美大生の人生にいろんな選択肢を!海外在住日本人アーティスト対談SALONAIRが8日(土)放送開始

美大生は他の大学の学生以上に、就職以外のいろんな生き方を持っています。PARTNERでは、さらにその生き方の選択肢を広げるきっかけを提供できればと、あたらしくオンラインで海外在住アーティストとの対談『SALONAIR』を今週末からスタートします!SALONAIRとは?アーティスト対談って何を話すの?今回は、SALONAIRについてモデレーターのALIMOさんと、PARTNERのWEB編集長上野なつみが往復書簡で語り合いました。

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みなさん、こんにちは。

このサイト「PARTNER」の管理人であり
編集長をしています、上野なつみです。
個人でもライターとして記事をかかせてもらっています。
(自分の趣味の旅の話ばかりなのですが‥‥)



さて、来週8月8日(土)から、PARTNERで新しい特集をはじめることにしました。
「総合メディア」を名乗ってきたPARTNERにとって新しいチャレンジなのですが‥‥






つまりは、世界各地のアーティストと対談し、
それを皆さん向けにオンラインで放送しちゃおうという企画です。

今回は、そんな企画誕生の裏側をご紹介したいと思います。
オンライン放送でモデレーターを務めていただくALIMOさんとの往復書簡です。


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往復書簡①【SALONAIR モデレーターALIMOさんへ】
「PARTNERでぜひSALONAIRを復活させてください!!」

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ALIMOさん、こんにちは。
今年4月にスタートしたウェブメディアPARTNERで編集長をしています、上野なつみです。
8月中旬から、世界各地で作家活動をしている日本人とリアルタイムに対談するオンラインの番組『SALONAIR』をPARTNERのあたらいし企画として放送スタートします。

ALIMOさんにはモデレーターを務めていただくことになりました。
改めて、『SALONAIR in PARTNER』実現を受けていただいてありがとうございます。


「PARTNERでぜひSALONAIRを復活させてほしい!」と
思いの丈を綴ったメールを或る日突然お送りしたのは、実は1ヶ月ほど前のことでしたよね。

私自身学生時代にフリーマガジンのPARTNERでも編集長を務めたのですが、
今回ウェブでメディアを始めるにあたっては、
これまでの【制限】を飛び越えるウェブならではのチャレンジをしたいと思いまして、
雑誌しか読んでこなかったマガジンフリークの私なりに、4つのポイントをあげたんです。

①【場所の制限を超える】
 美大生・アーティストの視点を全国と言わず、世界中から発信したい

②【発信者の制限を超える】
 学生だけでなく卒業生が今見ていること・チャレンジしていることを個々人の発信したい

③【時間の制限を超える】
 もっとリアルタイムな臨場感ある情報をやり取りする

④【表現の制限を超える】
 読者とのインタラクティブな交流、活字ではなく音声や動きを含む映像を活用したい


そんなときに、仲間から「それならばこんなメディアがすでにあるよ」
と教えてもらったのが「海外在住アーティスト対談 SALONAIR」というメディアでした。


  • stopmotionというオンラインブロードキャスティングサイトで放映されていたSALONAIR

さっそくサイトにアクセスしてみると、エストニアに住む「ALIMO」という人が、なにやら世界各地に住んでいるいろんなジャンルのアーティスト・表現者と対談している。非常に素敵な試みでとてもとても気になりはじめまして。

ところが残念ながら、ALIMOさんの帰国に合わせ『SALONAIR』は昨年最終回を迎えている。
それで、さっそくALIMOさんに連絡をさせていただいたんです。
きっとこんな駆け出しのメディアからの問い合わせで驚かれましたよね‥‥。


私自身も学生時代NYへ短期留学した経験があるのと、今まさに南米チリに住んでいることもあるので感じるのですが、お金もエネルギーも日本以上にかかり、偏見やハンディだってあるのに、それでも敢えて「海外で作家をしよう」と日本を飛び出す人は、それはそれは、考えも、行動も、言葉も、魅力的な人が多い気がするんです。
そうしたエネルギーがこの放送に詰まっているのかと思うと、ぜひPARTNERで、SALONAIRをみたい!とわがままに近いような想いが込み上げてきまして。。

残っているサイトを訪問しても肝心の対談映像を見ることができないということもあるので、まずは今回、あたらしい視聴者(「読者」が相手のPARTNERにとってはこの言葉が新鮮です!)のみなさんに向けてSALONAIRを紹介するべく、ALIMOさんにこうしてお手紙というかたちで色々と、おたずねしようとおもいます。


質問① ズバリ!海外在住のアーティストの話は、何が魅力的なのでしょうか?

上野 なつみ



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往復書簡②【PARTNER編集長、上野さんへ】
「ものづくりをしている人は寡黙な人よりも話す人の方が圧倒的に多い」

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上野さん、こんにちわ。

上野さんとはすでに数回のメールと、一度Skypeでお話ししましたね。

SALONAIRに興味を持っていただきありがとうございます。

SALONAIRでは、2013年3月から2014年7月まで合計24名の海外在住作家と対談し、僕がエストニアから帰国するタイミングで終了してしまいました。それでもいつか復活したいと思っていましたので、上野さんから復活しませんかというお話をいただけて嬉しく思っております。


  • 過去放送のSALONAIRにゲスト出演した24名

以前SALONAIRをやり始めた時、物凄いスピードで実現しましたが、今回も速いスピードで物事が進んでいるような感覚があります。こういった企画を考える人には、ある程度イメージが明快にあるのかもしれませんね。PARTNERの立ち上げの時はどうだったのでしょうか?


返答①
上野さんからの質問:海外在住のアーティストの話は、何が魅力的なのでしょうか?

に返答すると、

SALONAIRの目的は、日本に住むまだ海外で作家活動の経験がない若い作家や学生達に新鮮な情報を届けたいという思いがあります。しかしそれだけでなく動機としては、僕自身がエストニアに住みながら、他の国で活動している作家がどう過ごしているのか気になったことが始まりです。美大予備校にしろ美大にしろ学生の頃は仲間同士で夜な夜な作品について話しますよね。展覧会会場でもよく話します。僕はものづくりをしている人は寡黙な人よりも話す人の方が圧倒的に多いような印象を持っています。作品について話せないと作家として成立しないという側面もあるでしょう。こういったことから作家同士が対話する魅力は、それを当事者が必然的に求め合っているものだから、という見方ができると思います。SALONAIRにはそうした一面が色濃く出ていると思います。


  • 初対面のふたりが「海外在住アーティスト」という共通点で対談

SALONAIRで対談させてもらった内容は、主に①なぜその国に行ったのか?②現在どのような活動をしているのか?③海外に拠点を移し日本がどう見えるか?という3つの項目がありました。とはいえ、台本があるわけではないし、ほとんどのゲストの方と僕は直接お会いしたこともないので、大抵話は脱線します。時に食事や物価の話になったり、好きな作家の話になったり。僕がアニメーションを作っているということもあって、音楽をやられているゲストの時は、番組内でコラボレーションをしたこともありました。


  • 放送の中では、ゲストの住む国や街‥‥‥、

  • そして、様々なトピックが画像とともに紹介される

帰国後もSALONAIRの新たな展開をなんとなく考えることがありましたが、なかなか良いプランがありませんでした。そんな時PARTNERの上野さんからご連絡をいただいたのは、恵まれた運だと感じています。というのもSALONAIRはwebの充実度と、紙媒体にも展開したいという思いがあったからです。そのあたり僕からみるとPARTNERは見る人とってとても分かりやすく展開されているという印象を持ちました。もともとSALONAIRは他の番組やメディアに取り込まれることでその力を利用して広く展開していく形態ですので、PARTNERとの相性は良いだろうと想像しています。



質問② 上野さん自身学生時代にフリーマガジンのPARTNERでも編集長を務めていたとのことですが、PARTNERへの参加はどういうきっかけや展開があったのでしょうか?ぜひ聞かせていただけますか?また、PARTNERはさまざまなアプローチをされていて、活動の規模が大きいですが、どのような組織でやられているんですか?



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往復書簡③【SALONAIR モデレーターALIMOさんへ】
「美大生と一言にいっても、いろいろな卒業生がいるし、生き方がある」

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ALIMOさん、こんばんは。
日本はとても暑い日が続いているようですが、
こちらは地球の裏側、暖房の前でぬくぬくと過ごす冬の夜です。

会ったことのない作家同士が、台本もなく脱線しながら話をするというのは、ちょっとしたスリルもありますね。多くのインタビューは人の目に留まりやすいように演出や編集が施されているので、Skypeのビデオ通話からアトリエの風景など日常が垣間見えるというのもまた貴重な気がします。
つい「海外在住アーティストの対談」というところに目が行きがちですが、そもそも「作家同士が対話する魅力は、それを当事者が必然的に求め合っているものだから成立している放送だ」というのもまたSALONAIRに魅力を与えていますね。作家が聞きたくて聞く、作家話したくて話す芸術談義、今から放送が楽しみです。


返答②
ALIMOさんからの質問:上野さん自身学生時代にフリーマガジンのPARTNERでも編集長を務めていたとのことですが、PARTNERへの参加はどういうきっかけや展開があったのでしょうか?ぜひ聞かせていただけますか?また、PARTNERはさまざまなアプローチをされていて、活動の規模が大きいですが、どのような組織でやられているんですか?


私は多摩美芸術学科出身なのですが、専攻のとおり、美術が大好きだけれども「つくること」よりも「見ること」の方が好きだったんです。それで自分が好きな雑誌媒体で美術やアーティストを紹介するようなことができないかと、当時高校3年生、ネットでリサーチをして(時代を感じますが)mixiで出会ったのが創刊したばかりのフリーマガジンPARTNERでした。

当然、美大生がつくる美大生のためのフリーマガジンなので、つくり手ばかりの編集部。首都圏にあるいろいろな大学の美大生30人ほどが、東京国分寺のスペースに集まって毎週会議をしていたのですが、私の印象では8割がデザイン学部または絵画科出身。普通の編集部ではあり得ない構成でした。そうして1年生にしながら編集にチャレンジさせてもらったというわけです。年齢も経験も関係ない学生ならではのフィールドは、自分にとって学びに溢れていました。

PARTNERの活動規模が広がったのは地道なステップがあってのことでした。学生のフリーマガジンコンテストで準グランプリを受賞した日、大阪芸術大学に通う当時の学生が私のところへやってきて「僕も一緒につくりたい」と。冗談かと聞き流していたら、翌月以降隔週で大阪から各駅停車をつかって国分寺のスペースに通い始めたんです。会議3時間のために往復十数時間‥‥、どう考えてもクレイジーなやつでした。でも、そうして関西の美大に友達ができた。その友達の輪は広がり、気づけば関西や東海にもPARTNERの編集支部がでていました。
ALIMOさんがおっしゃられる「作家同士が対話する魅力は、それを当事者が必然的に求め合っているものだから」というところに近いのかもしれません。そして、いつだって、そうやって誰かひとりの行動力からはじまるものですね。


  • 国分寺のスペースで毎週会議をするフリーマガジン編集部

  • イベント班が結成され開催されたイベント「持ち込みナイト」

それから8年、今も全国に支部を構え、週に1度Skypeをつないで全国で会議をしながら、1冊のフリーマガジンをつくっています。年に1〜2度開催される合宿では、実際に顔を合わせ、まさに夜な夜なPARTNERという作品について語り合っています。そんな語り合いの中から、また誰かの思いつきでイベントが行われたり、Webがスタートしたりしています。

4月に始めたWeb版では、これとは組織構成が違っていて、私個人が編集者として立ち、現在約40名ほどのライターさんとともに記事を展開しています。美大生と一言にいっても、いろいろな卒業生がいるし生き方がある。そのバラエティがライターさんのラインナップに現れ、また記事の幅や活動の大きさとして現れているのかなと思います。



質問③ 現在は帰国されて広島市立大学で教鞭をとられていると伺っております。ALIMOさん自身学生と関わる機会も多いかと思います。SALONAIRを通して海外で作家活動の経験がない学生達にとって、ずばりSALONAIRの放送を見るべき理由とはなんでしょうか?





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往復書簡④【PARTNER編集長、上野さんへ】
「若い作家に海外に行くことを勧めるつもりはありません。ただ選択肢を持っていてほしい」

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上野さん、こんばんわ。
僕も久しぶりの日本の夏なので少し堪えてます。そうですか、チリは冬なんですね。南米の冬についてはあまりイメージ湧かないですが、日本と似たような冬なのでしょうか。

上野さんとPARTNERの出会いも運命的な出来事が幾つかあって成り立っているのですね。面白いですね。8年という年月はとても長いですね。まだ始まっていないですが、復活するSALONAIRが8年後もあるとは今のところ想像できないです。
先日PARTNERのマガジンがうちの大学に置かれているのを見つけて、拝見しました。美大生が集まってやっていることもありマガジンもwebもとても見やすく出来ていてびっくりしました。個人的にはWebにおけるライターさんの存在が気になっています。


返答③
上野さんからの質問:現在は帰国されて広島市立大学で教鞭をとられていると伺っております。ALIMOさん自身学生と関わる機会も多いかと思います。SALONAIRを通して海外で作家活動の経験がない学生達にとって、ずばりSALONAIRの放送を見るべき理由とはなんでしょうか?


美術関係の書籍を読んだり、美術館に行けばアートのことをすべて得られるわけではないですよね。美大に行ってもそうだと思います。場所や情報収集の方法によって、それぞれで得られるものが異なっています。SALONAIRではSALONAIRでしか得られないものがありますので、学生にとってアートを知るためのひとつのツールになればいいなと思います。
SALONAIRのやっていることは「リアルタイムに、海外での創作活動の情報を、大勢で共有する」ことです。そこには共有やフットワークの軽さや教育的要素があります。


  • ALIMOが去年まで在住していたエストニアのタリン市のクリスマス


  • ALIMOが現在住んでいる広島

SALONAIRでは海外の作家と対談しますが、僕は学生や僕よりも若い作家に海外に行くことを勧めるつもりはありません。ただ選択肢を持っていてほしいと思っています。これは自分の授業でも言っていることですが、作家にとって選択する力がとても大事だと思っています。授業内で時にアイデアや情報は提供してあげるけど、その中にはたまには訳わからないものや適当なものだって入っているわけです。わざと見当外れなことも言ったりしています。でもそうした僕の発言によって、学生は自分もそう思うとか、それは違うと改めて考えることになる。それで学生の中で整理して選択していってほしいと思っています。
SALONAIRで発せられる作家活動の生々しさを、各自の視野を広げたり創作活動について整理するきっかけにしてほしいと思ってます。



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ALIMOさん、ありがとうございました。
ALIMOさんには今後放送される番組で、モデレーターとしてゲストとなる海外在住アーティスト共に対談をしていただく予定です。

ALIMOさんはどんな声で、どんな話し方をされるのか、なかなかテキストや写真では伝わってこないことも含めて、生放送ならでの臨場感たっぷりお届けできるかと思いますので、ぜひ来週から始まる放送を楽しみにしていてください。


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SALONAIRは8月8日(土)23:00より
  隔週で土曜日の23時から放送!

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8月8日(土)は、「プレ SALONAIR in PARTNER」ということで、
過去にフリーマガジンPARTNERの編集長を勤めていた松原健人さんをゲストに対談をします。

現在松原さんは、アメリカ・ニューヨークのパーソンズでデザインを勉強中。
PARTNER編集長の体験談や、ニューヨークの美大生活について、
ざっくばらんに話を聞いてみたいと思います。



みなさん、8月8日(土)23時
ぜひみてください!

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