【3つの広報】大学広報マンを主役にしたNHKドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」に注目!

2020年11月26日(木)

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4月から始まる、すごく気になるドラマの発表がありました。

松坂桃李さん主演 土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」制作開始

名門大学の広報マンに次々と降りかかる不祥事対応の嵐!
「カーネーション」の脚本家・渡辺あやが現代社会を斬るブラックコメディー!
<中略>
有名教授の研究不正疑惑、学内シンポジウムへの「テロ」予告、研究施設からの外来生物の流出…。大学執行部の意向を受け、学内外の批判をかわすため、涙ぐましいまでの努力で言い換えやへ理屈を考え、ツジツマを合わせようとする真。優柔不断な総長、隠蔽体質の理事たち(國村隼・岩松了・古舘寛治・温水洋一・斉木しげる・坂西良太)、事なかれ主義の上司(渡辺いっけい)、正論を吐くがちょっとウザい教授(高橋和也)、自由すぎる変人教授(池田成志)、クールで鋭いおばさん秘書(安藤玉恵)、マスコミで売れっ子のやり手准教授(岩井勇気)、正義感の強い新聞部の学生たち(坂東龍汰・吉川愛・若林拓也)などクセの強い面々


恐らく初の大学広報マンを主人公としたドラマです。
とうとうそこにドラマがあることを気が付いてしまったか、と。

企業と大学の一番の違いは「法人と教学の2つの組織図が混在してる」です。
簡単な言葉で説明すると、「学校法人」で一番偉いのは理事長で、学長も教員も職員も理事長に雇われてる身ですが、「大学」という組織の中では学長をトップとしたラインも学内にあり、これがなかなかややこしい・・私でも「あれ、どっちの承認ルートで確認すればいいかな?」と時々悩むことがあるくらい。
このあたりをうまくドラマで表現してくれたらなあ・・手羽に取材してくれたらなあ・・覆面にしてくれないとほとんど言えないけど。


ちょうどいい機会なので今日は大学広報について書いてみましょ。

大学の広報には大きく3つあり、それは「入試広報」「大学広報」「インナー広報」です。

「入試広報」はわかりやすいですね。その名の通り受験生を集めるための広報。
受験雑誌や新聞に「志願者募集開始」「こういう学科があります」と出したり、手羽がYoutube見てると東京工芸大学さんのCMばかりでてくるアレです(笑)

最近でパっと思いつくのはこれかな?
昨年の約2倍!2020年秋入学の出願者数が「過去最高」を達成。京都芸術大学 通信教育部の出願者数が421名に。@PRTIMES_JP

京都芸術大学さんのリリースです。でもちょっと微妙かな。

こういう動画を出すのも入試広報といえます。

 

そして、大学名・ブランドを周知させる広報を「大学広報」
多くは大学の活動を周知するもので、最近だとなんだろ。
武蔵野美術大の学生が小中一貫校で「黒板アート」の贈り物 埼玉・坂戸 - 毎日新聞

なんかがそうかな。教員や学生、社会連携的な活動が多く当てはまる傾向にあり、最近はここに力を入れてる大学が増えてきてます。
あ、ちなみにこういう記事は毎日新聞さんが勝手に調べて取材にきてくれてるわけじゃなく、いろんな形で新聞社などにお知らせして、取材に来てもらっているんです。

また、この黒板ジャックの記事は無料で記事にしてもらったものですが、お金を出して記事を書いてもらうこともあるわけで、これが「記事広告」てやつ。
新聞で学長メッセージや大学の活動が大きく見開きで載ってたりしますよね?よーく上を見ると「記事広告」と書いてあるのがそれです。
そうそう、広報やるまで知らなかったけど、受験雑誌には大学がお金を出して大学入試情報を掲載してもらっています。ま、考えりゃ当然な話ですが、受験雑誌もボランティアではないので(笑)

違う似たような例だと、
小田急電鉄とNTTドコモがすすめる新宿の新たな街づくり「XRシティSHINJUKU」に多摩美術大学が協力

これもパっと見は、紹介記事を誰かが書いてくれたように見えますが、
小田急電鉄とNTTドコモがすすめる新宿の新たな街づくり「XRシティSHINJUKU」のイベントに多摩美術大学が協力@PRTIMES_JP
タマビさんがプレスリリース・ニュースリリース配信サービス「PR TIMES」に流したリリースがそのまま使われてるのがわかるはずです。
大学単独で配信するには限界があるんで、お金を払ってリリース配信会社にお願いするケースもあります。

大学は非営利組織ではありますが、「広報」が大きな意味をもっています。
「広報やるお金があるならその分学生に還元をしろ!」はもっともな話だけど、受験生・学生が集まらなければ大学は運営できません。また、そのためには大学名を広く周知させないといけない。特に少子化にむかってる今は。

例えば「武蔵野美術大学」は美術業界ではそれなりに知られてる名前だと思うけど、一般の世界では全く知られていません。はい、はっきり言えます。
以前、立川で開催された一般大学がメインの進学相談会にブース(机)を試しに出したら、ムサビブースの前で女子高生に「え?武蔵野美術大学?武蔵野大学のパクリ?超ウケル(笑)」と言われたことがあります(手羽体験談涙)ムサビから近い立川の高校生でこれですから。
昔は「知らないやつは知らなくていいんだ!」「いいことやってればいずれ誰か気がついてくれる」で終わらせてましたが、今は・・・そんなこと言ってる場合じゃないのはご想像の通りです。


3つめの「インナー広報」は、学生さんや教職員など学内関係者向けの情報。
「狭い範囲のステークホルダ向け広報」とでもいえばいいのかな。
例えばムサビ大学WEBに、
本学美術館の椅子ギャラリーで撮影された「新美の巨人たち」が放送されます(11月21日放送)

と掲載されましたが、同じような情報を広報チームが学内イントラに流してました。
大学WEBを見ない職員は多いけど(笑)、学内イントラなら毎日見るので「あ、ムサビの美術館・図書館が出るんだな。見てみよう」と思うと。うちの学芸員スタッフがかっこよく映ってて、ちょっと悔しくなったけど(そこ?)。
企業などで今もっとも注目されてるのがこの「インナー広報」で、職場や勉強先により愛着がわけば仕事や勉強のモチベーションも上がるし、不正もやらない、と。


・・と書いといて、3つをきれいに分類するのはなかなか難しいです。
大学広報も「未来の受験生獲得のため」と考えれば入試広報でもあるし、「中学3年生向けのイベントは入試広報なのか大学広報なのか?」と。とりあえずここでは1,2年先の受験生向け広報を「入試広報」としてます。
先ほどの京都芸術大学のリリースのところで「でもちょっと微妙かな」と書いたのも、情報的には入試広報の形を取ってるけど、大学広報要素がかなり強いんですよ。「ムサビの通信なんかより全然すごいんだぜ」なメッセージをヒシヒシと感じるのは手羽だけかしら(笑)
このあたりの情報の出し方は瓜芸さんはさすがですね。
また、以前長澤学長が「企業がテレビや新聞に広告を出すのは、社員やその家族のためでもある」とおっしゃってたのを覚えてます。「うちの会社がテレビでCM流してる(それくらい立派な会社だ)」「うちのお父さんの会社は」となるから、企業広告がインナー広報でもあるってことですね。

「入試広報と大学広報は別物だ!」「いや、一緒の方がいい!」という議論は昔からあって、入試広報系部署と大学広報系部署をいろんな大学でくっつけては離し、離してはくっつける歴史がずっと続いてます。
多分結論はないし、「大学広報は戦略、入試広報は戦術」という解釈をセミナーでよく聞くし、その通りだと思うけど・・・組織・人・仕事はそううまく分類できないもので・・。


以上、NHKさん、ネタに困ってたら取材受けるし、手羽役の人をだしてもらっても構いませんよ、その時は小栗旬で、の手羽がお送りいたしました。


この1週間、結局違うプレゼンシートを作ってたので、全然インターンシップ演習のスライドに触れなかった・・明日更新したらもうしばらく更新休みます。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。