【 #美大受験 2019】残念ながら不合格だった人へ。

3月14日(木)

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これまで美大受験生の疑問にお答えする「#美大受験」シリーズをお送りしてきました。

#美大受験 では、ムサビ、または関東美大の一般入試(AOや推薦入試じゃない)を具体例で使ってますが、基本的な部分はどの美大受験にも参考になると思います。
これまでの話はこちら。
手羽オススメの美大・美術予備校漫画はこれだ!
東京五美大2019一般入試スケジュールと受験生にアドバイス
交通に関する9つのアドバイス
東京4美大2019年度一般入試志願者数(確定版)から言える1つのアドバイス
美大入試で必要な持ち物に関する6つのアドバイス
美大実技試験に関するたった1つのアドバイス
美大の学科試験に関するたった1つのアドバイス
入試日朝に中央線が止まった。さあ、どうする?
「倍率」は全然参考にならないって話 1
雪の日の対策は?
「倍率」は全然参考にならないって話 2
「倍率」は全然参考にならないって話 3
気になる今年の国公立芸術系大学の志願者数【藝大は?京都市芸は?】

【合格発表編】
ムサビとタマビの合格発表について【補欠繰り上げはいつから?】
美大に合格した人へ その1
補欠は何番まで
美大に合格した人へ その2【現役でもついていけるか?】
美大に合格した人へ その3【なぜ美大の学費は高いのか?】

昨日藝大美術学部の合格発表があり、入試の最終結果が見えてきてる時期だと思います。
というわけで、#美大受験シリーズラストは、残念ながら不合格だった方への話を。


「自分の実力不足だった」と理解されてる方には「もっと勉強して来年頑張ろうぜ!」と全力で応援します。
藝大なりムサビなりタマビなり東京造形なりを目指して一生懸命頑張った自信が自分にあるのなら、確実に将来を動かせる可能性があるはずで、「受験を死ぬ気で頑張れた」という気持ちが今後の自分に必ず何らかの形で役立つはず。

で、この時期だと「第2志望の学科(大学)にいくか、浪人して来年第1志望を目指すか?」で悩んでる方も多いはず。
以下、「美大卒業生」としての手羽のかなり個人的な意見を書かせてもらいます。


それは2つ。
「選択肢が東京の私立美大であれば、浪人はせずに第2志望の学科(大学)に行くべき」
「最後は自分の運と縁を信じるしかない」

です。 


「自分が求めてるものは第1志望のあの学科しかないんだ!」「●●先生に教わりたいんだ!!」という方は頑張って来年チャレンジしましょう。そして「あの大学に行かないと絶対に後悔しそうだから」という強い意志があるのなら、そうするべきです。

でも、第1志望の選択理由が
「周りの人があっちの方がいいって言ってたから」
「仲良しの友達があっちの学科を選んでるから」
「進路や予備校の先生があの学科に行けと言ってた」

ぐらいであれば・・・実は浪人して来年受験するほどの価値はないのかもしれません。
第1志望に選んだ理由はなんでもよく、「通いやすいから」「フィーリング」でも十分。でも「自分がそこに決めたんだ」という自分の「意思」を確認できないのなら、浪人してまで選ぶ違いはないかもしれません。

また、
「●●美大だったら●●が学べるって噂だから」
「●●って著名デザイナーを輩出してるって相談会で聞いたから」
「広報の人が『うちの大学は自由です』『少人数教育』と言ってた」
「就職率が高いってWEBに書いてあったから」

という理由だと、「それならムサビでもできるよ」「▲▲のデザインをしたのは誰か知ってる?あれはムサビOBの仕事だよ。君が知らないだけなんだよ」「大学はどこも自由で、それより何ができるかだよ」「少人数教育って、やれる規模も小さいってことだよ」「あのね、就職率ってね・・・」と手羽は数秒で言い返せるし、他美大広報もそうです(笑)

「▲▲のデザインをしたの、誰だか知ってる?」の典型例は、間違いなく最近発表されたこちらでしょう。

東京2020オリンピックピクトグラムの発表について
東京オリンピックのピクトグラムが発表されましたが、開発チームの廣村正彰さんはムサビOBなんです。
Hiromura Design Office|Profile
廣村さんとはデザインハブの定例会で毎月お会いしてるので、そういう意味でも嬉しくて。

 

あ、「アニメだけ作りたい」「靴のデザインしかやりたくない」と言われると「ごめん。藝大ムサタマでは無理。それしか学べない●●大学か専門学校に行った方がいいよ」と答えるしかないけどね。

ちなみに条件に「選択肢が東京の私立美大であれば」とつけてるのは、東京の私立美大はどこもちゃんとしたポリシーと教育カリキュラムでやってるからです。「選択肢が地元の公立大」となると、やはり学費的に国公立大に通う利点があるので、こうは簡単に言えない・・。



浪人して合格した人に聞くと、ほとんどの人が「浪人時代が絵の描き方を一番真剣に学び、研究した時間だった」 「一度は浪人した方がいいよ」と答えます。
やっぱり1年以上デッサンなりをみっちり勉強をしてきた人の絵は明らかに違います。
また、「浪人」って響きも少しかっこいいし、予備校の浪人生を見てるとアウトローぽくてイメージしてた美大生って感じだし、なんか大人みたいだし、憧れの存在。
美大希望者なら・・お金が許すのであれば一浪ぐらいは人生経験として悪くないとは思ってます。

そうだ。
以前書いたこちらの記事で、

というバナーを出したけど、学長から「ボクは1浪じゃなくて2浪だよ。修正しといて」と指摘されました(笑)学長も2浪してるんです。


でも、「美術予備校」というかなり特殊な世界ではなく、ちょっとでも早く世間(に近い環境)に出れるのなら・・つまり、大学に合格してるのなら、そっちを選ぶのも将来的にはいいことかもしれません。
今の美術予備校は入試用デッサンや平面デザインの勉強だけじゃなく、外とつながる活動もされてて以前より深い部分も学べるようになっていますが、キャリア教育、大型施設やダイナミックな産学・大人数での地域連携活動等は大学じゃないとできないし、そこから早く社会に出ていくの意味もあるわけで。

「君は一浪すれば藝大にいける!ムサビなんか行かずに一浪しろ!」と言ってくれる、今あなたがネ申のように慕っている予備校講師がいたとします。多くの場合は真剣にあなたの将来を考えてくれてる人のはず。
でも、一方で
「浪人生がいないと安定した収入源が減る」
「推薦入試枠増加や美大の倍率が下がってる影響で受講生自体が激減してる」
「次年度広報のために『藝大合格者』の数が欲しい」

という考えの画塾も少なからずあるし、 浪人して次の年に希望大学へ行けなくても、その不安だった1年間と予備校費用をその人が清算してくれるわけではありません。
「君は一浪すれば藝大にいけるはず!」と言ってくれる人と「浪人せずに現役で入った方がいい」と言ってくれる人。どちらを信用するかは・・・最後はその人との信頼関係。
 

 
ここで手羽の話を。

手羽の地元は、昔は炭鉱で栄えたけどそれ以外はなんにもない福岡のド田舎で、駅前の繁華街も完全なシャッター商店街。


「福岡県」はそんなに嫌いじゃないけど、この田舎で一生暮らすのがほんとに嫌で嫌で、とにかく東京の美大に行きたかったんです。東京の美大でイラストの勉強をしたかった。

んで、高2の春、親に連れられて画塾に行った初日に先生から言われたのが「東京の美大に行きたいなら彫刻学科を受けろ」という衝撃的な言葉でした。
「はい?ち、彫刻?!さっきイラストがやりたいって言ったばかりなのに、この人聞いてなかったのかな?・・彫刻なんて全然興味も関心もないんですけど・・むしろ立体って苦手な部類なんですけど・・てか彫刻なんて普通に考えて就職先ないでしょ・・・」と思ってるところに先生はこう続けたのです。

「油絵やデザイン、イラストは極端な話、家でも描けるし他で勉強できる。でも彫刻は家では作れない。『大学を利用する』ということでは一番意味があるのが彫刻学科とも言える。そしてこれからは平面も立体的な解釈がマストになっていくから、立体・空間の勉強をしておくことは将来的に絵画の方向へ進んでも確実に役に立つ」
・・と、ここまではきれいごとの表向きの理由で、ここからが本音。
「工芸を学びたいなら地方の選択肢もある。でも最新の美術やデザインを勉強したいなら、なんだかんだ東京でしか学べないことは多い。田舎にずっといちゃダメだ。どの大学でもどの学科でもいいから田舎を抜け出して東京の美大へ一刻も早く行くことが大事。多浪して藝大入るのもいいけど、若く早い時期に東京へ行くことに価値があるんだ。卒業して田舎に戻ればいいだけ。そこで何を学ぶかはあとは本人次第で、学科の括りや大学なんて関係ない。だから一番倍率の低い彫刻学科を受けて現役で入れ」
と。

地方創生推進派から怒られそうなセリフだし(笑)、これについてはいろいろ意見があると思います。
でも当時の高校生の手羽はこの考えにすごく共感したんですね。洗脳に近い。
田舎から出たかったのもあるけど、当時のグラフィック系は倍率30倍ぐらい、藝大は現役で受けようと思うこと自体おこがましい状態。でも彫刻学科は9倍と、かなりリアルな倍率で「あ。そういう考え方もあるんだな」と。

んで、油絵学科と(とりあえずの)彫刻学科を受けて、油絵は落ちたので迷うことなく彫刻に入った・・というわけ。
「彫刻を学びたい!」という強い意志は全くなく、唯一あったのが「東京に早く出たい」と「ムサビへのあこがれ」だけ。いつも偉そうに語ってるけど、手羽もこんなもんです。
でもこの選択は間違ってないと今でも思ってるし、その先生に出会えたことを今でも感謝してるし、その先生に出会えた運と縁に感謝してます。

そう、最後は運と縁なんです。

そっちに落ちて、あっちに合格したのも何かの縁かもしれません。
ご家庭の都合で浪人できないために他大学進学を選択する場合もあるかと思います。でも、あなたが気がついていない何かのきっかけを神様が作って待っているのかもしれない。
なので「どれを選択すべきか」は、最後は自分の責任のもとで決めて欲しいと思ってます。
高校3年生にそれを求めるのは酷かもしれませんが、「お母さんやお父さんがそういったから」「先生が」で決めてしまっては 後で後悔するだろうし、気持ちとしてモチベーションが入らず、どの選択でも不満足な結果になるはず。
アドバイスはもらったとしても、最後に決めるのは自分であって欲しいと思ってます。


手羽の知り合いで、高校時代「藝大やムサビタマビの油絵に行きたい」と高校の進路の先生に相談したら、「美大の油絵なんて卒業して就職先がないだろ。どうしても美大系に行きたいっていうなら日本大学芸術学部のプロダクトデザインにしろ。日芸も日本大学という総合大学の一つなんだから、そっちの方がいいに決まってる。デザインだし」と言われ、「そんなもんか・・進路の先生がそういうし・」とそのまま日芸プロダクトだけ受験し入学した人がいます。
でも結局自分がやりたいことと全然違ってて、中退してムサビ油絵に1年から入り直しました。
あ、ニチゲイがいけないってわけじゃなく(笑)、言いたいのは「高校の進路の先生・・・普通の大人の美大の知識なんてそんなもん」ということと「他の人の意見は参考にしてもいいけど、最後は自分が決めないと入学してから後悔するよ」ということ。今だと「東京の美大に入れるより、地元の大学に多くいれた方が高校の評価ポイントが高い」てな嘘みたいな本当の話がありますしね。

どんな結果でもポジティブに捉えた方がうまくいくはずです。
今は自分の運と縁を信じましょ。

ただ。
第2志望先を選択した場合は、
「あ~あ、本当は藝大に行ける実力を持ってる自分なのに、こんな大学なんて」
等と口に出してたら、それで終わり。
ムサビにも 「本当は藝大に行ける実力を持ってたはずなのに。ムサビなんて」と人前で言ってる人が時々います。心で思ってこっそり仮面浪人すればいいのに、これは自分の弱さを露呈してるだけに過ぎず、そんな人がいい作品を作れるはずがなく、実際にあんまり良くないことが多いです。

「私を落とした大学の先生め!私の実力を見るがいいわ!」ぐらいの気持ちの方が人生楽しいんじゃないでしょうか。たまたまムサビやタマビの先生があなたの絵に興味を持たなかっただけで、それだけのこと。 「ムサタマの先生は見る目がない」でとりあえずはいいと思います。
また、どうしてもその大学に行きたいのなら「編入」「大学院」という手もありますしね。


というわけで、#美大受験シリーズはこれにて終了します。
23日に向けてしばらく定期更新は休みます。


以上、昨日の朝、ニュースを見ながら
手羽「電グルが昔好きでね。あ、ピエール瀧の肩書きは俳優でもミュージシャンでもなく、『ピエール瀧』なんだよ」
リンクロウ「へー。カッコいいじゃん。じゃ、お父さんは?」
手羽「お父さんは・・・美大愛好家」
リンクロウ「・・それでいいの?」
という会話があった手羽がお送りいたしました。


そ・れ・で・い・い・の?

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中