それぞれの痔

る日、友人三人で新宿の歌舞伎町の裏にある 中華料理店・上海シャオツーで飯を食っていた。 この飯屋、正直言って汚い。 ベタベタしてるし、掃除も行き届いてないだろう。 しかしながら、雰囲気は抜群に良い。 写真だけ見たら誰もが日本だと言わず、皆、中国だと答えるだろう。 飯は抜群に美味く、独特の味がする揚げパンは最高。 ほんのり甘く、噛み心地は抜群で。 その揚げパンを一品料理のスープに浸して食べる。 これ雰囲気とあいまって頂点。 僕は、ここの常連になることを決めたよ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

そこで話した話題と云えば、オリンピックのエンブレム問題、
小説『ガープの世界」、柴田聡子とモーニング娘。などなど。
なかでも一番盛り上がったのはそれぞれのトイレ事情だ。

友人K(かっこいい洋服を作っている男)は和式派。
特に力を入れる大の場合は、より和式を好むとのこと。

友人C(編み物作家の女)は洋式派、和式は苦手。

僕は、もっぱらウォッシュレット派で。
もう、なきゃ、お尻がちゃんとキレイになったか、不安で、仕方ない。
青山のデザイン事務所でバイトしていた際も、
近くのウォッシュレット付きトイレの位置を把握していたほど。

トイレトークは弾むうちに一つの答えに至る。
それぞれのトイレセンスは実家のトイレ環境に依存する、ということ。
Kは幼少期の頃、家のトイレは和式だったと云う。だから、デビュー戦も和式。
Cは洋式だがウォッシュレットなし。
僕の場合は、生まれた瞬間にウォッシュレット付きの家だったので、
デビュー戦からケツはお湯で洗浄。

舞台は、変わりゴールデン街のキャロット。
第6回のコラムでも書いた栗ちゃんと、その後輩と飲酒をしていた。
彼女も出来、脱・童貞し、ちょっとオシャレになった栗ちゃんを横目に
愛媛県のみかんジュースをつかったファジーネーブルを飲む。
ちなみに、栗ちゃんが連れて来た後輩は童貞で。
栗ちゃんが童貞を卒業したことによって、寂しい思いをしている僕を癒す人身御供。

栗ちゃんは、今日とて早稲田公式のえんじ色のパーカーを着ていた。
なぜなら、会う時は必ず早稲田のパーカー着てね!
と約束を交わしたからである。
律儀に守り続ける栗ちゃんはカワイイ。
ふと思い「おいおい、栗ちゃん、お前パーカーの下、何着てるの?」と聞くと、
栗ちゃんは何も言わずTシャツをめくった。
そこには、早稲田のえんじ色のTシャツ。
大爆笑した。

つまり彼は、早稲田Tシャツの上に、早稲田パーカーを着ている。
しかも、ヘアカラーもえんじ色。
上半身全て早稲田カラーの栗ちゃんを見て興奮したね。

酒も進み、「栗ちゃん、何か面白い話ないかね?」と絡むと、栗ちゃんから衝撃の発言が。
「ヨシムラさん、俺、痔になったんですよ」
再度、大爆笑した。
「ははははっは、痔かよぉ」もう、笑いは止まらない。
栗ちゃんと痔!これほどナイスな組み合わせは、ナカナカない本当に。
カレーと福神漬け、そばと七味、タモリとサングラスぐらい相性が良い。

「なんで、痔になったの?」と聞くと、栗ちゃんは、ゆっくりと自らの痔について話し始めた。
「俺、もともとケツを強く拭くタイプだったんですよ……」彼の独白が始まった。
初めてケツにから血が出たのは中学時代でしたね。
当時はウォッシュレットがなかったので、手で拭くんですけど、
何度も、何度も拭くんですよ。何度も(力がこもる栗ちゃん)。
そしたら、出たんですよ。そこから、わりかしコンスタントに血は付きました。
今も思うと、あそこで強く拭くのをやめていれば良かったんです……。
まぁ、高校2年になると家にもウォッシュレットが設備されたので、
それからは良かったんですが……。

強く拭くのを再開したキッカケは、浪人で上京した東京ですね。
一人暮らしの部屋に当然、ウォッシュレットはなくて、
かわりにトイレットペーパーを濡らして拭いて、更にカラぶきしてたんですよ。
どうしても強く拭くから、また血が出始めました。

栗ちゃんと痔の戦いが遂に始まる。後編へ続く。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

ヨシムラヒロム / Hiromu Yoshimura

中野区観光大使やっています。最近、29歳になりました!趣味は読書です。