12月7日(土)、手羽はタマビにいました。
タマビ八王子キャンパスに来るのは夏のオープンキャンパス以来。
秋冬にタマビに行くことが少ないから、
小平よりも紅葉が強いのに初めて気が付いた。
こちらはメディアセンター。
自慢じゃありませんが、八王子キャンパスの建物構造は全部頭に入ってて、多分キャンパスツアーもできます(笑)
目的地のレクチャーホールへ。
で、今回なんでタマビにやってきたかというと、こちらを聞きに来たんです。
■第2回多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム「アートアーカイヴとは何か」
●日時:2019年12月7日(土)10:00-17:00
●会場:多摩美術大学 八王子キャンパス レクチャーホールBホール
●主催:多摩美術大学アートアーカイヴセンター、多摩美術大学図書館、多摩美術大学芸術人類学研究所
●協力:多摩美術大学美術館、メディアセンター
2018年4月に設立した多摩美術大学アートアーカイヴセンター主催のアートアーカイヴシンポジウムで、今年3月の第1回創設記念シンポジウムに続き今回で2回目となります。
第1回シンポジウムでは、展覧会単位だけではなく、日々研究や制作に取り組む教員・学生らとともにある美術大学が成すべきアートアーカイヴについて議論がなされたそう。
そしてこの第2回では、第1回議論を出発点として、「アートアーカイヴの現状」「写真アーカイヴのこれから」「言語と美術のアーカイヴ化」という3つの方向からアートアーカイヴの可能性を展開し、芸術資源を新たな創造行為に結び付けていくためのプラットフォームを考えよう、という会。
第1回に行きたかったんだけど年度末過ぎていけなくて(笑)
やっと参加できました。
会場はレクチャーホールB。
コンセントかと思ったら照明だった。(でもこの日は付かなかった)
最初はグラフィックデザイン学科・佐賀一郎先生による、ポスターや様々なマテリアルを含むデザイン領域のアーカイヴに関する取り組み発表。
学生さんが自発的に研究会を発足したそう。こういう展開は嬉しい。
続いて、情報デザイン学科の久保田晃弘先生からは、タイムベースドメディアの後に考えるべきインタラクションのアーカイヴについて。
この話面白かったなあ。
つまりは「メディアアート」「インタラクションメディア」「インスタ」をどうコレクション・アーカイブ化するか、という話。
作品の要素としては「展示(I)」「造形(H)」「構造(S)」「環境(E)」なんだけど、
「体験者」の要素もかなり大きい・・というか、インスタなどは体験者がいないと何も生まれない。
来年度からは「体験者」「インタラクション」のタグもつけていきたい、と。
「データベース作りとはつくづく要素分解と法則化なんだなあ」と久保田先生のお話を聞きながら感じました。アートアーカイブをこういう視点で研究されるのは、さすが久保田先生だな、と。
いっぱいメモしちゃった。
第1部最後は絵画学科油画専攻の小泉俊己先生と芸術学の上崎千さんで、美術写真家の安齊重男氏と映像作家の中嶋興氏が撮影してきた「もの派」の写真とそのアーカイヴ化について。
「もの派」とは1970年前後にタマビ出身のアーティストを中心に展開された前衛美術運動で、吉田克朗さん、本田眞吾さん、今年亡くなった関根伸夫さんなどがそうですね。その研究を埼玉県立近代美術館と一緒に文化庁「我が国の現代美術の戦略的海外発信に向けた関連資料の整理」として行ってきたそう。
美術手帖1970年2月号に「発言する新人たち」という座談会があり、これが事実上の「もの派宣言」になるんですが、それを撮影された中嶋興さんのフィルムや記録を調べていくと、1969年12月8日に座談会が行われたことが判明したんですって。つまり50年前の今日なんですよ。鳥肌ものでしょ?
参加して思ったのは、アートアーカイブではないんですが「ムサビとタマビあたりが中心になってデザインのデジタルアーカイブフォーマットを共同で作った方が良んじゃなかろうか」かな。
というのも、ムサビの美術館は約3万点のポスターコレクション、約400点のモダンチェアコレクションがあり、「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の採択を受けて作られた「造形研究センター」では、近現代建築空間、生活デザイン等のデジタルアーカイブ化を進めてきました。
著作権の関係で外部非公開のものが多いですが、そこでの成果物が、
■MAU M&L 博物図譜
■MAU M&L 近代椅子コレクション ムサビのイス3D
■MAU-PIAZZA
だったりします。
また、文化庁からの委託事業で京都工芸繊維大学・文化学園大学・武蔵野美術大学の3大学合同でグラフィックデザイン、ファッションデザイン、プロダクトデザインの現状調査・分析、アーカイブ資料保存・利活用やネットワークづくりを3年間やってきました。詳細はこちら。
■【デザインの定義】シンポジウム「日本のデザイン資源を考える」@文化学園大学に行ってきた
なんとなくあちこちの教育機関で同じようなことをバラバラにやってて、同じような問題にぶつかってる印象で。データベース構築は「何を情報登録(タグ付け)すればいいか決まれば完成したも同然」と言われたりもするぐらいここが一番難しい。
特にデザインはナショナルデザインミュージアム構想が動き出したら多分「そもそもデザインの定義は?」と同じ問題にぶつかるはずだし、みんなで考えて「使えるデザインのデータベース作り」を早く取り組んだ方がいいんじゃないかと。
ムサビのアーカイブもよくできてるけど、佐藤先生のフォントの3Dマップとかいいところは協力し合った方が面白いものができそう。どこが早くやったとか抜きにして。
これ、音頭を取れるのは文化庁じゃなくて日本デザイン振興会さんだと思うんだけどなあ、と。
第1部が終わり、昼食タイムに。
レクチャーホール前にあるのがアートテーク (Art-Theque)。
アートテークはタマビ80周年の時に作られた芸術複合施設棟で、タマビらしい高低差をうまく使った建物。設計は環境デザイン学科の田淵諭先生で施工は鹿島建設さん。
今タマビに行ったらここを見とかないとね、と今週ムサビ関係者がタマビに行くのでその人たち向けに建物紹介やってます(笑)
■河原温 LANGUAGE and ARTブックアート・コレクション創設記念展
●会期: 12月4日(水)~7日(土)10:00-18:00
●会場: 多摩美術大学 八王子キャンパス アートテークギャラリー201
アートアーカイブつながりでこちらを鑑賞。
1階ではグラフィック・山形季央先生が担当されてるタマビとウイーン応用美術大学との3回目となるジョイントプラグラム展示で、今回は中国美術学院も参加。
さて、お昼を食べますかね。
タマビには学食が2つあって、ひとつはイイオ食堂だけど、手羽はグリーンホール派です。
セブンでサラダ買った人が学食のドレッシングを無料で使っちゃうってことか。なるほどなるほど。
と、多分今週タマビに行くムサビ関係者も学食を使うはずなのでここも丁寧に報告しております。
手羽は用事があって第1部で帰りましたが、午後の第2部は港千尋先生と金子遊先生による人類学から考えたアーカイヴと写真について、第3部は川村記念美術館で開催された「言語と美術―平出隆と美術家たち」展を企画し、その展覧会のアーカイヴ化に取り組んできた平出隆先生と同展の会場構成を行った青木淳先生のトークセッションがありました。
これも聞きたかった・・。
以上、喫煙所に行ったら、
椅子やベンチは多分学生さんたちがいれたんだと思うけど、
これはムサビの喫煙所だけど、みんながベンチやテーブル持ち込んでて、どこも一緒だなあ、と思った手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。