【Fire and forget】心筋梗塞から6ヶ月たつので現状報告

2021年5月26日(水)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

月曜に1か月ごとの定期検診がありまして、数値はほぼ順調でした。
ただ先週はこの1,2か月の中ですごく体調が悪かったんですよ。
知り合いのお父さんが心筋梗塞になってから、翌日雨かわかるようになったらしく、気候や気圧が体調と関係するのかもしれません。でもそれを担当医に伝えても相変わらず「あ、そう」な冷たい反応で、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが日常なんでしょうね。

あっさり帰そうとするんで、ついでに気になってたことを担当医さんにまとめて聞いてみました。
Q コロナワクチン接種が本格化してきたけど、心筋梗塞の人って打った方がいいの? 血栓がどうのとか言われてるけど。
A コロナにかかった時の危険リスクの方が高いから打つべき。「打った方がいい」ではなく「打たないとダメ」レベル。

Q 8月のカテーテル検査って、ステントを抜いたり交換したりするの?
A 8月の手術はカテーテル入れて、ステントの具合を見るのが目的。 ステントは増やすことはあっても、一度入れたら基本死ぬまで入れっぱなし。


「死ぬまで入れっぱなし」ってすごい表現(笑)
次の検診で2泊3日のカテーテル検査日を決めることになりました。8月のどこかでやることになりそうなので関係者の皆さん、またご迷惑おかけします・・。


ところで、心筋梗塞になって覚えた単語がひとつあって、それは「Fire and forget」です。
もともとは軍事用語で、昔はミサイルがちゃんと当たるように標的を捉え続け、そしてちゃんと当たったか確認する必要がありました。でも裏を返すと、標的を捉え続けて当たるまで観測機や隊員はそこから動けないから、危険に晒されるリスクを伴ってました。

今はミサイルの性能も良くなり、自動追尾ミサイルもあるから、打ってしまえばだいたい当たる。だったらリスクと手間も無くなるし、わざわざ最後まで追っかける必要なくね?ダメだったらまた発射すればよくね?という発想が登場しました。これが「Fire and forget」、つまり「打ったらあとは放置」です。

この考え方を医療で取り入れた典型例が、心筋梗塞の治療法です。
心筋梗塞患者に悪玉コレステロールを下げる治療をするんだけど、ちょっと前までは「これくらいの範囲に悪玉の数値を落としましょう」という基準があったので、その数値を目指して薬を調整し治療してました。これが「Treat to Target」というやり方。
でも目標値は作らず、どれくらい下がったか追う必要もない、薬を投与したら(極端な話)ほったらかし、というのが2013年に登場した「Fire and forget」方式。「だって悪玉コレステロールが少ない方がいいのはわかってるけど、どれくらい下がればいいのかエビデンスがないんだもん」が根拠なんですね。

最初聞いた時は「え。そんなんでいいの?!」と思っちゃうんだけど、今はこの治療法が主流なんですって。

医療業界でも「それはちょっとざっくり過ぎね?」と意見が分かれてるようで、
脂質異常症に効く薬とは?薬物治療の実際を解説 – EPARKくすりの窓口コラム|ヘルスケア情報
によると、2018年ガイドライン改訂では「Fire and Forget」ではなく「Lower the better(下げれば下げるほど良い)」、つまり目標値は無くてもスコアは気にしようよ、と改訂があったそうです。
 

 
どの治療法がいいのかは専門家にお任せするとして、この「Fire and forget」「Lower the better」という考え方は面白いなあ、と思ったんです。

社会は「Treat to Target」を求める傾向にあり、「Fire and forget」「Lower the better」ぐらいでいい場合もあるのに全部が全部「Treat to Target」じゃないといけない、と思っている風潮があります。
「医療現場では『Fire and forget』『Lower the better』という方法がありますよ」てのがもっと広がれば、余計な手間をかなり減らせるんじゃないかしら。
「業務の優先順位をつけるって何事だ!全部大事だ!」という発想が昔があったけど、「トリアージ」という言葉があることで、BCPが作りやすくなったしね。


以上、「鍼も通ってて、これがまた面白い」な話はまた今度、の手羽がお送りいたしました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。