【工芸素材や道具は近い将来に枯渇する】絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」

2016年12月6日(火)

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「東京 工芸」で検索すると東京工芸大学しかHITしないんですよね(笑)
ちなみにくどいようですが東京工芸大さんの「工芸」は「学+術」の略称であって、クラフトではありません。


インターンシップ演習のデータはまだできてないんですが、紹介するのをすっかり忘れてたことに昨日気づき、あわてて更新します・・・。


21世紀鷹峯フォーラム in 東京
●会期:2016年10月22日(土)-2017年1月29日(日)
●場所:東京都内全域


東京は美術館・博物館、教育機関、研究所はもとより、ギャラリー・ショップ、料理店、ホテル等の施設、つまり工芸の「使い手」が集まってる地域と言えます。「作り手」「使い手」「鑑賞者」をつないで工芸を体感する100日間が、この21世紀鷹峯フォーラム in 東京というわけ。


昨年は京都で開催されて、今回が2年目。今回の「100年後の工芸のために普及啓発実行委員会」は
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女子美術大学美術館 東京国立博物館 東京文化財研究所 東京国立近代美術館 東京藝術大学 東京藝術大学大学美術館 東京都江戸東京博物館 東京都庭園美術館 女子美術大学 多摩美術大学 多摩美術大学美術館 文化学園大学 文化学園服飾博物館 武蔵野美術大学 武蔵野美術大学美術館・図書館
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女子美美術館を中核館として委員が構成されており、協力をいただいている機関は

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足立区立郷土博物館 一財)池坊華道会 伊勢半本店紅ミュージアム 今右衛門陶舗東京店 (株)AGホールディングズ エキシビジョン・スペースAPJ 江戸川区立篠崎子ども図書館 江戸下町伝統工芸館 狩野グラススタジオ 紙の博物館 亀戸梅屋敷 画廊三渓洞 菊池寛実記念智美術館 ギャラリー桜の木銀座 GALERIE AZUR 京都造形芸術大学・藝術学舎 銀座黒田陶苑 久米美術館 現代陶芸寛土里 工匠館-たくみのやかた- 国画会工芸部 国際基督教大学湯浅八郎記念館 一社)国際工芸交流機構 国立科学博物館 国立新美術館 五島美術館 Komori & Morose 湖山医療福祉グループ 齋藤紫紅洞 茶道宗和流 サボア・ヴィーブル Salon de TiTi 澤乃井櫛かんざし美術館 サントリーホールディングス(株) 資生堂ギャラリー 渋谷区立松濤美術館 しぶや黒田陶苑 (株)島津製作所 NPO法人趣都金澤 新宿区染色協議会(お江戸新宿・紺屋めぐり) 新宿区立四谷図書館 瑞玉ギャラリー すみだ3M運動 すみだ北斎美術館 静嘉堂文庫美術館 石洞美術館 世田谷美術館 泉屋博古館分館 大日本印刷(株) 大日本茶道学会 田島美術店 青山 玉川大学教育博物館 玉川大学芸術学部 公財)たましん地域文化財団 t.gallery 一財)伝統的工芸品産業振興協会 伝統工芸青山スクエア 東京おもちゃ美術館 東京クラフトマップ実行委員会 公財)東京都中小企業振興公社 東京都美術館 東京都立産業技術研究センター 東京美術倶楽部 戸栗美術館 土鈴展示館・鈴蔵 (株)ナカダイ 中長小西 公社)日本新工芸家連盟 公社)日本工芸会 公社)日本クラフトデザイン協会 公社)日展 公財)日本デザイン振興会 特非)日本伝統文化交流協会つなぐ文化プロジェクト 日本陶芸倶楽部 日本橋とやま館(富山県商工労働部) 一社)日本文化伝統産業近代化促進協議会 日本貿易振興機構(JETRO) 日本民藝館 根津美術館 練馬区立美術館 白山陶器東京ショールーム はせがわ銀座本店銀座ギャラリー 畠山記念館 パナソニック汐留ミュージアム HALI’S Glass Art Studio HIECAL ピーエス(株) 東日本旅客鉄道(株) 深川江戸資料館 文京学院大学 文京区小石川図書館 平成記念美術館ギャラリー 町田市立博物館 松岡美術館 三井不動産(株) (株)三越伊勢丹 三菱一号館美術館 三菱地所(株) 水戸忠交易 港区立高輪図書館分室 メイ・ウシヤマ学園 明治大学博物館 森ビル(株) 吉徳資料室 LIXILギャラリー ほか
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と100機関以上が協力しています。
「工芸100年を100日間で100の機関によって同時多発的に100のイベントをやろう」でスタートしましたが、結局300イベントになったそう(笑)
100日間の間に様々な場所で、「素材とわざ」に焦点をあてた展示や次世代への教育普及のためのワークショップ、シンポジウムを開催してる最中です。
 

 
ちなみになんで「鷹峯」(たかがみね)なのか?てか鷹峯ってなんなのか?と誰もが感じると思いますが、 俵屋宗達、尾形光琳とともに琳派の祖と言われる本阿弥光悦が京都の鷹峯に移り住んだことから、光悦を慕うつくり手や芸術家、町衆、豪商たちが集まり、それまでになかった使い手の視点を直接反映した新しい工芸が生まれるようになりました。鷹峯は日本最初の芸術村でもあるんです。
それを今の解釈で展開しましょう、というのが由来。
・・・とエラそうに書いてますが、手羽も知りませんでした・・。


んでもうすぐ開催される注目の企画がこちら。

絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」
●日程:2016年12月13日(火)
●時間:午後1時–午後7時
*出展者ライトニングトーク・ミニシンポジウム:午後4時00分–午後5時45分
●内容: 対話式ブース・15の出展者|入場無料・事前申込不要(web事前申込者には各種特典あり)
●会場:六本木ヒルズ・ハリウッドプラザ ハリウッド・ビューティ専門学校・7 階教室

 

需要の減少や高齢化、後継者不足で作り手がどんどん減っていますが、作り手が減るとその道具や材料を作る人も仕事がなくなり廃業する、という悪い循環が始まっています。
白髭のおじいちゃんが工芸作品を工房で静かに作ってるシーンをよく映像で見るので「高齢化で作り手が減っているんだろうなあ・・」というのはたやすく想像できますが、「若い人が受け継げばいいじゃん」と思っても、その素材を作る人や大事な道具を作る人も同じように減ってるので、作りたくても作れない・・という世界がすごく近い未来にやってきます。
美大の木工授業で使ってる両刃ノコギリを研ぐ職人がいなくなった、というのもすごくいい例。
伊勢神宮の20年に1度の式年遷宮は「強制的なサスティナブルのシステム」と言えるわけで、ここまでしないと技術などは受け継がれていかないものなのかもしれません・・。

このフォーラムは、日本全国でこの課題解決に向け努力する「ひと」、 良い取り組みを推進する「機関」、 次世代に伝えたい「ほんもの」素材を紹介することで、将来を開く実際の手だてを考えようというもの。
ライトニングトークや展示以外にもいろいろ作れたり持ち帰れるものもあるそうです。


もちろんこれ以外にも様々な企画が動いてますが、

2017年1月29日最終日には円卓会議「100年後の工芸のために」が東京ミッドタウンホールで開催されます。
有識者、つくり手、つなぎ手、使い手が揃い意見を交換する、工芸版「ダボス会議」をイメージされてるそう。
 
こちらも合わせてぜひ。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。