【コロナで感じたこと】今年のインターンシップ演習2020でしゃべる予定だった話を書きます

2020年12月18日(金)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今日12月18日、本当だったら手羽が1年に一度授業をやるインターンシップ演習の日でした。
【今年はオンライン】手羽が12月18日にインターンシップ演習の授業をやります!

「オンラインなら、URL教えれば地方の人も聞けるなあ」と思ってたし、オンラインだからできることもいろいろ考えてたんだけど、こんなことになっちゃって、一般病棟に移って真っ先にメールを送ったのは自分の上司と齋藤先生でした(笑)
スライドは大まかには作ってあったから頑張れば授業はできなくなかったけど、当初の見込みより体調が戻ってないから、中止しといてよかった・・。

齋藤先生はもちろんですが、聴講されてた学生さんにご迷惑をおかけしました。
今年はリンクロウの同級生がムサビ生になり受講してたんで、特にしゃべりたい年だったんだけど。
今日は今年のインターンシップ演習でしゃべるつもりだったことを書いておきます。

 
インターンシップ演習は、インターンシップのための授業ではなく、様々な分野で活躍する卒業生から話を聞くことで 「将来にはいろんな選択肢があることをまず知り、自分がなにものか悩み、今自分がやるべきことを学んでもらうこと」を目的とした授業となってます。

なので、「美大卒で美大職員」というかなりレアな進路についても語りますが、「美大愛好家・手羽イチロウ」として感じてることや「活躍してるムサビOBOG紹介」「今年の美大のトピックス」「ムサビ生や美大生の強み」「美大での学びの本質は何か?」をしゃべるようにしてます。
この全体構成はこの数年あまりいじってなく、ネタを最新のものに変えるぐらい・・・といっても毎年半分ぐらいは変わっちゃうのだけど。

「活躍してるムサビOBOG紹介」は途中の息抜きコーナーとしてやってて、一番反応がいいのはここ(笑)。みんなリリーフランキーぐらいしか知らないんだもん。
年々増えてて今は200人以上リストがあるからどの人を紹介するか毎年悩むんだけど、今年だと手羽的にはバチェロレッテ・ジャパンに参加した油絵学科卒の杉田陽平さんですね。

はまりすぎて、1記事書いちゃったくらいで。
【愛とは●●】手羽、バチェロレッテにドはまりするの巻 #杉ちゃん
これだけ「見て!」とお願いしてるのにようやく1人だけ「2話まで見ました」というスタッフが出てきて、「2話じゃダメなの。だまされたと思って頑張って6話まで見て!そうすれば最後まで行くから」と熱く語ったのが11月末。ちゃんと全部見てくれたかな。

 
杉ちゃんみたいにアンテナ張ることでムサビOBと知るケースもあれば、たまたまムサビOBだと発見することも。
何かの調べものをしてて偶然わかったのが、ドラゴンボール主題歌「魔訶不思議アドベンチャー!」

エンディング「ロマンティックあげるよ」、そしておジャ魔女どれみの主題歌「おジャ魔女カーニバル!!」

これらのアニメの名曲が池毅(いけたけし)さんの作曲で、その池さんはなんとムサビ商業デザインOBなんですよ!
2020年最大のビックリで、今年はこのあたりを自慢げに紹介してたはず(目に浮かぶ笑)


そして「今年の美大のトピックス」として、やはりコロナの話をするつもりでした。
ムサビの対応だと、例えば、

固定式の講義用長机が入ってる講義室を改修して、

実技教室として使えるようにして、密を回避したり、

日本画学科は1年生全員に画材・岩絵の具の日本画セットを自宅に送り、オンラインで授業をやったり、タマビだと

入り口全部に体温測定するテントを設置して、教職員が交代で熱を測定したりしました(今はやってません)

ポジティブな方向に変換した事例だと、そのタマビの素材研究室CMTELがフットペダル式消毒マシン「FumiFumi足踏み消毒スタンド」を開発して、

連携協定を結んでいる昭和大学から「使いたい」と言われたり、東北芸工さんは
東北芸工大*学長ラウンジ

学長が各研究室を回ってどのような対応を取っているかヒアリングしたり、これを機にデジタル方向へ進むことを発表したり、
新型コロナ: 大学の学び、リモートで体験 遠方の受験生も進学相談: 日本経済新聞

京都芸術大学は真っ先に新入生と高校生向けのオンラインワークショップを開催して注目されたり。

他大学の対応を共有するために、ムサビが参画してる多摩アカデミックコンソーシアム(略称TAC)では、FD/SD研修として各大学から発表をしてもらいました。

ムサビからは工デの田中先生と手羽。
芸術系大学は実技授業がメインだから一般大学よりも対応が大変で、国立音大さんは



私達が見ても、「音大は美大より大変そうだなあ・・」と。

と、こういう話もいいんだけど、今回のコロナで感じたことが2つありまして。
すいません。ここからが本題です。いつも前振りが長くてすいません・・。


まだ対面授業をやっていない6月頭に、7号館でエアコンをつけて水をジャージャー流してたんですよ。「ち、ちょっともったいないじゃん!」とスイッチ消して蛇口を閉めようとしたら、施設チームから「あえてそうしてるんだ」と止められました。
あまりにも水道が使われてないから配管内の残留塩素濃度が上がってしまい、それを薄めてたんですって。またある基準の電気消費がないと「壊れてるんじゃないか?」と勝手にエラーが出てしまうから、時々エアコンなどを動かして電気消費しないといけないらしい。

これを聞いて、「大学って学生さんが毎日使うように設計された施設なんだなあ・・」と改めて感じたんです。何か月も学生さんが使わないことを前提に作られてない。
大学は学生さんが使わないと長生きできないんです。

対面授業がスタートし、学生さんたちが協力して大きな作品を作ってるのを見てたら、なんか嬉しくてね。ちょっと泣きそうになりました。
これが一つ目。


そしてもう1つが、VUCAの時代とかダイバーシティ・多様性とか「生きる力」とかクリエイティブとか言われてるのに、昔よりも違う意見の人を全否定する人、大衆の意見が正しいと思ってる人が増えてるような気がすること。コロナなんてどう対応すればいいのか誰もわからないのに。

美術教育で養われる本質的な力は、「立体的思考力(複数視点)」「答えは複数ある、もしくはないかもしれないことを知っている」「柔軟な発想力」「独自の価値判断力」「自分で考える力・出した答えを信じる力」「数値化の危うさを知る力(感覚値)」「包容力・寛容力」「美意識」だと思っています。
クリエイターを目指してる人が簡単に全否定して大衆と一緒に叩くのはなんか学びのチャンスを自分で潰してるような気がしてて、少なくとも「教養を有する美術家養成」「真に人間的自由に達するような美術教育」のムサビ生ぐらいはいろんな事象をポジティブに捉えてほしいな、と。


以上、もし来年インターンシップ演習をやれたら、2年分の予算かけてプレゼントを用意しなくちゃなあ、の手羽がお送りいたしました。
その時はオギリンよろしくね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。