今日で朝のミッドタウンの芝生を見る毎日もしばらくおしまい。
天気は曇り。暑いと人が来ないと言われてるし、イベントとしてはこれぐらいの方がありがたい。
そんな中、とうとう奇跡が起きました。
時間通りに全員そろったのです!!
学生さんがらみのイベントでデザイン・ラウンジ史上初めてのことかもしれない。
記念して8月12日を「ジョホールバルの歓喜」ならぬ、「六本木の感動」と名付けよう。
・・・って集合時間にそろったくらいで感動というのも、どんだけムサビ生はアレなんだって話ではあるのだけど(笑)
準備が終わったら、もちろんいつものホスピタリティ研修を全員で受け、開店を待つばかり。
11時オープン!
すると・・・
11時15分の様子です。
施設がオープンして15分後にこの状態っていうのは、美術館とか公民館とかムサビでよくやってるワークショップスペースではありえないこと。
なんだかんだいってやっぱり参加者が多い方がいいわけで、明日また書くことになると思いますが、商業施設でのイベントはすごい。
さて、どんなワークショップだったかを説明しましょう。
昨日紹介した
この「なぞりBOX」がすべてのカギになってます。
「手のなぞり」をテーマにすることは最初の企画書の段階で決まってました。
実は昨日の「船」もそうですが、二つとも2次プレゼンの企画書レベルでは決して高得点ではなかったんです。もっとこなれたものが他にありました。
でも、審査員をしてもらったミッドタウンマネジメントさん達と話し合っていく中で「ブラッシュアップがもっと必要だけど、子どもたちにやってもらいたいし、親御さんと一緒に楽しんでる姿が想像できる・・というかこれをやってるところを私たちが見てみたい」と感じたのがこの二つだったんです。
「これを描いた時のお子さんの手の大きさもわかり、思い出になる」という裏メッセージもあり。
点数ではなく数値化できない「可能性」みたいなあいまいな部分で決まった珍しいパターンで、「それは具体的になにか?」と聞かれると非常に困るんですが、こういう部分も大事にしていきたい。
と、ここまでは美しい話なんだけど、ここからが大変で(笑)
ま、普通「手をなぞる」といえば、紙に手のひらをバシっとおいて、鉛筆でなぞる・・・これですよね。
でも、これだとバリエーションが全然でないし、手が汚れる割にはうまい形がつくれない。
「手じゃなくてモノをなぞる?これならいろんな形が作れるよ」と提案したけどリーダーが許してくれない。裏メッセージの「手の大きさを残す」を大事にしたい、と。
「そもそも、手のなぞりって言うほど面白いのか?」というところまでいきました。
何度も何度も打ち合わせをし、「うーん、発想の飛躍が起きにくいなあ・・・」と思ってたところ、学生さんから「至急会いたいんですけど!」と連絡が入り、なぞりBOX試作品が登場。
「光をあて、影をなぞらせる」という方法を使えば、形のバリエーションが一気に増え、手も汚れない。
美大生とやってて何が面白いかというと、こういう飛躍の発想の瞬間に立ち会えること。
どうしても大人だと、ネットで調べて同じようなものをやる傾向にあり、「全く新しいものを考える(考えたい)」という作業を面倒だから省いちゃうんですよ。ここが美大生のすばらしさ。
というわけで、「なぞりBOX」はこのワークショップのために学生さんが発明したものなのです。
ちゃんと調べると同様のものがあるかもしれませんが、少なくとも参考にしたものはありません。学生さんの手書きのスケッチがその証拠(笑)
あとはワークショップの流れにそって紹介します。
まずは「なぞりゾーン」に誘導され、ワークショップの説明を受ける。
そして、なぞりボックスに手を突っ込むと、
下にライトが入ってるから影が投影されます。
それをセットしたプラ板の上にマジックで「なぞる」。
四方手が入るように作られてるので、手の向きも変えられ、重ね書きが容易にできる。
「重ね書きがしやすい」のがこのなぞりシステムの特徴で、これがのちのち効いてくるんです。
なぞったものを「塗り絵ゾーン」に持っていき、
いろんな色のマジックで彩色したら、
「終わったらコッチ机」に提出。
するとお姉さんがシワシワの銀紙(手作業)がセットされた封筒に入れて
ほい。完成。
こんな感じの作品になります。
なぞった段階では「え。これ?・・・」と思い、色を塗ったところでもそれほど満足感があるものではありません。でも、バックを銀紙にすると、ほんとにこれがステンドグラスのようなきれいな作品になっちゃうんです。
ここにサプライズがあり、ほとんどの子どもさんが受け取った時に笑顔になってたのが印象的でした。
よし。今日も順調にスタートしたから、手羽は新宿へ。
いよいよ今日から伊勢丹新宿店で「武蔵野美術大学×伊勢丹 -U-35 若手クリエイターによるアート・デザインの現在-」がスタートなのです!!
平日の昼間なのに人がたくさん・・・。
よし、細かいことは明日書くことにしよう。
2時間ぐらい会場にいて、六本木へ戻る。
3時30分ぐらいの段階では、大波が過ぎてたけど、3回も4回もやってるリピーターが何人もいて。
これがうれしい。
もちろんサクサクとなぞれる子どもばかりではないことを想定し、「こんな手の組み合わせだとこんな形が作れるよ」というパネルも用意してました。
造形ワークショップだと「見本は見せず、自分で考えさせ自由に好きな形を作る。だって子供は天才なんだから!!」が趣旨になることが多いけど、商業施設では子どもさん(と親御さん)が出来たものをみて「やってよかった」と思い、それなりに満足したものができないといけません。ここが難しいところで。
このために学生さんたちには「100ドロ」ならぬ「100なぞり」を宿題に出し・・・本当にやってきてびっくりしたけど(笑)・・・、子どもたちに簡単に説明できるよう、どんなパターンがありえるか考えてもらったのです。
こんな感じで使ってました。
見本通りに作ってるのを見ると、やっぱり「造形ワークショップとしてはどうなんだろ・」と少し思ったりもするけどね。
ここでミッドタウンマネジメントの偉い方が登場。
「今年もムサビさんの企画は大盛況ですねー。お客さまも大変喜んでいらっしゃるようですよ」
「いやー、いつも学生に機会を与えていただいてるミッドタウンさんのおかげです。ありがとうございます!なんとか形になりました」
「ところで、伊勢丹さんに浮気してるんですって?」
そ、そのタイミング!?
これが修羅場?!
「ほ、ほんとに好きなのは、み、ミッドタウンさんですから(汗)」
「ムサビさんが伊勢丹さんの方を本気にならないようにちゃんとチェックしてますからね。ま、でも日本が盛り上がった方が楽しいので、伊勢丹さんでも本気でムサビさんは頑張ってもらいたいですけど(笑)」
なるほど。伊勢丹さんに「武蔵野美術大学 アート・ラウンジ」ってのを作ればいいのか。
・・・絶対に手羽の仕事になるのでそれだけは却下させてもらいます・・・。
17時30分、残り30分の段階。
常に人がいる状態で最後までいきました。
参加された皆さん、どうもありがとうございました!!
終了後、お借りしたテーブルが油性マジックで汚れまくったので、除光液でシコシコ落とすコアメンバーの皆さん。
美大生はきれいにして返す!
飛ぶ美大生は跡を濁さないのです!
にしても除光液最強!!
荷物を梱包しトラックに積み込んで作業は19時30分に終了。
ムサビ側での荷卸しは船チームがいるので、最後のミーティングして六本木チームはこれで解散。
なぞりチームは去年の芸術祭実行委員会が中心となったチームで、全員が3年生(1人だけ2年生)
船チームと違い、学科がバラバラだったけど、リーダーを中心にうまくまとまってましたね。
募集をかけミッドタウンさんやデザイン・ラウンジでワークショップやイベントを実施することで、やる気のある学生さんにたくさん出会えることが私たちの一番の収穫です。
最後に集合写真。
以上、このみんなが取ってるポーズを「なぞりポーズ」と呼んでたけど、「ウィッシュ」じゃないかと思いながら写真撮ってた手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。