【美大卒美大職員は意外と少ない】大学職員になろう2

2022年4月25日(月)

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大学職員・美大職員についてシリーズで書いています。
これまでの話はこちら↓
【実は隠れた人気業種】君も大学職員になろう1


4/25現在、新卒、中途、プレエントリーも含めて専任職員を募集してる美術系大学はこちらです。
公立大学法人長岡造形大学の新卒採用・企業情報|リクナビ2023

学校法人多摩美術大学の新卒採用・会社概要 | マイナビ2023

学校法人武蔵野美術大学の新卒採用・会社概要 | マイナビ2023

東北芸術工科大学|令和4年度 大学職員(総合職)の募集について ―2023 年 3 月大学卒業・修了予定者を含む―
東北芸工さんは「普通自動車免許を有する方(もしくは就任までに免許取得する方)」が条件に入ってるのが特徴ですね。
地方だとほとんどの人が免許を持ってると思いますが、取材だったり運搬だったり、結構大学の仕事は車の免許があった方がいい仕事が多いです。


  • 意外と力仕事系が多いのが大学職員、特に美大はモノを扱うので余計に

また、専任職員ではありませんが、
学校法人瓜生山学園 契約職員(事務局職員*専任職員[正職員]転換制度あり)募集について
京都芸術大学などを運営する瓜生山学園さんは正職員登用制度があって、専任職員数106名のうち 67 名が契約職員からの転換登用者だから、ある意味契約職員が専任職員へのスタート地点。とはいっても「学校法人採用」なので、大学ではなく附属高校、専門学校、日本語学校に配属される可能性もあるのだけど。
 
 
というわけで、今日は「美大職員」について書いてみます。
「大学職員」も実態があまり知られてない仕事なのに、しかも「美大職員」って、ですよね(笑)
アレがアレなので、ここからはさらに「あくまでも個人の見解です」ということを強調させてもらいます・・。
 

 
手羽のせいか「美大職員は美大卒ばかり」と思われてるフシがありますが、美大といっても大学なので、ほとんどの専任職員は一流総合大学卒の方達です。
多摩美術大学が入職者の出身大学を公開してるので見てみましょう。
学校法人多摩美術大学 採用実績(学校)<大学>
北海道大学、東京大学、横浜国立大学、京都大学、桜美林大学、学習院大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、駒澤大学、上智大学、専修大学、中央大学、東海大学、東洋大学、獨協大学、法政大学、明治大学、立教大学、早稲田大学、同志社大学、立命館大学、多摩美術大学
と有名な大学名がずらりと並びます。手羽がレアケースなだけで、ムサビも同じような感じ。
いろいろ聞いて回った限りでは、どの美大も母校卒専任職員は1割以下で、1割以上で公表してるところは助手さん等を専任職員カウントしてるケースがほとんどかな。

というのも美大事務業務で学生や高校生と話をするような仕事、直接美術に関係する仕事はほんの一部の部署なのです。


  • 広報部署だと、高校生が大学見学に来た際に大学説明やツアーをやることがあります。

くどいですが美大といっても「大学事務」なので、総務、人事、経理、施設管理、IR、法人、経営戦略、監査など表に出ないバックオフィス系や美術の知識をほとんど必要としない仕事の方が実は多い。
ムサビのような小さな美術大学でも、教職員やパートさん、研究室スタッフ、非常勤講師を入れると1000人近い人が働いてることになるので、いわゆる「バックオフィス」がちゃんとしていないと機能しないんですわな。
自分には多分向かなかった仕事なんだろうけど(ここ笑うところ)、法人企画室や総務で「法人・大学運営の根本」を学べたのはすごく大きかったです。 

 
また募集時に「美術館採用」等専門職として採用されない限り、東京の美大は数年でジョブローテーション(人事異動)してます。
ムサビや女子美はだいたい3~5年で別の部署へ異動するし、東京造形大は法人採用だと桑沢デザイン研究所に配属されることも普通にあります。タマビはこれまでほとんど人事異動が無かったけど、最近は頻繁にやるようになった気が(地方の美大だとずっと同じ部署てことが多いかも)。


  • 合同進学相談会での東京造形大学相談ブース。いろんなキャリアの人がいます

いろんな職員に「なんで、あえて美大職員になろうと思ったの?」と聞いたことがありますが、たいていはゴニョゴニョごまかしたり、「たまたまかなあ・・」と遠くを見る、そんな感じです。面接で「昔から絵を描くのが好きでした」とか言ってても、ま、皆さんそんなもん。

美術が嫌いじゃなければ大丈夫な仕事なので、ギャラリーに行ったのは数年前に1度だけでも略歴書に「美術鑑賞」と書いたり、面接で「昔から映画に興味があり」なんて取ってつけたように言わなくても全然問題なく、「最近美術館に行ってません」と面接で答えたとしてもそれで落とされることも多分無いです。

てか美大職員で月に1度以上美術館やギャラリーへ行くような人はどれだけいるんだろ?って話で。
タマビさんが今年から美術館鑑賞を推奨し補助することを目的とした芸術鑑賞手当制度を作ったから、うちのスタッフが「いいなー」と言ってたんです。美大らしい職員への厚生制度ではあるけど、裏を返せば「美術館鑑賞を推奨・補助しなくちゃいけないくらいの興味しかなくても美大職員はできる」てことでもあります。個人的には「え。美大職員なのに手当が出ないと行かないの?!それって悲しくないですか?」と思ったりもしますが。


例えば、京都精華さんがこういう記事をアップしてるけど、
卒展2022レポート(デザイン)|京都精華大学 @seika_sekai #note

広報スタッフだけじゃなく、職員に学内卒展を見て回ってもらい「その日のうちにブログを書け」とした方が、ただ「卒展を見てもいいよ」とするより、研修効果・広報効果・情報共有があってwin-winが築けそう。なんせ最新のアートやデザインは外よりも美大の卒展にあるし、交通費も入場料もかからない。

あ。面接の時、「最後に何か質問ありますか?」ときたら「じゃ、皆さんが最近見た中で面白かった展覧会を教えてください」と面接官に聞いてみるといいかもしれませんね。みんな目を合わせて無言になったら、そういう美大職員の集まりだとわかってしまう最高のキラー質問。(それで落とされても責任は取りませんが)
 

ただ、とはいっても。
という話を次書きます。続く!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。