【4年生必見】手羽の卒業制作15ヶ条その1

詳しくは今度書きますが、卒業制作は大失敗した手羽です・・・。

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もうすぐ12月。
美大4年生は卒業制作の真っ最中じゃないでしょうか。

まず、「卒業制作、卒業制作展って何?」の話を。
美大はもちろん「卒業論文」もあるけど、「卒業制作」(以下『卒制』)を作ることが多いです。多くの大学では4年後期から卒制に入るんじゃないかな。
そしてそれらを展示するのを「卒業制作展」(以下『卒展』)といいます。

卒展は学内だったり学外だったり大学によってやり方はバラバラ。
各学科独自の卒展は学外ギャラリーでやることもありますが、大学全体としての卒展は関東美大は学内でやるのがほとんどだし、関西は美術館でやる傾向にあります。
また、卒展の位置付けも大学によって違い、ムサビの場合は1月に展示した状態で講評・採点し、そのまま一般公開するので「卒業制作=卒業制作展」であり、学生さんの学内卒展にかける気持ちはハンパないです。
一方タマビさんは1月に講評終わらせ3月に学内展示なので、学生さんのモチベーションも低く、正直学内卒展自体はショボイです(笑) でも各学科の学外卒展の気合の入れようはすごいですよ。
おっと、各美大の卒展スケジュールは、1月に書かせてもらいます。


「卒展」と「芸術祭」の大きな違いは、基本的に卒展は1回しか経験しない(できない)こと。
短大編入組や大学院2年生以外は誰も参加経験値がないんです。みんな卒展初心者。
なおかつ引継ぎが無いので、前例が蓄積されにくい。
なので、自主的にいろんな展示を見てる人とそうじゃない人の差が激しく出ます。


というわけで、現在卒業制作を作ってる人のために、
「こういう部分を気を付けるといいよ」
「卒業制作で陥りやすい点」

をまとめました。
教育的効果・美術的評価は先生にまかせるとして、教務課時代に卒展担当を5年やり、毎年ムサビ含め他大学の卒展を見て回ってる手羽がテクニカルな部分を。
手羽も卒展で「事前にそれを教えてくれてたら回避できたのに・・・」と今でも思い出すだけで「クーーー!!」となることがあるので・・。
ムサビ生向きな内容になってるけど、他美大の方、またこれから展示を考えてる人にも参考になると思います。
あ、ムサビ日記・美大日記・美大ラウンジブログで既に書いてきたことなので「またこの話かよ・・」と思う方も多いと思いますが、毎年バージョンを上げてますんで(笑)
それでもやはり毎年「今年もこの失敗をしてる学生さんがいるなあ・・ブログを読んでくれてたらなあ・・」と。



名付けて「手羽の卒業制作15ヶ条」。

1.屋外作品は学内全体に影響する


  • 2013年度ムサビ卒展風景[撮影:手羽イチロウ]

屋外作品は目立つので、屋外作品がしょぼいと学内全体、特に近くの建物の作品全体がしょぼく見えちゃう。これほんと。
意識してなくても、屋外作品ってその空間のシンボリック的なものになってしまうので、作者の学生さんは責任が大きいです。
「目立つ場所に置きたい」気持ちはわかるけど、目立つ場所に置く以上シッカリ作ってほしいし、「3日間ぐらいで作りました」的、垂木とベニアを組み合わせたような作品は避けてほしいな、と。
逆にちゃんと作った作品が屋外にあると、「今年の卒展は良かった」と言われやすい傾向にあります。これもほんと。
  
 
2.小屋モノは内側と外側をしっかり作れ。いや、そもそもその小屋はいるのか?


  • 2013年度ムサビ卒展より。この小屋はよくできてましたね。

手羽は「小屋モノ」と呼んでるんですが、「囲った壁や小屋(ようなもの)の中に作品があったり、その中で絵像を見せたり、または穴から外界を見る」タイプの作品です。
このタイプで一番陥りやすいのは、中のことばかり考えて外装、つまり「箱」の処理を手を抜いちゃうパターン。
自分が見る側の立場だと、見た目の悪い作品の中に入ろうと思いませんよね? 中に入って見てもらいたい作品なら、中身を作る以上に「箱」制作に力とお金をかけるべきなんです。

んで。
「教室の中に自分が占有できる空間が必要=壁で作品を囲む」という展示が最近は多いけど、囲まれた空間が立ってる部屋って、あまり見栄えがいいものではなく。
そもそも小屋状態にする必然があるのか?」ということですね。
その壁に必然性があったり、外側から見て壁も作品の一つになってるならいいんだけど、「ダンボールパネルを立てただけですー。1人の空間が欲しかったんで囲みましたー」みたいな作者が、いい作品を作る気遣いがあるとは思えず。

「展示」って「作品を見せる場」ではなく「空間を作る場」だと思ってます。
場合によっては、自分の作品に対し「妥協」することになるやもしれない。
でも、不思議なことに会場全体の空間に調和が取れると、自然とその中の作品も良く見えるもの。
「空間のために基本コンセプトを妥協しろ」という意味ではなく、 「空間を良くするためには、違うアプローチもあるんじゃないの?」ということです。
「屋外作品は全体に影響する」と最初に書きましたが、「室内は周りの作品に影響する」も当てはまります。
 
 
3.この時期の風の強さと寒さはハンパない。


  • 2013年度ムサビ卒展風景[撮影:手羽イチロウ]

屋外作品で忘れちゃいけないのは風対策。
雨よりも実はやっかいで。
特にビル風(ムサビだと中央広場や12号館前、9号館前、2号館)はほんとにバカにしちゃいけません。
私の同期が卒展で中央広場にトタンで作ったような作品を設置したら、風で1日もちませんでした。 ブーフーウーの家状態でトタンが飛んでく姿は今でも忘れられません(笑)

そして、屋外は寒い!!
屋外展示は
●室内よりも大きな作品が展示できる
●通りすがりの人も見てくれる可能性が高い。→目立つ
というメリットがある一方、室内展示のみんなは来場者の方となごやかな空間を過ごしているのに、屋外展示組は寒くて寒くて作品のそばにはいれないし、 準備・撤収は凍えるように寒い。
手羽の卒制は屋外展示だったんだけど、作品そばにいれないから作品を見に来てくれた友達とも会えなかったし(当時は携帯もなかったので)、芳名帳をおいても風で飛んでいくし、寒いからみんなじっと作品を見てくれないし。
「目立ちたいから屋外に作品を置きたい!」ぐらいな理由であればやめた方がいいです。

ちなみに卒展の時期は午後5時過ぎから暗くなります。今の状況からは想像しにくいけど、1月の午後4時台ってまだ明るいんです。
ムサビの卒展時間は9時から5時までなので、「屋外設置で暗い状態がデフォルト」な作品は会期時間と矛盾してるので、室内設置を選択した方がいいっす。
 
 
4.大きさ・長さ・広さ・高さの「重さ」がある


  • 2013年度ムサビ卒展風景[撮影:手羽イチロウ]

小さいと気にならないけど、大きくなると気が付くもの。
それは大きさ・長さ・広さ・高さの「重さ」です。

例えば、
「布はでかくなると重くなる(大きさ・広さの重さ・空気の重さ)」
「鉄は長くなると予想以上にしなる(長さの重さ・鉄の柔らかさ)」
「紙を立方体にして積み上げたら潰れる(高さの重さ)」

など。
「あれ?鉄って長くなると結構曲がるのね」と気がついた時には講評前日。
「まあ・・しなってるのもアリってことにしよう。曲線を出したかったってことにしよう」とかなんとか理由をつけて終わり。

これらは大きなものを作る時の素材や設置方法の知識・経験がないから起きることで、見る人間が見れば、 「ああ。ほんとは直線にしたかったのに、直前にそっちゃうことがわかったんだろうなあ・・・」とすぐにわかっちゃいます。大きなものを作れば「重さ」、つまり重力の影響がどんどん出てくることを覚悟しときましょ。

また、「B1プレゼンボードを壁に両面テープで貼り付けて、翌日出てきたら全部床に落ちてた」ってことも特にデザイン系の人は経験してるはず(笑)これも「重さ」の一種ですね。
時間がないから次に取る手段は「両面テープをもっといっぱい使う」「超強力両面テープを使う」です。
でも、これって剥がすのが大変で。せっかく作ったプレゼンボードが撤収の時に剥がす勢いで折れ曲がったり、壁の塗装がベリっとはがれたり・・なんてよくあること。
なぜわざわざ虫ピンや展示フックを使うのか。
それは壁の保護でもあるし、撤収作業を含めた作品保護のためでもあり、楽な両面テープではなくあえてその手段を取ってる蓄積された理由があるわけで。
 
 
5.電気を使う作品は電源入れて初めて成立する


  • 2013年度ムサビ卒展風景[撮影:手羽イチロウ]

ビデオとかPCとか電気を使う作品はちゃんと展示の時は電源いれましょ、ってこと。
すんごく当たり前のこと言ってますが(笑)、それが展覧会でできてない作者も多く・・・。

展示室に入ると、明るい部屋に電源の入ってないプロジェクタとパソコンだけポツンと置かれてて、「???プロジェクターだけ置いたインスタレーション?」・・みたいな状態ほどみっともないものはなく。そういうメディア・発表方法を選んだ以上、「毎朝電源を入れてスタートボタンを押す」のも卒展なんですよね。
 
観客として理解できないのが、1部屋を複数人使ってて、1人だけ電源が入ってないケースです。
監視の学生さんに「なんでアレは電源入ってないの?」と聞くと、「●●ちゃん、寝坊してて」と返ってくる。「友達なら電源入れてあげれば?」と聞くと「スタートの仕方がわからないんで」「壊したら怒られるんで」「それは作者の責任なんで」と。
確かに作品を見てもらえないのは作者の責任だけど、先ほども書いたように、隣接した作品の影響って大きく、部屋の中に一つでも電源がついてない作品があると、その部屋全体悪い印象になるんです。
「個の卒業制作」と「合同の卒業制作展」は違うってことですね。


続くッ!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。