美大がもし100人の村だったら。

2017年4月23日(日)

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昨日はあかりちゃんの小学校で授業公開がありました。
私達の頃は平日に「父兄参観日」という形で行われてたけど(「父兄」という言葉自体が死語だなあ)、土曜授業日に頻繁に授業公開されるようになってて、これも時代だなあ、と。

で、さらに「時代だなあ」と感じたのが公開された授業が「国際理解教育」だったのね。
行く前は「外人さんが来て英語を教えるのかな?」ぐらいに考えてたんだけど、

「世界が●●人の村だったら」というワークショップ型授業だったんです。
あかりちゃんの学年は62人なので「62人の村だったら」バージョンでやってて、ファシリテータの人がうまかったのもありますが、すごくいい内容だったの。

ご存知のとおり2000年初頭に広まった「世界がもし100人の村だったら」がワークショップ形式になったもので、開発教育協会(DEAR)さんが教材としても出してます。
世界がもし100人の村だったら-ワークショップ版・第5版|教材|開発教育協会

2003年が初版だから、今の大学生だったら既に経験してるかもしれませんね。
内容はこちらの動画とほとんど同じでした。

「世界と日本の年齢構成」「言語」「世界の識字率」などを体を動かしながら体験します。
手羽だったら「識字率が低い国では選挙用紙にイラストを使う。美術に国境はないんだよ!」な話にもってってしまうけど。

さらに「時代だなあ。あ、ていうかこれは昔からか」と感じたのが、「世界には国がいくつあるか?」という質問に対し、ほとんどの子供が「約200。だってイッテQで言ってたから」と答え、「現在の世界人口は?」という質問には「ブルゾンちえみが『35億、あと5000万人』と言ってるから、約70億人?」とほぼドンピシャで答えてたこと。「今の子はテレビを見ない」と言われてるけど結局今も昔もテレビで知識を入れてるんですよね。
ちなみに2017年バージョンにするなら「地球上に男は何人いると思っているの?・・・38億」になりますが。
もっと感動するシーンがあるんだけど、それは最後に書きます。


で、ここからが本題。
この授業を見ながら、「美大が100人の村バージョン作れないかなあ・・」とひらめいてしまったのです。なんでも美大に置き換えようとする悪い癖。

ただ、やろうとしたらこれが難しい。理由は2つあって。
一つ目は、再三書いてますが、「美術大学」という定義がはっきり決まっておらず、またすごく狭いニッチな世界なので、根拠のある「美大データ」というものが存在しません。だから美大ごとに作るしかない。
2つめは、各大学サイト・「大学ポートレート」・「大学の実力検索」等に情報が出てるけど、統一された情報が出てるわけではないし、当然ながら「非公開」にしてる大学もあります。ネットに公開されてるものでどこまでできるか。


で、とりあえず「藝大が100人の村だったら」「タマビが100人の村だった」「ムサビが100人の村だったら」を作ってみました。

東京藝術大学美術学部がもし100人の村だったら
69人が女性です。
40人は大学院に進学します。



タマビがもし100人の村だったら
73人が女性です。
タマビ村志願者の71人が関東出身です。



ムサビがもし100人の村だったら
75人が女性です。
10人は大学院に進学します。
22人がファインアート市、78人がデザイン市の住民です。
ムサビ村志願者の70人が現役生です。
ムサビ村志願者の71人が関東出身で、そのうち37人が東京出身です。



自分で作りながら「くそつまんない情報だなあ・・・」と思ってしまうぐらい、公式情報で発見や気づきが起こるようなものはなかなか作れませんね・・・せいぜい知らない人が見て驚くのは「女性比率・現役生比率・関東比率が7割」ぐらいかな?

「日本を100人の村としたら、今まで現代美術作品を買ったことがある人は4人」とか「えっ。そんなもんなの!?」とびっくりするようなものが作りたいなあ。
あとは退学率とかは書けるけど、そんなもんかしら。

発売されたばかりの大学ランキング 2018からデータ拾った方が面白いものが作れるかもしれないし、学生実態アンケートが公開されてると、もう少し突っ込んだものができるんだけど、ほとんどの大学が公開していないのよね・・これって昔から不思議だけど、なんでだろう?


「公開されてる情報でこういうものも作れるんじゃない?」てのがあったら、ぜひ教えてください。
 
 



・・あ、公開授業で感動したシーンの話を忘れるところだった。
同じ人数になるよう5グループに分かれ、それぞれクッキーを配布するんですが、クッキーの数はグループによって「1枚だけ」「3枚だけ」「ほぼ人数分」「大量」と差があります。「富の不公平」を表した形ですね。
そこまで教えたところで「さ、どうしたらいいと思う?」と質問すると、「あのグループだけいっぱいあってずるーい!」「戦争して奪い取る」と「しめしめ。大人の誘導に引っかかってるな(笑)」な子や、「他のグループに分けてあげるべき」と模範解答をする子もいたけど、一人
「でもあげたらなくなっちゃうじゃん。クッキーの作り方も一緒に教えればいいんじゃない?」
と答えた子がいたんです。
「え。小学5年で何も教えられずにその発想ができるの!?」とちょっと手羽は感動しちゃって。
こういう子が美大に入ってくれないかなー、と。


以上、後で奥さんからこの子のお父さんがタマビ出身だと知った手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。