも「ウケる方」に合わせ
今回は「怖がらせる方」に合わせた


— せっかくなので、今回の新作『テラーオブハウス』についてもう少し伺いたいと思います。コントでは明るい雰囲気のにがウーロンですが、今回ホラーにチャレンジしたのはどうしてなんですか?

野田:ホラー駄目なんですよね、怖くて。ほとんど見たことない。スクリームも、「あのお面はカレーのナンだ」と思いながらなんとか見てました。

— なのにホラーをやったんですか?

野田:確かにあたらしいチャレンジなんだけど、コントでも割とゾッとさせるようなこともやってたりするから、そこまで気張ってたわけでもないんです。いけるんじゃないかと。


  • 確かに何かと叫ぶシーンは多いにがウーロンのコント。

演出的な面で言っても、コントとホラーって似てるんです。血が吹き出すのを見ると、痛そうで嫌だなって思いますよね。けど、あまりに吹き出しすぎると笑っちゃう。ちょっとした度合いの違いなんですね。僕らはいつもそのバランスを「ウケる方」に合わせて来たわけです。で、今回は「怖がらせる方」に合わせるだけという考え方でした。まぁその調整が難しいですけどね。癖でついやりすぎてしまう。

— 私はやりすぎなくらいの方がいいですけどね。私このタイトル『テラーオブハウス』をみたとき、名前からしてチャレンジングで、いい意味でその「やりすぎ癖」出てるなぁと思ったんですが、脚本担当としてこの作品でチャレンジしたこととは?

野田:いいネーミングでしょ?パッと出てきたんです。ひらめき型なので。ただ今回は、監督の意向を形にするという意識で執筆しました。あまり自分を主張し過ぎず謙虚に相手の求めていることに耳を傾ける。いつも好き勝手やっているのですが、割とクールにやろうと思ってはいました。

角田:ネタばれになるから言いづらいんですが、中盤の○○が○○して○○するシーンにこだわっていてですね。そのシーンをやりたくてこの映画を作ったところもありますし、それに関しては僕がやりたいから脚本に入れてもらいました。ストーリー的に複雑にしちゃってる可能性もありますが。

野田:そう、そのせいでテーマや設定が複雑だったりもするので、なるべく人間の感情の機微を捉えながら、わかりやすく伝えることを念頭において書きましたね。‥‥結果、大失敗でした!


  • Photo by Ryuki Kamijyo


いつもどおり、めちゃくちゃです(一同爆笑)。当時はまだ監督と住んでいたので、執筆期間中は毎日喧嘩してましたね。最終的にはお前はウンコを流さないとか、夜中歯ぎしりがうるさいとか、そういう話になってました。

— 野田さんいつもコントライブやってるし、出演したくなりませんでしたか?(笑)

野田:一応役者なのでねぇ。自分が出た方が良いなと思うシーンが14シーンありました。自分は今どき「ういろう売り」ができる希有な役者なんです。なのに滑舌は悪いという。けどなかなか良い芝居しますよ。本当は僕がやるはずの役があったのですが、色々な事情で他の方に取られてしまったので、そのシーンだけは薄目で見ながら自分だと思うようにしてます。ただ今回本当に役者さんって凄いなって思いました。どんなにバカ糞みたいなシーンでも本気で向き合ってくれたので、そこは見ものですね。


  • 映画『テラーオブハウス』より


  • 映画『テラーオブハウス』より

—監督のこだわったポイントをぜひ教えてください。

野田:ちょっと待って、俺の予想!「カラコレと、整音かな。あと、書き出し」とか言うんじゃね?

角田:はい。えっとですね、見どころは、ロケ地の家ですかね。野田の実家を借りたんですが、広くてびっくりしますよ。広いしたくさん部屋があるから、いろんな画がつくれましたからね。外ロケシーン以外は、全部野田家なんですよ。「え、ここも?」となると思います。そういう風に観ても面白いかな。



20代が去って30代がきて、
『なんとかやってます。』時代は終わり、
『やっていきます。』時代が到来した


— 最後に、今後について伺っていきたいんですが、まず角田さん、漫画『なんとかやってます』を書いていたことなどもありますし、先ほどもブレイクしていないというふうにおっしゃっている感じ、にがウーロンにとって思い描く道のりではなかったのかなと思いますが、今回の作品は、正直どうでしょうか?一歩前に進んだ感はありますか?

角田:正直言うと、これまでも「お!これはいくか!いったんじゃないのか?!」というチャンスはいくつかありまして、でもダメで、落胆し、、という繰り返しで現在に至るので、今は「何かを思い描く」とかをしないようにしています。達観しているわけじゃないですけど、どんな道のりであれ、平常運転というか、例えばこの作品がヒットしようともコケようともその次の動きを大きく変えることもないし、結果的に後から振り返って一歩前に進んでたな〜、と思うことはあるでしょうけど、今はただなんにせよ「やっていく」ということです。『なんとかやってます。』時代は終わり、『やっていきます。』時代の到来ですかね。まあその漫画描いたとしたらつまらないと思いますがね。うーん、なんでそういうことになっているのか、自分でもよくわからないんだけど、30歳になって、フッと20代後半の焦燥感っていうものが、なくなったんですよね。(やばい傾向?)なんかこう、自意識みたいなものがなくなってきたんですよね。

— 人生の転換期ですね!

角田:はい、この作品の製作期間中に、30歳に突入したんですが、もしかしたら、この作品に自意識すべてを注ぎ込んで、僕の方にはもう残っていないのかもしれないです。実は僕の漫画の『なんとかやってます。』と新作映画『テラーオブハウス』には共通項があるんです。「ルームシェア」「夢を追う若者たち」「しかし、くすぶっている」「憧れと現実のギャップ」などなど。映画ではスリラーを前に出しているので、その辺のテーマは裏に隠れてますが、撮ってる側としての気持ちはやはりそこに重心かかってます。


  • Photo by Ryuki Kamijyo

で、奇しくも2作もシェアハウスものを作って、くすぶっている自分を描いたから、「もうこれでおしまい、成仏!」という感覚なのかもしれないですね。と、こんなに自分のことを語るのは自意識以外のなにものでもないので、全然成仏できてないじゃんね! 

—今後のビジョンとしては、どんな作品にチャレンジしたいですか?

角田:具体的に答えていこうと思います。
まず、『クレクレタコラ』みたいなキッチュなギャグ作品を作りたいんですよね。バカみたいな。あれバカですよね〜!ぜひ観てみてください。あと、ジャンルでいえばSF。にがウーロンでは僕だけがSF好きなのですが、やっぱりSFってマニアックなんですよね。ハリウッド映画は、メジャーになるSF作品もありますけど、大々的に宣伝打ったり名前が売れてるスターウォーズみたいなシリーズじゃない作品はけっこうコケてる印象があります。なんならスターウォーズもマニアックだしね。SFで大事なのは、その架空の世界観のアイディアだと思うんですが、日本には映像化されていない凄い発想のSFがたくさん埋もれています。例えば、小林泰三先生という日本のハードSFの天才がいるんですが、小林先生の『海を見る人』という短編SF小説が凄いんです。場所によって時間の進行が異なる世界での話なんだけど、そこで「何が起こるか?」というのがもうイマジネーションの極地。僕としましては、いつか『海を見る人』の映像化にチャレンジしたいです。原作があるものを撮る、ということもチャレンジになるので、ダブルチャレンジですね!あ、あと長いコントも書きたいし、4コマ形式のストーリーギャグ漫画も描きたいなぁ!う〜ん、やりたい事だらけ!

— 最高ですね!野田さん、お待たせしました。野田さんはどうですか?

野田:やっぱりハリウッド映画やりたいですね。ベンツとか高級車を無駄に爆破してみたい。あと、子どもたちに浸透していくコンテンツを作りたいですね。姪っ子たちに自慢してもらえるような作品というか。(今やっていることは)金の臭いがするんですよね(一同失笑)。あとコラムとか、執筆活動したいですね。

— お、執筆活動ですか。さすが脚本家ですね。執筆といえば、野田さんは日頃ブログを書かれていますね。野田ワールドが繰り広げられていて、こっそり読んで楽しませてもらってますが、あれってどんな読者を想定して書いていらっしゃるんでしょうか?

野田:なるべく多くの方に読んで欲しいですよね。右翼から左翼まで。とはいえ、僕がブログを日々綴るのって自分のためだったりするんです。思考や感情を整理して、自分の中に言葉をためていくというか。結局言葉で世界を変えなきゃならないので、言語感覚を常にチューニングしておきたいんです。使わないと古くなるし。基本SNSやブログはそういう使い方しかしません。本当は執筆の仕事が頻繁にあればもっと発揮できるのですが、誰にも頼まれないから、自分のブログで勝手に書くしかない。正直仕事ではないのでけっこう大変です。そう言う意味では仕事をつないでくれそうな人に読んでもらいたいです。

— ブログも含めて、すべての活動がひとつに繋がってるんですね。いやはや、完全に呑まれまくりの1時間でしたが、インタビューご協力いただきありがとうございました。にがウーロンの魅力をたんとお伝えし、これで安心してみなさんに『テラーオブハウス』見ていただけそうです。ふぅ。
本日いらっしゃらない坂元パルムさん、加藤ふりかけさんも含め、みなさんのご活躍をこれからも程よくお祈りしております!


  • 楽しいインタビューをありがとうございました!なんちゃって。実は、チリからのメールインタビューなんですけどね!ばれました?(笑) / Photo by Ryuki Kamijyo

おしらせ

映画の後は、コントライブも控えているみたいです!
脳に汗かくコント体験を是非!


にがウーロンアワー番外編「もっとよくする会」
日時:2015年9月26日(土)
会場:アートセンターオンゴーイング(吉祥寺)

にがウーロンアワーvol.6(本公演)
「rice cake pounding party[ライスケーキパウンディングパーティー]」

日時:2015年10月20日(火)〜22日(木)
会場:SARAVAH東京(渋谷)

ライブ情報はにがウーロンHPにて随時更新!!

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OTONA WRITER

natsumiueno / natsumiueno

編集者/メディエイター。美大での4年間は「アートと世の中を繋ぐ人になる」ことを目標に、フリーペーパーPARTNERを編集してみたり、展覧会THE SIXの運営をしてみたり、就活アート展『美ナビ展』の企画書をつくったりしてすごしました。現在チリ・サンチャゴ在住。ウェブメディアPARTNERの編集、記事執筆など。