現代美術さながらアーティスティックな築地市場を散歩する
地方から高速バスでやってきて、早朝5時頃に東京駅に着く人も多いはず。辺りはまだ薄暗く、空いているのはファーストフードのチェーンだけ。そこでぜひ行ってほしい空間は、築地市場です。
東京駅から、まだ眠っている朝の銀座の街を通り過ぎて、散歩すること約25分。
1923年から続く市場で、その規模はなんと世界最大。しかし、豊洲に完成する新しい施設に移動の予定があり、今の姿を見られるのもあと数年とのこと。
築地市場には、場内市場と場外市場があります。おすすめしたいのが、場内市場。働く人と、日本中・世界中の食材が集う場所の活気。熱量が半端ない。
幽かに光が漏れる天窓のある高い天井、錆びた剥き出しの鉄筋。看板のちょっとした書き文字や、入れ物や道具や機械の形も注目したくなるポイント。ターレと呼ばれる電動リヤカーが行き交う様子も、どこか可愛らしく心踊ります。
築地市場が醸し出す雰囲気は、まさに現代アートさながら。美術館よりもアーティスティックかもしれません。
本倉庫が、プールが!リノベーションの可能性を知る
意外な空間をリノベーションして、新しい場所を切り開いているショップを紹介します。
まず一つ目は、「the POOL aoyama」。
1970年初頭に建てられたマンションの1階にあった住民のためのプール。長年利用されていなかったプールを改装し、コンセプトショップに。ショップデザインは、アーキタイプの荒木信雄氏。男子・女子更衣室は表示をそのまま使用し、フィッティングルームやストックとして活用されていたり、プールに沿って商品が陳列されていたりと、ウィットに富んだデザインです。
そして、もう一つは、昭和40年代に建築された新潮社の本倉庫を改装したキュレーションストア、「lakagu」。 “REVALUE”をコンセプトに、流行に流されず、“ 昔からあるもの” や“これからも大切にしたいもの”に価値を見出そうという姿勢のもと、「衣食住+ 知」のライフスタイルを編集し提案するショップ。ファッション、生活雑貨、カフェ、家具、ブックスペース、レクチャースペースを備えていて、新潮社ならでは、作家をゲストに招いたトークイベントや、本のセレクトも楽しめます。設計は隈研吾建築都市設計事務所。倉庫の硬質な雰囲気をそのまま活かしたインダストリアルな空間になっています。
こういった空間で得た体験をストックしておくと、地元に戻っていつもの場所を通った時に、「ここはこんな場所にできるのでは?」というインスピレーションが湧き、わくわくする未来を想像するきっかけになるのではないでしょうか。
総合芸術である舞台を観て五感をフル回転させる
舞台の公演は、東京でしか見られないものが多数。地方で見ようと思っても、それほどチャンスがありません。
舞台は総合芸術。台本、振り付け、舞台美術、照明、衣装、音楽、宣伝美術など。いくつもの要素が組み合わさって成り立っているので、五感をフル回転させても追いつかないくらい、飛び込んでくる情報が溢れんばかりです。
そして、演者と観客が共に一つの空間を同じ時に体験できるのは魅力的。演劇でもバレエでもミュージカルでもコンテンポラリーダンスでも歌舞伎でも良いですし、下北沢の小劇場からキャパの大きな公共施設まで、東京なら選択肢が広がります。
学割制度がある劇場や公演もあるので活用してみましょう。
・パルコ劇場 U-25チケット
・新国立劇場 当日学割割引
・東京藝術劇場 25歳以下割引
・歌舞伎座 一幕見席
美大生のお財布に優しいアートなホステルに泊まる
東京で滞在するのに必要なのは宿。兄弟や友達の家に泊めてもらえる場合は良いのですが、あてがない時には、こんな場所はいかがでしょう。
「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」は、下町の中でもものづくりの町として古くから知られる町、蔵前にあります。建物は、江戸時代から続くという玩具店の倉庫を改装したもの。木を貴重とした深い温かみのあるおしゃれな内装も見所です。ホステルにカフェとバーラウンジが併設されていて、宿泊した人と地元の人が交流できるようになっています。ライブやイベントを行うこともあり、下町で新しいコミュニティを形成するきっかけを担っています。
ホステルは、国内でも海外でも美大生にとって強い味方。Nui.にも1泊2700〜3750円で泊まることができます。国籍も職業も年齢も越えて、様々な人が混ざり合う空間での出会いを楽しみ、旅の疲れを癒してくださいね。
キュレーション力に脱帽!東京駅直結の博物館に寄る
最後に、東京駅から地元へ帰る時に立ち寄ることをおすすめしたいのが、「インターメディアテク」という東京駅直結の新しいタイプの博物館。
東京大学がアーカイブしてきた動物の骨格や剥製、鉱物、プロダクトなど、自然史・文化史の博物標本が展示されています。
注目してほしいのは、空間のキュレーション力です。建物は、昭和のモダニズムの名作として知られる旧東京中央郵便局舎。展示室に生まれ変わったのは、郵便集配の業務に使われていた部屋。建造物の構造を生かしリノベーションしたレトロな空間に、東京大学博物館から受け継いだアンティークの什器と、新たに制作したオリジナルデザインが融合しています。
そしてなんと入場無料なので気軽に訪れることができます。まるで映画のワンシーンに潜り込んだような気分にさせてくれそうです。
さて、行ってみたいと思える場所はあったでしょうか。
みなさんの東京滞在が最高な日々になりますように!
11月3日文化の日生まれ。随時工事中の人間型文化施設。愛称はルーシー。株式会社モーフィングにて展示キュレーションや自社メディアを担当。東北芸術工科大学卒業後、せんだいメディアテークを経て現職。