「視覚の共振・勝井三雄」展@宇都宮美術館に行ってきた

2019年5月27日(月)

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5月26日(日)朝、高速をぶっ飛ばして(法定速度)、

宇都宮美術館へ行ってきました。ちょうど家から1時間半ぐらい。



宇都宮美術館は、約26ヘクタールの丘陵地の中にあって、

駐車場からでっかい芝生広場を歩いて美術館に向かいます。
場の木陰でヨガをしたり、キャンプのようなことをやってる家族も(多分キャンプは禁止)。


  • 小道には彫刻が設置されてて、こちらはサンドロ・キアの「ハートを抱く片翼の天使」


  • バリー・フラナガン『ホスピタリティ(歓迎)』。養生中だったけど普段は乗れるらしいです


  • この小道の石は全部大谷石なんだろうなあ。柔らなくて掘りやすそう

オルデンバーグの作品もあった!!コーフン!!
あ、オルデンバーグを知らない人は「ビッグサイトの横にある大きなのこぎりの作品の人」だとわかるかな?


んで、宇都宮美術館にやってきた理由はもちろんこちら。
視覚の共振・勝井三雄 visionary ∞ resonance: mitsuo katsui

●会期:2019年4月14日(日)- 6月2日(日)
●時間:午前9時30分 ~ 午後5時 (入館は午後4時30分まで)
●休館日:毎週月曜日
●会場:宇都宮美術館
●観覧料:一般800円、大学生・高校生600円、中学生・小学生400円
●特別協力:武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科、武蔵野美術大学 美術館・図書館、勝井デザイン事務所、中野デザイン事務所
●展示協力:池田20世紀美術館、凸版印刷、モリサワ、公益財団法人DNP文化振興財団、山田写真製版所、遠藤 豊(Luftzug)、小野田裕士
●後援:日本グラフィックデザイナー協会

武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 元主任教授であり、現名誉教授の勝井先生の展覧会。
ほんとは先週行くつもりだったんだけど、二つの理由で今日行くことにしました。なぜかは後日書きます。

企画展に入ると、待ってるのは勝井先生のデザインのあゆみ。
社会・デザイン界の歴史と勝井先生の略年表なんだけど、勝井先生の略歴そのものが「デザイン界の歴史年表」になってるのが勝井先生のすごいところで、


  • 28歳で亀倉さん・永井さん・田中一光さんたちと「グラフィック21の会」を結成し


  • 32歳で伝説の東京オリンピックデザインチームに入り、


  • 34歳でこれまた伝説の「ペルソナ展」を福田繁雄さん、横尾さんたちと開催し、


  • そして35歳で東京造形大学の立ち上げに参加します

そのあと、ムサビ視デの客員教授→主任教授になり、単なるグラフィックデザインではない身体性と五感の「『今の視デ』を作った人」といっても過言ではない・・というか事実。
ほんと日本のデザイン史。これを見ていくだけでおなか一杯になる。
教授退任後も勝井先生はムサビの理事をされてたんで、手羽は理事会で月一でお会いしてました。
そうそう。去年の今頃、視デの中野先生が「来年、勝井先生の大展覧会があって、そのデザインを任されることになった」と言ってたっけ。


そのまま中央ホールに行くと、

色彩の巨大なインスタレーション。

では会場に入ってみましょう。

まずは「情報の部屋」。


  • これ、よく見ると当然といえば当然だけど


  • 手書きなんです・・線の太さはマーカーの太さらしい


この設営を手伝ったのは、同時刻六本木アートナイトで「ガチャむらや」をやってた視デ卒の中村くんです。


様々なCIをされてて、


  • 花の万博のCIも担当されてます。


  • 国立民族学博物館もそうだし、写真撮り忘れたけど理研のロゴマークも勝井先生です。

文部科学省や東京造形大学のロゴマークも勝井先生。

1966年創立時に勝井先生がデザインしたものをベースにして、1996年の30周年記念事業の一環で田中一光さんがリデザインしています。

この東京造形大のロゴマークはイオニアスバイラル<ionia spiral>を原型に形をつくられているんです。手羽はそれを知るまで手紙がモチーフだと思ってました(ぼそっ)。

そしてもちろん

ムサビが1996年から使っている「MAU」「武蔵野美術大学」などのロゴマークや色彩計画も勝井先生によるものです。

それまで「MAU」という略称自体がなく、当時のCI計画の中で「MAU」が生まれました。
というか信じられないかもしれませんが、大学英語名もそれまでフワフワしてて、実はシーンによって表記が違ってたんです。
「Musashino Art University」と会議ではっきり決めたのがこの時期で「Musashino University of Art(MUA)はどうだ 」「そもそも1学部なんだからユニバーシティは変。カレッジが正しい!」という議論が議事録に残ってます。
でもカレッジにしてたら「MAC」になってましたね(笑)今は2学部だからユニバーシティに偽りなし!!

そういや、12号館が完成し地下食堂に「MAUランチ」が登場した時、「MAU?!マウって読むの?!なんだそりゃ。ムサビでいいやん(笑)」と思ったのを強力に覚えてます。継続は力というか人間は慣れるもので、英語略称を学生さんが普通使いしてる美大ってムサビぐらいのもので。

手羽が広報時代に大学案内などを担当されてたのが勝井先生でもあり、このあたりの冊子もすごく覚えてます。


  • しかし、すごい展示だなあ・・・。

次は「色光の部屋」。

色彩の表現を操り、試しながら作られたポスターが圧倒的物量で展示されてます。

視デ・白井先生が勝井先生の講演会動画をじっと見てた。これは2015年の東京デザイン2020のトークですね。


「言葉をなくすぐらいの圧倒さ」ってこういうことをいうんだろうなあ。
もう声が出なくて・・いや、声は出てたんだけど「マジかよ・・マジかよ・・そこまでやるかよ・・」とずっと独り言を言うしかなく。勝井先生もすごいけど、これをまとめた中野先生もすごい。

なんとなく最近は「白い背景に黒文字でデザインしとけば、なんかオサレ」という風潮がありますが、勝井展を見ちゃうと色彩・色光の持つ強さを再認識するし、「なんかオサレな感じ、で終わるんじゃねーよ。チャレンジしろよ。逃げるなよ。そこで終わるなよ」という勝井先生からの私たちへのメッセージも感じました。
デザイン系の学生さんはもちろんだけど、特に桑沢・東京造形・ムサビのデザイン関係者は絶対にみておかなくちやいけない展示だと感じました。
あ、シャガールやマグリットも見れる常設展もおすすめ。


以上、美術館を出て、

餃子定食を食べスタミナつけて、

某所に向かった手羽がお送りいたしました。

続くっ!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。