昔から、箱根駅伝や鳥人間コンテスト、ロボコンのような美大対抗戦が美術振興のためにできないかなーと考えています。

公募展等個人やゼミ単位で申し込むものはあるけど、大学の看板を背負った美術・デザイン競技って存在しないんですよ。
盛り上がる箱根駅伝やロボコンには
・わかりやすい判断基準を持つ競争（勝利）
・チームワーク（友情）
・継続的な頑張り(努力）
が含まれており、このジャンプ3か条な要素が入った美大対抗バトルができないか、と。

これは2015年に考えたアイデア↓
■箱根駅伝とロボコンから、美大対抗コンペの提案

美術系大学対抗 デザインコンペティション。略してデザコン。
ま、大学版デザセンなわけですが（笑）

よく練られた企画だと自負してるけど、これで一般の人やメディアが盛り上ってくれるかは難しく、もう少し見てる側が楽しめるエッセンスがあった方がいいんだろうなあ、という結論に達してました。


そんなことを思い続けて2020年6月7日。
手羽が大好きなヘボコンのオンライン版が開催されてて、「あ、これだ！！」とひらめいたのです。

ヘボコンについてちょっと紹介しましょう。

ヘボコンとは、技術力の低い人のためのロボット相撲大会。
ロボコンが理工系大学や高専の最高知能を集めて最高技術を使ったバトルなのに対し、ヘボコンの賞賛ポイントはロボットの「ヘボさ」だけです。
何をいってるかわからない？そういう人はこちらの動画をご覧ください。

amazing quick floorと陸グソクのバトルなんて涙ものです。

　
昔から大好きなコンテンツで毎年チェックしてるんだけど、今年のヘボコンはコロナの影響で、オンライン上で開催されたんです。

物理演算の世界で攻城兵器を作るゲーム「Besiege」を使ったバトルで、技術力のない人たちの不器用さはバーチャルな世界でも健在。
その様子はこちらをご覧ください。

これを見ながら、「このアート版がやれればいいんじゃね？」とひらめいたのよ。

今までの発想は「美術やデザインは実は大事で必要なものだ。それを残念ながら知らない皆さんに知らしめるための企画」と上から目線での提案でした。そうじゃなく、みんなが楽しめないことには意味がない。「みんなが楽しめるから必要」な展開にもっていくべきだ、となんでこんな根本的なことに今までたどり着けなかったんだろう。美大対抗かどうかは大事ポイントではない。


名付けて「ヘボアート」。
放送作家の倉本美津留さんが提唱する「アーホ！」が近いんだけど、あれだと才能や技術力が必要すぎる。「アーホ！」がロボコンであればそれのヘボい版で、「才能なんていらない。誰でもできるヘボいアート」。

アート界では「ヘボい」と言われたら自己否定されたような気持ちになるし、「批判するならお前が描いてみろよ！」な言い合いになるけど、それが美術のハードルの高さを表してます。勇気を出して「えーと、美術のことは素人なのでよくわかりませんが・・」とコメントを言い出さないと発言できないのがそのハードル。プロ野球見てて「私は素人ですが」と言わないですよね。
みんなで「これ、ヘボいなー（笑）」と笑い合える社会が構築できてこそ、美術振興なんじゃないかと。美術にある「こんなこと言っちゃいけないかも。恥ずかしいかも」なストッパーを外せるかもしれない。逆転の発想。
美大の先生ならヘボい絵でもいいところを見つけ、「味がある絵だ」とコメントしてくれるはず。
うまいかどうかだと「基準がはっきりしない」と後で揉めるけど、「ヘボいかどうか」なら怒られることもない。
ヘボコンを見るような温かい目でみんな見ることができる。

以上、ここまで「オレ、すごくね？」と思いながら書いたけど、考えてみたらそれってみうらじゅん的というか、