1.5年後の自分をイメージしろ!
就職・キャリア教育の導入でよく使われる、安っぽいセリフに「5年後の自分をイメージしなさい!」というのがあります。
もし就職課職員からそう言われたら、学生さんはこう聞き返してみてくださいな。
「あなたは就職5年前から大学職員になろうと思ってたんですか?違うってことはあなたも負け組ですか?」
と。
多分「ギャフン」というはず。
5年前に大震災以後の世の中を想像してた人なんていないし、3年前にここまで妖怪ウォッチが売れる世の中をイメージできてた人なんていないし、1年前に「ラッスンゴレライ」がここまで消費されてることを予想した人がいたかどうか。
5年後のことなんか誰もわからないわけで。
2.目的と目標
これは目的と目標をごっちゃにしてる人が起こしてる現象なんです。
言い換えると、目的とは理念・ポリシーであり、目標は方法や手段。
例えば目的が「健康的な生活をしたい」「知識量を上げたい」だとしたら、目標は「10kg痩せる」「毎日10km走る」「毎月10冊本を読む」となります。
目的は数値化しにくく、目標は数値化しやすい傾向にあるので、わかりやすい解を求める人はつい目標を目的化してしまう。
でも、毎月10冊本を読むのが難しい人は毎月5冊にすればよく、時間はかかるけど人生ではそれでもいいわけで。
「目標をしっかり持つことでモチベーションが上がる」と言われたりしますが、「目的」は持つべきだけど、「目標」はその都度変えるべき・・・ってのが今時な目標設定的な、スローキャリア的な考え方。
目標を持つことは悪いことじゃないけど、目標を変更することは悪いことじゃない。
作家やデザイナーになるために美大へ行った人が主婦や公務員になることは、はたして人生の負け犬なのか?
てか、なんで作家やデザイナーになりたかったの?
単にどんな仕事が他にあるか知らなかっただけなんじゃないの?
3.美大卒で美大職員?
5年前から「オラ、大学職員になりてーー」と思ってる人は多分皆無です。
特に「美大職員になりたい」と思ってる美大生は0なはず(笑)
また、美大就職面接で誰もが語る「美術を志す若い人をサポートしたい!」なんてことはそういう部署ならありえるけど、学校法人という組織である以上、総務業務・経理業務部署に配属される可能性だってあるわけで。
典型例が私、手羽でございます(笑)
1年から大学のアルバイトをちょこちょこやってたんで、「大学職員」という存在は知ってたけど、就職したいとは全然思ってなく。
当時は「1人1台PC」ではなかったから、昔の町役場職員みたいな、腕に黒いレッグウォーマーみたいなやつを付けた人が本当にいっぱいいて、ああいうのはヤダな、と(形から入るタイプ)
4年の夏まで「田舎に帰って美術教師をやるか漫画家になりたい」ぐらいな気持ちでした。
でも、教育実習でいろいろ思うことがあり、「大学職員」という仕事に意識が向き始め、ちょうどムサビが新卒募集をしたんで採用試験を受けたら受かったと。
人生なんてそんなもんっす。
その後、教務課・広報室にいた頃は美大OBとしての強みが確かにあったけど、今は「法人企画室」です。
美大OBである必要はなく、むしろどっちかといえば美大生が苦手な領域であり、「そういうのが嫌いだから美大に入ったのに」な世界(笑)
法人企画室に配属が決まった時は「誰もボクのことをわかってくれてない!(涙)」と思ったりもしたけど、今はポジティブに「美大OBの強みを生かした法人企画業務てなんだろう」と意識しながらやってます。
4.美大卒だからこそ美大職員になってほしい
ムサビ理事長の天坊昭彦が入学式祝辞でこんなことを語ってました。
行間を読めない人は「ムサビ理事長が作家やデザイナーより一般職になれって言ってたw」と思っちゃうみたいなんだけど、そんなことは全然言っておらず。
「美大での学び、そして美大卒の本当の強みは何か?」を話してるわけで。
ぜひ美大を卒業して美大職員になってほしいんです。
ちなみにムサビ職員でムサビ卒は・・・うーん、8人ぐらいかな。1割未満だと思います。
他の美大でもそんなものか、もっと少ないぐらいですかね。
配属先が総務課や経理課もありえるけど、それでも美大卒の美大職員が増えるともっと美大業界は面白くなるはずだと思ってて。
現在募集がかかってる美術・芸術系大学は、手羽が把握してるところだと、
■多摩美術大学::2016(平成28)年度 事務職員(専任)募集について
■平成28年度公立大学法人京都市立芸術大学職員採用試験のお知らせ
の2つ。これから他大学も募集がでるはずなのでぜひ!!!
ムサビ卒でタマビ嘱託職員になった人もいます(笑)
5.有名美大職員
美大職員で一番有名な人は、京都造形芸術大学の吉田大作さんでしょうね。
年間100本以上の講演をし、講演後にサインの行列ができるような人。
3月までは「吉田編集長」と呼んでたけど、4月から大出世して、なんと「事務局長」ですよ。手羽より若いのに。くそ。
手羽もこの狭い業界では、それなりに名前が知られてる方だとは思うけど・・・仕事じゃないので・・・・趣味です・・・。
あ、来週金曜日に栃木県の高校美術の先生方の前で講演をさせてもらうことになりました。
タイトルは「美大ってなんだろう。美術ってなんだろう。」。
ちなみにこれも仕事ではなく、有休使ってます(涙)
6.補足
ただ。
実は大学職員って意外と人気職業でして。
ムサビぐらいの小さな、しかもニッチな業界の大学職員であっても、倍率は300~500倍ぐらいになります。
あ、京都市立芸大さんは数字をはっきり出してますよ。
■平成27年4月1日採用公立大学法人京都市立芸術大学職員(常勤)採用試験(事務職)最終合格者発表
去年は538名応募があり、合格者は3名とのこと。
美大受験より大変でしょ?(笑)
皆さんがイメージしてるような「5時に帰れて夏休みがいっぱい」な業種では全然ないし(通常のサラリーマンよりは休みが多い、取りやすいとは思いますが)、「若い学生さんといつも一緒にキャッキャ」てなこともないし、「クリエイティブな仕事」もそんなに多くないし(本人の考えようだけど)、大学によっては年中オープンキャンパスやってるから休日出勤ばかりだし、18歳人口が減ることはわかってるんだから将来性は??な仕事なんですけどね。
それをわかった上でぜひ!!ということです。
今日のまとめ
●手羽美術大学★の職員は半分を美大卒にしよう。
●でも経理とか総務は一般大学卒の人の方が安心
よし、手羽美術大学★開設の野望がまた一歩近づいた!!
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。