新卒を捨て、いきなり海外でフリーランスになってみて思うこと

ベルリン在住・フリーの翻訳家wasabiさん。偶然アートのイベントで出会った若いデザイナーに言われた一言でとても勇気づけられ、いきなり海外でフリーランスになったのだそう。今回は彼女のブログから、「いきなりフリーになって良かったこと」を紹介する。あなたの進路選択の幅を広げる、きっと素敵な視点になるはず!

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こんにちは、最近イギリスのドラマGame of Thronesにハマって夜更かしが続いているwasabi(@wasabi_nomadik)です。


海外ドラマってハマると抜け出せなくなるのでなるべくハマりたくないんですが、Game of Thronesは話が複雑で、扱っている時代に出て来る文化なども面白いのでちょっとしたオタク心みたいなのも満たされるのでどうしても見てしまうんです。



そんな話はさておき・・・・今日は私が新卒を捨てて、就職をせずにいきなり海外でフリーランスになった話をしてみようと思います。


なぜかと言うと、私は日本にいたときに同じように大学卒業後いきなりフリーになった人はほとんど知らないんです。


私の高校時代からの友人であり、現在地下アイドル&ライターとして東京で活躍している「姫乃たま」ちゃんは、高校時代からアイドル活動を続けながら大学へ通い、無事卒業した後はそのままフリーランスのアイドルやライターとして多方面の舞台や媒体で活動しています。


でも、彼女のような例は本当に稀で、私は当時卒業後にそのままフリーランスで自分のやりたいことをできるのか不安でした。


色々な職種の人に会ってそんな話をしてみました。企業の社長さん、元新聞社勤務のジャーナリスト、大手に就職したゼミの先輩・・・そんな中誰に会っても「いきなりは無理なんじゃない?」とか、一番多くもらったアドバイスは「就職して、社会人として経験してからの方がいい」というものでした。


・・・でも、そんな不安を持ちつつも私は分かっていたんです。自分にはこの方法しかないと。だから、周りの大人に相談をしつつも、本当はアドバイスなんか求めていなくてただただ私の考えに共感し、応援してくれる言葉をずっと探し続けていました。


幾度も幾度も色々な方にアドバイスを仰ぐも、誰に会っても同じ事を言われるので、当時自分のやりたいことは間違っているのだろうかとか、私は何も分かっていない空想家なのか、だとか今考えるとあまりにも自己卑下的な発想をしていました。


そんな時、偶然アートのイベントで出会った若いデザイナーの方に言われた一言で私はとても勇気づけられます。

  「自分は就職せずいきなりフリーになったよ!そういうやり方は不可能ではないし、
  自分もそれを若い人たちにもっと広めていきたい!一緒に頑張りましょう!」



今まで何十人にも「無理だ」と言われ続けて来たのに、たった一人の彼の言葉で私はハッとさせられました。そして今まで私にいきなりフリーは「無理だ」と言い続けて来た人の、当たり前すぎるある共通点に気がついてしまいました。

それは、彼らは「いきなりフリーになったことがない」ということです。


本当に当たり前すぎる事実ですが、私がいつも相談をしていた人達は皆、就職をしたことのある人達だったのです!何事にも経験がない人に物は語れないですよね。

そして、私も例外に漏れず人間は自分のしていることを肯定したいという心理がどうしてもあります。


大学を卒業し、就職をしてステップアップしている方々にとって「いきなりフリーになって成功できる」と言って自分とは違う進路を肯定する事は、自分の今まで歩んで来た道をある意味で認めないことになってしまうのかもしれないと気がつきました。


そして日本には絶対数として、大学卒業➡就職➡フリーという段階をとる人が多いのです。その証拠に私は全くそれ以外のルートでフリーになった人に会った事がありません。私はそうした「フリー転身へのひな形」を否定する気はありませんし、就職を経たフリーにどんなメリットがあるのかも、自分がフリーだからこそ容易に想像できます。


この「大学卒業➡就職➡フリー」という道を辿っている人は多いので、それに関するアドバイスも多くもらえることでしょう。なので私は「いきなりフリーになって良かったこと」を少しシェアしたいと思います。



1.考え方が「攻め」になって、生活全てが楽しくなる

フリーランスはその響きとは裏腹に、稼がなければ明日路頭に迷う生き物です。自分の生活全てがビジネスチャンスになるし、自分の周りで起きている事も「消費者」といった受け身の姿勢ではなく「経営側」の視点や物事を引率している立場側から考えるようになります。居酒屋でバイトした事のある人が、自分がお客さんとして他のお店に行ったときに店員の動きや愛想がやたらと気になるのと似ているかもしれません。


だんだんこういうマインドになってくると、自分のやっていることが社会とどう関係していけるのか、どうやって自分のやりたいことを社会から求められている事と絡めながらやっていけるのかを常に意識するようになりました。



2.すぐスキルが身に付く

企業に入るとありがちなのが、自分の業務とはあまり関係のない「下積み」という名の仕事を経験しなければならないということです。私の例で言えば、翻訳家になりたいなら、翻訳会社に入るのがいいという翻訳会社の社長さんがいましたが、今考えると彼の言っていることはちょっと矛盾しています。


「まぁ、翻訳会社に入っても翻訳者のコーディーネートや営業をすることになるから実際に翻訳をする仕事はほとんどないだろうね。でも翻訳関係のコネができるし、ちょっと翻訳者が足りないときなんかは翻訳をやらせてもらえることもあるかもね!


これは翻訳関係のコネができることがフリー転身にとって有利だと考えたうえでの発言でしょう。たしかにコネは大切なのですが、肝心の翻訳スキルはいつ身に付くのでしょう?純粋に翻訳のスキルを身につけたいと考えたらこれではあまりにも遠回りです。


その点、フリーは「実践あるのみ」なので自分の欲しいスキルはどんどん身に付いて行きます。



3.いきなりスゴイ人達に会える

これは私がフリーになって最もメリットだと感じる点です。常に出会うタイプの人間が違い、とても刺激的です。特に私はライターなので取材にかこつけて自分の会いたい人に会ったりもします。そうした人達へのコンタクトも全て自分で行うので、いきなりスゴイ憧れていた人へ繋がったりすることは全然可能なんです。不思議なことに自分がスゴイと思っている人に普通に会えるようになると、「自分もスゴイ」と自己肯定できるようになります。それに、加えてフリーらしい「攻め」の姿勢が加わればもう無敵!多少のことではヘコたれないでしょう。


そして同じくフリーで活動している人達からもらえるアドバイスは、誰からもらう言葉よりも身にしみるものがあります。


こうした人々は会社にいたら絶対に会えないタイプの人々です。こんな仲間に出会える事も強みではないでしょうか。






海外でフリーランスって、なんだか遠い響きのように感じる方も多いと思います。

私もそう思っていましたから。



でも、周りから白い目で見られながらも新卒というブランドを捨てて、今はフリーになってベルリンで生活している自分がいます。


(新卒という概念も、日本だけで通用するものであってドイツでは就職において無価値です。でも、そう強く言い切れるのも、今海外で生きながら自分でそれを証明できているからです。)


本当に、不可能なことはないなと強く思います。必要なのは、覚悟。

私は胸を張ってそう言い切ります。



この記事が一歩を踏み出したい方への応援歌になれば本当に幸いです。





転載元:
wsbi「新卒を捨て、いきなり海外でフリーランスになってみて思うこと」

本記事は「wsbi」から提供を受けております。
著作権はWasabiに帰属します。

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OTONA WRITER

wasabi / wasabi

ベルリンでフリーランスの翻訳家・ライターとしてアーティスト・ステートメントの日英翻訳や移住情報の発信をしています。現地のアート情報や空気感が伝わる文章を発信していきます。掲載媒体はブログ「WSBI」、ドイツ大使館公式ブログ「YOUNG GERMANY」、外国人向けの日本文化情報サイト「Tadaima Japan」他。