【手羽はまだグンマを知らない】「佐賀町エキジビット・スペース 1983–2000」展@群馬県立近代美術館に行ってきた

2020年10月16日(金)

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10月15日、休みを取って

群馬県高崎市にある群馬の森へ行ってきました。

群馬は以前進学相談会で来たくらいだからこれで2回目で、群馬の知識は、

お前はまだグンマを知らない
からしかなく、「風が強い」のと「焼きまんじゅうを他県の人間が食べると死ぬ」ことしか知りません。

美大愛好家として「高崎」と聞いてすぐにイメージしちゃうのは高崎芸術短期大学
2004年度に創造学園大学へ改組されたけど、2013年に解散命令をうけ廃止になっちゃいました・・。
あ、もひとつ「高崎」と聞いたら思い出すのは、「ハチクロの竹本くんの出身地」ぐらいかな。

群れる馬だけあって、公園内にはいくつもの馬の銅像が設置されてました。
これはブールデル作。

で、別に観光にきたわけじゃなく目的地は

園内にある群馬県立近代美術館です。

群馬県立近代美術館設立には、群馬県美術館建設準備会の主導者であった実業家・井上房一郎さんの力が大きいです。
井上房一郎さんはジャコメッティ兄弟と親交を結んだり、1934年に来日したブルーノ・タウトを高崎に招聘し工芸品のデザインを委嘱したり、かなり文化事業に熱心な方で、群馬県立近代美術館も当時まだ新進気鋭だった磯崎新に設計をお願いしています。
井上さんについてはこちらをご覧ください。
近代高崎150年の精神 高崎人物風土記 - 井上 房一郎 - 高崎のニュースサイト 高崎新聞

空間が丁寧につくられたいい美術館だったし、コレクション展をやってたけど、失礼だけど「なんでこの作家の作品が群馬にあるの?!」といい作品ばかりで。
あ、「井上房一郎」の名前はまた後で出てくるので覚えておいてください。


で、何を見に来たかというか、

佐賀町エキジビット・スペース 1983–2000-現代美術の定点観測-
●会期:2020年9月12日[土]-12月13日[日]
●時間:午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
●休 館 日 :月曜日(祝日の場合はその翌日)
●観 覧 料:一般:830円、大高生:410円


一言で説明すると、佐賀町エキジビット・スペースの軌跡をたどる展覧会

・・あ。「佐賀町エキジビット・スペース」がなんなのか説明しなくちゃいけませんね。


  • ロゴデザインは確か田中一光さん(間違ってたらすいません)

空間演出デザイン学科の元主任教授である小池一子先生が、江東区佐賀町の食糧ビル3階講堂を改装して立ち上げた、若手現代美術作家を支援する日本初のオルタナティヴ・スペースです。
1983年から2000年までの17年間運営されました。
立ち上げ経緯は、芸術文化学科の教授だった岡部あおみ先生と芸文生が小池先生にインタビューした記事があるのでご参考に。
Culture Power - 佐賀町エキジビットスペース インタヴュー 小池一子(佐賀町エキジビットスペースディレクター)×岡部あおみ


  • 高さ5m、240㎡の空間で、内装はスーパーポテトが担当。1階にはサブギャラリーも。

模型のこの方向から見ると講堂だったのがわかりやすいですね。

今考えるとかなりとんがった展覧会をやってたんだなあ、と感じます。
紹介したアーティストは400人にのぼり、全106回の展覧会を開催しています。手羽が一番思い出深いのはキーファー展かしら。

ここから杉本博司、森村泰昌、内藤礼、大竹伸朗などのアーティストが注目を浴びるようになったといっても過言ではなく。

で、なんでこんなに熱く語ってるかというと、1996年から武蔵野美術大学が運営してたんです。
運営というかスポンサーという表現の方が近いかな?
最後の数年だけだったのと、ほとんどムサビの名前を出さなかったから、ご存知じゃない方も多いかもしれません(笑)
記録を調べると、1996年1月理事会で受け入れ、1999年7月理事会で運営取りやめを決定してますね。

撮影可が最初と最後の部屋だけなので展覧会の写真はこれだけなんですが、出展されてる作品がすんごく良かったです。
なんせ出品作家が戸村浩/ジェリー・カミタキ/ 端聡/駒形克哉/みねおあやまぐち/ 岡部昌生/野又穫/剣持和夫/吉澤美香/大竹伸朗/シェラ・キーリー/ 杉本博司/元慶煥/森村泰昌/堂本右美/滝口和男/ヨルク・ガイスマール/ 黒川弘毅/倉智久美子/立花文穂/オノデラユキ/白井美穂/岡村桂三郎/ 廣瀬智央/日高理恵子ですから。

カタログも発売されてて、デザインは菊地敦己さん。ムサビのつながりを感じます。買っちゃった。どこにもムサビのムの字もでてきませんが(作品を美術館が貸出協力してるくらい)。

10月18日(日)に森村泰昌さんと小池先生などによるシンポジウムが開催されます。(既に定員超えてるそうです)

展覧会は12月13日までやってるのでぜひ!

 
・・・と、これで帰ってもよかったんですが、せっかく群馬まで来たので、ついでにお隣にある

群馬県立歴史博物館へ。

2016年にリニューアルオープンしたばかりで、建物も新しい、展示品も今どきなディスプレイになってました。


  • スバル360!


  • 博物館のジオラマを見るのが好きで、だいたいここで気合の入れ具合がわかります

ところで、この子の名前知ってます?

なんと1994年に生まれた時は「ゆうまちゃん」だけど、2008年に「ぐんまちゃん」に改名してるんです。この黒歴史をちゃんと年表にしてるのは偉いっす。

全然知らなかったけど、古墳がたくさんある地域だそうで、

出土品がこのたび

9月30日に国宝に正式決定したそうです。
ガイドさんが「ここにあるもの全部国宝になりました」と言ってた。

そう聞いちゃ

行くしかないっしょ!!


続く。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。