ナッシャー彫刻センターとは?
アメリカのテキサス州ダラスにある、レイモンド・ナッシャーとパッツィー・ナッシャー夫妻の近現代彫刻の個人コレクションが展示される美術館です。都会のくつろぎの場所という目的あってイタリアの建築家レンゾ・ピアノにより設計されたこの美術館では、庭が見渡すことができ、自然光を最大限取り入れるように作られています。2003年10月にオープンして以来、近代・現代の彫刻の理解と評価を進めてきており、ピカソの 《Head of Woman》 からアンリ・マティスやウィレム・デ・クーニングの作品まで、世界中の著名な作品が所蔵されています。
あたらしい賞誕生の背景
時代を切り開くアーティストを発掘し、奨励する賞は多々あります。しかし彫刻の分野に特定した国際的な賞は、いままでわずかしかありませんでした。
ナッシャー彫刻センター長のディレクターであるジェレミー・ストリックは、いまが彫刻というジャンルにとって大事なときであると語ります。「なぜなら傑出した貢献をみとめる国際的な賞は注目を集めるし、作品についての会話にも深みをもたらしてくれる。同時代の重要な作家の偉業に光を当ててくれ、さらにこれらの作品の重要性の理解を促進してくれる。ナッシャー彫刻センターはこの賞を新しく開設することにまさに適任であり、この重要な新しい役割を受け入れられることを私たちは光栄に思っている」とのことです。
この賞の受賞対象者は、従来の芸術形式解釈を越えた影響力のある重要な作品をつくる同時代のアーティストです。いまの時代にこそ必要で、またナッシャー彫刻センターがやるにふさわしい取り組みでしょう。
賞金は1200万円、審査員には日本人キュレーター長谷川祐子
賞金は$100,000(およそ1,200万円)、勝者は2015年秋に発表され、2016年4月2日にテキサス州のダラスで賞金とともに賞が授けられます。
審査をするのは彫刻家のフィリダ・バーロー、キュレーターのリン・クック、2002年の第11回ドクメンタで芸術監督も務めたオクウェイ・エンヴェゾー、日本を代表するキュレーター・長谷川祐子、スティーブン・ナッシュ、アレクサンダー・ポッツ、テート・ブリテン館長を務めるニコラス・セロータらの7人です。
審査員に入っている長谷川祐子といえば、金沢21世紀美術館設立当初の学芸課長を務めた後、現在は東京都現代美術館のチーフキュレーターであり、多摩美術大学の芸術学科の教授として教鞭もとっている存在です。受賞者が誰になるかも気になるところですが、この賞の審査員に日本人の長谷川祐子が選ばれていることもまた注目です。
テート・ブリテン館長のニコラス・セロータは「ここ10年ほどで彫刻の意味するものは発展し広がってきました。このフィールドの現状に注目した賞というのは胸が高鳴る試みです。私はこのような名高い審査員メンバーの一員になれたことに喜びを感じますし、このメンバーでナッシャー賞の第一回受賞者を選ぶプロセスで行われるダイナミックな討論が楽しみです」と意気込みを語っています。
あたらしいアートシーンが誕生する予感のするナッシャー彫刻賞の開設、一体誰が最初の受賞者に選ばれるのでしょうか。今から秋の結果発表が楽しみです。
情報参照元:ナッシャー彫刻センター公式ホームページ:http://www.nashersculpturecenter.org/pages/news-press/press-releases/news?id=66
参考:長谷川祐子(Twitter)
https://twitter.com/yukohasegawa
PARTNER編集部より、美大生や卒業生にオススメのニュースを配信しています。展示情報やイベント情報、学校や学生にまつわる情報を提供します。