美大で学んだアートと専門学校で学んだCGの力で、まだ見ぬ映像作品を作りたい —大学院生 戸嶋優多

多摩美術大学を卒業し、現在東京藝術大学大学院でアートアニメーションを研究している戸嶋優多さん。彼は、課題や制作で忙しいタマビ在学中に、デジタルハリウッドの本科CG/VFX専攻をWスクールしたというツワモノ。彫刻のスキルを活かし3DCGの技術を使って新しい表現を追求している。今回は美大・専門学校・大学院と多角的に学んできた戸嶋さんに、CGを学んだきっかけ、美術とCGの制作の違いなどについて教えてもらった。

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「彫刻」のスキルを活かし、3DCGを使って新しい表現に挑戦

私がCGを学ぶきっかけになったのは、高校生の頃。実は当時、「”監督”になりたい」と思ってたんですよ。そこで、「監督の仕事を近くで見たい」と、まずは役者としてデビュー。現場で仕事をしていました。撮影の現場で作品ができていく工程を見ているなかでCG表現に出会ったんです。「CGがあれば全ての工程をつくれる!」ということに、驚きと感動で。

多摩美術大学に在学中は、彫刻科で立体を扱う勉強をしていました。伝統的な木彫・塑像・石彫・金属などをベースにして、自身の表現を模索。そのなかで、「彫刻」というスキルを生かしながら、3DCGの技術を使って新しい表現に挑戦するようになりました。
独学で3DCGの基礎を身につけて、3DCG・3Dプリンターを使って。基礎的なことは良かったんですが、それから上の知識を身に付けるのは独学では非常に困難で。CGの専門的な技術を習得したいという思いに至りました。
そんなとき、サークルの先輩がデジタルハリウッドにWスクールをしていることを知って。お金を貯めて入学準備、私もWスクールをすることになったんです。もちろん、デジタルハリウッドに決めたのは、卒業生の作品の質の高さに圧倒的な差があったのも決め手の1つです。



彫刻の感覚的な制作と、3DCGの物理的な考え・数値的にとらえる制作工程

美大で鍛えられるのは、観察力による基礎的な画力や作品の見方、感性だと思うんですが、そこに専門スクールでのCGの最新技術スキルが加わって、現場で必要とされる力がついてきたように思います。

実際はじめてみると、3DCGは感覚での制作ではなく、物理的な考えや数値的にとらえる工程が多くて。例えばMayaでのモデリングは、彫刻の粘土と比べて直線的なモデリングが基礎になる。ローポリの時とハイポリの時とのディティールの落としどころを探ったり、きれいなメッシュを心がけるのは、粘土にはない腕の見せ所。アナログスキルがあることに過信をしないで、CGは0からのスタートだと割り切った方がいいということに気づかされましたね。アナログの絵作りに対して腕に覚えがある人ほど、CG特有のカクカクした感じに違和感を覚える人が多いかもしれません。

でも、もちろん彫刻の考え方が全く活かせないわけじゃない。デジハリで新しくHoudiniやZBrushなどのソフトを学んだのですが、特にZbrushは考え方が彫刻に似ていて。扱いやすく、ずっと触っていたいと思ったほど。



“誰も見たことがない世界をつくる” アートアニメーションへの挑戦

そんなタマビ・デジタルハリウッドでの学びを経て、現在は、東京藝術大学大学院のアニメーション専攻にて、“アートアニメーション”の分野を研究しています。アートアニメーションには、“誰も見たことがない世界をつくる” という意味がこめられていて。商業的なCGとは少し思考が違い、作家性やアート性が強い映像作品です。

最近制作したのは、3DCGや3Dプリンターをコマ撮りしたアート作品。この作品はCAF ART AWARD(※)で、優秀賞を受賞しました。
※CAF ART AWARD
ZOZOTOWNの前澤氏が会長を務める現代芸術振興財団による、全国の学生を対象とした、若手アーティスト育成を目的としたアートアワード。


タマビとデジタルハリウッドに在学しているときから、コンテストには積極的に応募するようにしていました。デジタルハリウッドでの卒業制作「Voice」は、八王子ShortFilm映画祭の学生部門グランプリを受賞、ABU デジスタティーンズで制作された作品で日本代表に選ばれ、その作品は色々なコンテストで受賞しました。 

 


デジタルハリウッド卒業制作「voice」 



  • 多摩美術大学彫刻学科卒業制作作品「vibes」

 
最近作っている作品は、下記のポートフォリオサイトで公開しているのでよかったら見てくださいね。
>>戸嶋優多さんポートフォリオサイト:http://switchty.strikingly.com/




コンテストを通じて自分の世界では思いつかなかった考えや価値観を得た

コンテストに参加するようになって、今まで自分がいた世界では思いつかなかった考えや価値観と出会えるようになりました。
コンテストと言っても、アート思考の強いものから商業に近いもの、子どもまで応募できるものまで幅が広い。もちろん、審査員の方もそれぞれ作品に対する考え方が全く異なります。だから、こっちのコンテストで評価してもらえたものが、あっちでは全く相手にもされない、なんてこともたくさんあって。
「結局、作品に価値を付けるのは人それぞれなんだ」ということに気づけてから、狭い考えに囚われず、自分の作品には何が足りなくて、何が必要なのか、主体的に見極めることができるようになったように思います。



CGとアートの力で、誰もまだ見たことのない映像作品を作りたい

今後はCGデザイナーとして活動し、傍らでCGを使ったアート作品を制作していきたいと思っています。いつかは自身の制作会社を立ち上げ、CGのもつ商業的な力とアートの持つ独自の表現力で、人が見たことのない映像作品を作るのが夢。 
 

 

美大生の場合、私のように、大学で身に付けたスキルを社会でなかなか活かすことができないことも多い。でも、一つ見方を変えると強みになってくれる場合があるんですよね。それが、私にとっては3DCGでした。3DCGは常に勉強が必要ですが、美術のスキルを直接クリエイティブな世界に生かしやすいのはCGだと確信しています。



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戸嶋さんが美大とWスクールで通っていたのは、「デジタルハリウッド東京本校」。日本唯一の、大学・大学院を併設した社会人・大学生向けプロ養成クリエイティブスクールだ。
なかでも「本科」のコースは「世界に挑戦したい」「世界共通の感動を与える映像作品を作りたい」など、夢を追いかける人のための全日/選抜制クラス。CG、デザイン、テクノロジーを活用できるようにする専門技術の習得だけに終わらず、現場での即戦力になりうる「実務能力」「作品力」の向上を目指した教育カリキュラムになっている。

戸嶋さんのように、3DCGの専門性を磨きたい人には、とても魅力的なコース。自分のスキルにまだ自信が持てない人、独学では難しいなと感じている人はチェックしてみて。





▼専攻概要
デジタルハリウッド東京本校
CGヴィジュアルアーティスト専攻<全日/選抜制>
>> http://school.dhw.co.jp/course/cgv/index.html

・期間:1年間/クラス制/全日4日制
・開講日:2018年4月
・受講料:1,380,000円(税抜)※受講料免除特待生制度あり


▼学校紹介
デジタルハリウッド東京本校
日本唯一の、大学・大学院を併設した社会人・大学生向けプロ養成クリエイティブスクールです。開学以来フラッグシップコースとして開講をしている『本科』はCG、デザイン、テクノロジーを活用できる真のクリエイターを育成し、クリエイティブ業界のビジネス発展に寄与することを目的としたコースです。専門技術の習得だけに終わらず、現場での即戦力になりうる「実務能力」「作品力」の向上を目指します。 

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