京都で泊まる、観る、食べる、買う。国内アートスポット京都編

古都といわれ、伝統と歴史ある街、京都。神社仏閣から世界遺産まで数多くの古き良きスポットが存在する京都ですが、一方で芸術系の大学も多く新しい芸術の世界も広がっています。2015年は、琳派400年という節目でもあり、春には京都国際芸術祭が開催されるなど、文化芸術活動に注目が集まっています。ここでは、泊まる、観る、食べる、買うというキーワードにそって、京都のアート、デザインに触れられるスポットを紹介します。

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○京都に「泊まる」

京都を訪れたら、まずどこに泊まるかと言うことですが、ぜひゲストハウスに泊まっていただきたいです!京都は日本でも有数の観光地で年間120万人の外国の方が訪れます。それにともなって、観光客を受け入れるホテルや旅館、ゲストハウスも充実しています。せっかくの京都、異国の方とふれあってみるのも面白いです。
そんなゲストハウスの中でも、2015年1月にオープンしたKYOTO ART HOSTEL kumagusukuは、"アート(展覧会)"と"ホステル"を合わせ、展覧会の中に宿泊し、美術を“体験”として深く味わっていただくための宿泊型のアートスペースです。 ここでの展覧会は、年一回のペースで開催され、その度に全く違う宿泊空間に変貌を遂げます。
オーナーは自身もアーティストである矢津吉隆さん。作家活動を行う中で疑問に感じた、ギャラリーなどでの「通過していく鑑賞」とは異なる作品の見せ方がいかに可能か?そうした思いから、宿泊する中で長い時間をかけて作品を鑑賞してもらうための環境をつくりったそうです。

○京都で「食べる」

京都を訪れたらやっぱり食べたくなるのは、和のものですよね。ということで、是非食べていただきたいのが和菓子なんですが、ご紹介する日果の和菓子はなかなか食べることができません。なぜって?それはお店が月に一回しか開かないからなんです。
日菓は、京都出身ではない2人が京菓子に魅了され、京菓子を通じて出会い、「『曲げわっぱをリネンで包んだような』和菓子を作りたい!」という想いから、和菓子作りが始まったそうです。
和菓子を作品として制作し発表する活動をしており、京都市北区に工房を構え、月に一度だけ、工房がお店になる「月一日菓店」を開店しています。なかなか食べるのことのできない日菓の和菓子、それは食べる作品です。是非食べてみてください。

○京都で観る


  • 撮影:山田毅

京都って神社、仏閣、仏像、庭園など、やっぱりそういう日本ならではのものの印象が強いですよ。そんな京都でこの春、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015が開催されるんです。海外からも注目度の高い京都で芸術祭が行われるのは、今回が初めてとのこと。
蔡國強・ピピロッティ・リスト・ウィリアム・ケントリッジなど約40組の作家が京都の春を盛り上げます。日本からも田中功起や高嶺格など注目の作家が出品。古都京都で今を生きる作家が、どのように展示を行うのか注目です。開催期間は、2015年3月7日(土)–5月10日(日)。京都の点在する会場で開催されます。

もうひとつのアートスポットは、一度は聞いたことがある桂離宮です。桂離宮は17世紀に八条宮家(桂宮家)の別荘として造営されたもので、書院、茶屋、回遊式庭園から成り、王朝文化の粋を今に伝える庭園と建築物は、とても面白く、観るべきところが満載です。その庭園は庭は日本庭園の傑作とされています。
貴族の別荘とあって、趣深さのなかに斬新で遊び心に溢れ、作り手の工夫と遊び心が見えて、当時の最先端の粋がそこに表現されているのを観ることができます。建築家のブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい」と絶賛したというその景観は、かつて貴族が眺めた景色であり、いまもなお驚きと発見があるなんて、不思議で特別な体験になるでしょう。
桂離宮は事前予約が必要ですので、いきなり訪問はできませんが、京都御所に受付があり、前日までに直接予約をすれば、入れることがあるそうです。

○京都で「買う」

京都のお土産の定番といえばやっぱり「八つ橋」。とてもおいしいのですが、ちょっと変わったものをお見上げに買って帰りたいと思ったりしますよね。
そこで、是非お勧めしたいのが、お香です。京都では花道、茶道ともうひとつ香道というものがあります。香りを日頃から楽しむ風習があるんですね。

お香にもいろいろなものがあり、お線香や蚊取り線香のような直接火をつけるタイプのものから、におい袋という火を使わず室温で香るように調合されたお香もあります。また香木という専門的なものもあります。香道では、香りは「かぐ」ものではなく、「聞く」んだそうですよ。何とも奥が深い。
一定の作法のもとに香木をたき、立ち上る香気の異同によって古典的な詩歌や故事、情景を鑑賞する文学性、精神性の高い芸道、それが香道です。実際に体験できるところや、自分のオリジナルの香りを作れるところもあるようです。
京都のお土産に香りを持って帰るというのも、風流ですよね。
古都京都といっても、長い歴史の末端で、若い作家や職人たちが作品をつくり、新しいものを生み出しています。昔も今もあわせて楽しんだら、もっと京都を楽しめると思いますよ。

書き手:山田毅

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OTONA WRITER

山田毅 / yamadatsuyoshi

東京から移住して、現在は京都で、編集者をしたり、本屋の店長をしたり、村作りに携わったり、そして再び美術を学んでいます。東京と京都のアート・デザインの世界にまつわるあれこれを配信していけたらと思っています。