デジタルファブリケーションの魅力を体験! 超初心者が「LOFT & Fab Award 2017」ワークショップに参加してみた

2017年11月、雑貨専門店「ロフト」は創業30周年を迎えました。6月23日にオープンした“次世代店舗”である「銀座ロフト」では全フロアに渡って、雑貨の新しい可能性を引き出す試みが次々とチャレンジされています。 そんなロフト30周年を記念し、生活者のみなさんと一緒に考える企画「ロフト雑貨ラボ」を開催します。第1回目となる今回は、市民工房のネットワークであるファブラボ渋谷と共催の「LOFT & Fab Award」とコラボレーション。レーザーカッターや3Dプリンターなどのデジタル加工機による技術“デジタルファブリケーション”の可能性と面白さを、より多くの人に実感してもらうべく開催されているアワードです。 本アワードの募集期間である8月8日、銀座ロフトにて気軽にデジタル加工機を体験できるワークショップが行われるということで、デジタル加工技術に全く触れたことがない初心者の筆者も参加してきました!

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場所はデジタル加工工房「LOFT & Fab」が開設されている銀座ロフト6階。こちらでは、レーザーカッターやUVプリンターなどの加工機を使って、ロフトで販売している商品に自分の好きにカスタマイズできるようになっているんです。

ワークショップではまずロフトの菅井さんから、「ギフトでも生活に使う道具でも、より皆に役立ち、よりオリジナリティがある、工業製品に負けないクオリティのモノを自分たちで作れる時代に来ています」と、ロフトが期待するデジタルファブリケーションの役割についてお聞きしました。

次にファブラボ渋谷の梅澤さんから、LOFT & Fabに設置されているデジタル加工機に触れながら、具体的にデジタル加工技術によってどんなことが可能なのか、またデジタル加工機の種類やそれぞれでできることなどの説明を受けます。

そもそもデジタル加工機とは、コンピュータに接続された工作機械のこと。デジタルデータを加工機に転送することで、木材や紙、アクリルなどの素材を好きなように加工することができるんだとか。

近年話題の、3DCGデータをもとに樹脂などを立体として出力できる3Dプリンター以外にも、レーザー光線によって表面を削ったり切ったりできるレーザーカッター、UV(紫外線)照射装置によって写真やイラストをあらゆる素材に印刷できるUVプリンター、紙を切り出せるペーパーカッターなど様々な種類のデジタル加工機があるそうです。

UVプリンターを使えば、シンプルな無地のマグカップにこんなメッセージもプリントできちゃうんです。これはプレゼントで貰ったら嬉しい…! ほんのひと手間を加えるだけで、世界で一つだけのグッズが作れるなんて最高すぎやしませんか。

つまり、これまでならアイデアがあっても長い時間と高いコスト、熟練の技術がなければできなかったモノづくりが誰でも手軽に行うことができるんです。「あんなモノが欲しい」「こんなモノがあれば便利」という思いが、簡単に実現できる。説明を聞いただけで、クリエイティビティが全くない筆者でも早く何かを作ってみたい欲がどんどん沸いてきました!

今回のワークショップで作るモノのテーマは「旅に出たくなる雑貨」。各参加者がアイデアシートにアイデアを書き出し、デジタル加工機を使って作品を作っていきます。

しかし、いきなりアイデアを書きだそうとするも頭が真っ白になる筆者。モノ作りに縁遠いので、素材サンプルを触ってみてもなかなか簡単にアイデアが出てきません。

LOFT & Fabの担当者さんによると、モノ作りのアイデアは、「いつ、どこで、誰が、どういう時に使いたいモノなのか」を想像することが良いんだとか。さらに他の参加者の方と話したり、銀座ロフト6Fのトラベル/モバイルツールフロアの商品を眺めたりしながら、「こういう時にこんなモノが欲しい」というストーリーを考えていきました。

筆者は、旅先の酒場で知らない人ともすぐに仲良く乾杯できるような飲みグッズが欲しいと考えました。そこで自己紹介にもなる自分用の升と、出会いを記録していけるような相手用の升のセットを作っていくことに。

アイデアも決まり、いよいよプロトタイプの制作がスタート! 梅澤さんから丁寧に説明を受けながら、まずは升にレーザーカッターで彫り出すデータを詰めていきます。

自分用の升には名前や職業、好きな食べ物など、自己紹介となる文字。文字のフォントも何でも自由に選べるので、ポップで可愛い、ステンシルフォントを選択しました。相手用の升には、出会った人が相手の名前や国などが書き込めるランダムな円を升の側面に彫ることに。コンピュータで円を描いていくので、どんな形の円でもキレイな曲線が浮き出ることになります。

「よし、あとはこのデータを転送してレーザーカッター彫り出すだけ」と、制作の最終工程に入ったところ、急に別のアイデアが思いついてしまった筆者。升という日本文化にプラスして、升の側面に一から四の漢数字を描きたいと考えたのです。こんな気まぐれ、通用するのでしょうか…?

すると、梅澤さんからは「全然大丈夫ですよ!」との返答が。素材への出力前の段階なら、またデータを作り直せば良いだけ、とのこと。こんな風にアイデアが浮かんだらすぐに具現化できるのは、デジタル加工機ならでは!

漢数字のデータもパパっと作り、レーザーカッターにデータを転送していよいよ、升に文字を彫り出していくことに。彫り出す深さのレベルも自由に選べます。深さによって、木材に浮き出る色の濃さも変わるんですね。

升を台座にセットしてスイッチを押すと、あっという間に線がプリントされていきます。通常の紙のプリンターよりも何倍も速いスピードに、筆者は大興奮! 出来上がりもとても可愛いです。

漢数字の線を彫り出す速さはさらにスピーディーで、瞬きしている間にどんどん側面も完成していきました!

完成した升がコチラ! 相手用の升には台座を付け、2つを重ねてもズレないようにしました。側面の一には1つ目の国で出会った人に、二には2つ目の国で出会った人に名前やメッセージを自由に書いてもらえるように漢数字でスペースの枠を作っています。

データ作りからたった1時間ほどでできたとは思えないほどのクオリティ。何の変哲もなかった無地の升が、自分のアイデアがそのまま具現化された世界で一つだけの作品になっちゃいました! 

何度も彫り出された文字や線を指でなぞってしまいます。梅澤さんのお力を多分にお借りしたとは言え、本当に自分が作ったモノなのか、不思議なくらいの精巧なクオリティです。

完成後には、各参加者がそれぞれの作品について発表。筆者の作品について菅井さんからは「旅に行くごとにどんどん升が重なっていく。目で見ても楽しい、旅の思い出コレクションにもなりますね」と、嬉しいコメントをいただきました!

他の参加者の方も、どんな風景でも自分だけの写真が撮影できるオリジナルの額ぶち、海外のコインをコレクションできる貯金箱、思い出の品を採集できる写真立てなど、これまたすごい作品ばかり! 

こんな、すでに商品化されていそうなモノでも約1時間で作れてしまうなんて、デジタル加工機って本当にすごい。

最後に菅井さんが「モノはそのものよりも、どう使うか、どういうコミュニケーションができるかによって価値が大きく決まります。デジタルファブリケーションによって、作る方も売る方もお客さんも皆がハッピーになれるはず」と総評しました。

今回のワークショップに参加したことで、モノが使われるストーリーを想像してアイデアを考える工程はとても楽しいことが分かった筆者。そして、デジタル加工機でアイデアがどんどん具現化されていく時間は、まるで素材に魔法がかけられていくかのようでした。

生活に楽しさやワクワク、ときめきをプラスしてくれるデジタルファブリケーションによって、筆者のような初心者でも簡単に欲しいモノを作ることができます。皆さんも是非、デジタルファブリケーションに触れてみてはいかがですか?

後編では、LOFT & Fab Awardの過去の作品や詳しい応募方法についてお伝えします。

LOFT & Fab Award 2017 公式サイト

応募締切:2017年08月31日 (木)
問合先 :LOFT & Fab Award 運営事務局
mail   : contact@loftandfab.com

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