津村耕佑はファッションデザイナーなのか?

今年も残り3か月か・・・の手羽です。

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津村耕佑という男をご存じだろうか。
 

生き方やものづくりの在り方に独自の方法論でアプローチするファッションデザイナーだ。

1982年三宅一生氏の下クリエーションスタッフとしてパリコレクションに関わったのち、ファッションブランドKOSUKE TSUMURA並びFINAL HOMEを(株)A-netからスタートさせ2015年に独立。
1994年に「究極の家は服である」という考えを具体化したこの都市型サバイバルウエア「FINAL HOME」を考案した人物で、現在は武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授である。
パーティ形式のファッション勉強会「編装会議」も主催している。 

  
 

・・・と、固い口調で始まりましたけど、ここからはいつもの手羽節で。


その津村先生なんですが、10月はかなりあわただしい。
連続して展示やイベントが続くんですよ。


まずは東京を拠点に国内外で活動するブランド「ノーマ ティーディー(NOMA t.d.)」のショップで今日から開催される展示。

「Reminder F・H・」
●会期:2016年10月1日、10月2日、10月8日、10月9日
●時間:12:00〜19:00
●オープニングレセプション:10月1日(土)16:00-19:00
●場所:NOMA t.d.(東京都渋谷区広尾3-12-4)


「表生地と裏生地の隙間に未来を詰め込む事、記号は消滅しコンセプトは開放される」というコンセプトをもとに、ブランドの在り方や記号性の意味を問う展示になるそう。
 



んで、それが終わると今度は代官山でお化け屋敷の監修です(笑)

代官山のお化け屋敷 化け楽
●座長:遠山正道(スマイルズ)
●監修:津村耕佑
●インスタレーション+お化け:武蔵野美術大学津村ゼミ他
ロゴデザイン:北川一成
●写真:新津保建秀
●音楽/選曲:渋谷慶一郎+立石幹人
●映像:東市篤憲(A4A)
●お化けマネキン招待作家:
石上純也/岡本健/角田陽太/キギ/菅井葉月(tokone)/スマイルズ/たむらぱん/チョーヒカル/手塚マキ/中里唯馬/Nobuko Nishida/長谷川愛/PARTY/廣川玉枝/皆川明(minä perhonen)(50音順)

 

 
ちょっと情報をはしょりすぎたかな?
代官山ヒルサイドテラスや近隣住人、クリエーター、大使館等、多彩な“住人”たちにより行われている「猿楽祭―さるがくまつり」のアートイベントとしてのお化け屋敷なんです。津村ゼミやチョーさんも関係してますね。
ちなみに猿楽、田楽 、芸能の流れを汲んで「化け楽」ばけらく、と命名されたそう。

この関連企画として、10月10日には酒場「うらめし屋」がオープンしたり、「化け女・化けメンコンテスト」も開催されますよ。
酒場「うらめし屋」:田中開(The OPENBOOK)/野村友里(eatrip)
●開催日時:10月9日(日)・10日(祝)10:00-18:00※
●会場:代官山ヒルサイドテラスF棟ギャラリー 
※酒場「うらめし屋」は10日13:00-20:00のみ開催。ヒルサイドバンケット(C棟)スナックGRAPH内
●参加費:無料

化け女・化けメンコンテスト
●日時:10月10日 14:00
●場所:ヒルサイドバンケット(C棟)スナックGRAPH内
●審査員:津村耕佑、遠山正道、中里周子(50音順)

出場者を募集してるので、我こそは化け女という方はぜひ。


そして、それが終わると今度はこちら。


TRANS ARTS TOKYO 2016 UP TOKYO
●会期:2016年10月15日(土)-10月30日(日)
●統括ディレクター:中村 政人


2016年で5回目の節目となるTRANS ARTS TOKYO。
旧東京電機大学跡地での最後の年。2020に向けて藝大やこのあたりを中心として文化芸術活動が頻繁に行われると予想されますが、2020年からその先へ「東京」はどうなっていくのか、今後の東京を担う場所として、東京の上の方”UP TOKYO”がテーマとなってます。

津村先生は昨年TRANS ARTS TOKYO2015で「ビルを着る!」というファッションの新解釈を披露してますが、今年は

神田に拠点を構える若手建築家、若林拓哉さんとつばめ舎建築設計による「Pet-bottle Architecture」などと一緒に、 ユニークなアーティスト山車を出すことになってます。

五十一八クリエイティブ・プロジェクト【アーティスト山車】
●会場:五十通り周辺
●日程:10月29日(土) 16:00~18:00(予定)※荒天中止、雨天決行
●入場料:無料

 

津村先生のよるオリジナルアーティスト山車「夢夢神社」はこちら。津村先生からいただいた完成予想図です。

神田錦町二丁目町会の大神輿も山車となって登場するそうで、 まさに伝統と革新の対決が実現ですな!

 


ね。ほんとあわただしい感じでしょ?
まだリリースされてないので詳しくは書けないのですが、これに社会連携チームがお願いしてる10月末・11月上旬のプロジェクト監修もしてもらってまして・・・。

 
ところで、手羽と津村先生との出会いは、実はデザイン・ラウンジを立ち上げる時です。

「六本木にデザインの情報発信拠点を作るぞ!」と決まり、開設検討委員会(ムサビはなんでも委員会を作るのが好きで・・)が学内にでき、そこに津村先生が参加されました。
で、コンセプトと名称を検討してる時に津村先生が発した「今必要なのはラウンジのような存在」がそのままメインコンセプトと名称になったんです。
ラウンジには『集う』『起点』という意味をこめた」」というフレーズをデザイン・ラウンジの説明で使うけど、会議の津村先生の言葉ママだったりします(笑)


で、室内をどうするか検討に入ったところで
「デザインの拠点なんだから、IT●KIとかダサい事務オフィス家具を使うのはやめよう」
「でもすんません。お金が・・」
「集うためのラウンジといってもソファを置いた、いわゆるルノアール的なものはおじさんぽくてカッコ悪い。若々しくもあり、それでいて品があり、なおかつ様々なレイアウトに対応できるもの」
「でも高級家具とか特注品は予算的にも納期的にも全然無理っす・・」
てなやり取りの中で、津村先生が「E&yの家具で構成してはどうか」と提案され、津村先生と一緒に駒場東大前のE&yショールームへ行き、代表の松澤さんに「すいません。時間もお金もないんですけど・・」と頼み込みました。

過去のメールを読み返したら、2012年1月30日にアポを取り、2月4日に訪問し、3月末までに納品をお願いしてる・・・この時は必死だったんで「スケジュール厳しいなあ・・」ぐらいにしか思ってなかったけど、改めて見ると「そんな無茶な」とドキドキしちゃう。
でも松澤さんもラウンジのコンセプトを面白がってくれて、既存品と特注品をうまく組み合わせてコーディネイトしていただき、一発でイメージ通り(しかも予算以下)のものを提案してくれました。松澤さんの「クライアントの文脈を読み取る能力」の高さにほれぼれしましたね。

はい。そうなんです。
学内でもあまり知られてませんが、「デザイン・ラウンジ」の生みの親は津村先生といっても過言ではないのだ!(受精と育ての親がデ情・井口先生ってところかな?)それ以降も津村先生はプチプチワークショップを開催したり、ラウンジの活動にいろいろ協力してもらってます。

なので、手羽は津村先生を「ファッションデザイナー」という感じでお付き合いしたことがなく、今に至るのです(笑)

今回紹介したイベントもそうですし、津村先生が自らがデザインしたPUZZLE WARE(パズルウエア)のパターンデータをクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付与して公開してます。
つまり、誰でもデータをダウンロードしてデータを拡大または縮小したり型紙として利用し、創作することが可能なんですよ。

こういう取り組みを見ても、私たちが知ってるような普通の「ファッションデザイナー」とは全然ちと違う。
 
 

それもあって「津村先生ってファッションデザイナーと呼んでいいのかな?」という疑問が心のどこかにあったんだけど、この文章を読んでスーと落ち着くものがありました。
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FINAL HOMEはブランドが先にあってデザインされたプロダクトではありません。
突然のインスピレーションを服の形を通じて機能させたものです。
命名と同時にマークも私がデザインしました。サンプルを自作しコンセプチャルアートとして多方面のプロダクトと共作していこうという考えの元にスタートしました。
FINAL HOMEの根幹でもあるザバイバルライフを実現する為には量産が必要でした。それを可能にする為にファッション性を強調しアパレルの流通に載せる必要がありました。
Kosuke Tsumura blog 津村耕佑: FINAL HOME Episode 1より】
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「インスピレーションを成立させるためにアパレルという手段を取る」、なるほどな、と。


以上、それが言いたいがために長々とデザイン・ラウンジの歴史を語った手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中