【#美大受験 2019】「倍率」は全然参考にならないって話 2

2019年2月11日(月)

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美大受験生の疑問にお答えする「#美大受験」シリーズをお送りしています。

#美大受験 では、ムサビ、または関東美大の一般受験入試(AOや推薦入試じゃない)を具体例で使ってますが、基本的な部分はどの美大受験にも参考になると思います。
これまでの話はこちら。
手羽オススメの美大・美術予備校漫画はこれだ!
東京五美大2019一般入試スケジュールと受験生にアドバイス
交通に関する9つのアドバイス
東京4美大2019年度一般入試志願者数(確定版)から言える1つのアドバイス
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美大実技試験に関するたった1つのアドバイス
美大の学科試験に関するたった1つのアドバイス
入試日朝に中央線が止まった。さあ、どうする?
「倍率」は全然参考にならないって話 1
雪の日の対策は?

昨日東京造形大は合格発表があり、本日2月11日でムサビ入試は終了。
まだまだタマビ・日芸と続きますが、とりあえず東京造形・ムサビの志願者とスタッフの皆さん、お疲れ様でした!

今日は「去年と今年の受験者数・倍率比較ほど信用できないものはない」という話の続きです。


理由3つ目が「併願」
例えば、美子さんが●●学科と▲▲学科を併願し、なおかつ▲▲学科は一般方式とセンター方式を併用したとします。

併願などの全部の志願者数を足した数字を「総志願者数」「延べ志願者数」「見た目志願者数」と言い、通常大学が公表するのはこの数字で、ここでは「3」。
で、美子さんの人数を「実志願者数数」「実数」と言い、もちろんここでは「1」になります。
つまり、合格した時の選択肢は1つだけ・・・美子さんは一人だけなので、全部合格しても1つ以外は全部「蹴る」ことになります。

具体例を出すと、今日入試があるタマビの情報デザイン学科受験者はムサビのデザイン情報学科も受けてる可能性が高く、またデザイン情報学科受験者は視覚伝達デザイン学科や基礎デザイン学科などを学内併願し、なおかつ一般方式とセンターA方式を併用してる人が多いことが考えられます。
倍率が高いからといって合格者全員がそのままその学科を選択するわけじゃないから、本当の倍率はずいぶん下がるので、受験者数・倍率って参考にはなるけど信用はできないのです。


この「延べ人数」「見た目志願者数」をうまくブランディング広報に使っているのが、近畿大学さん。
こちらは昨年2018年度入試の主要大学志願者数一覧ですが、

近畿大が圧倒的トップで、推薦入試を含む総志願者数は前年より約2万8000人増加して、同大史上最高の19万人を超えています。
今年もメディアでは「速報値では6年連続で近畿大が志願者数1位!」と言われてますね。

ちなみに「日大さんは例の件でかなり受験生が減りそう」ってのは模試データからも出てましたが、こちらの記事によると、前年1月30日時点で10万人を超えてたけど今年同日時点で約8万5千人にとどまったそう。
個人的には、タマビ統合デザイン学科も例の件で翌年の受験生が激減したけどもう復活してるし、3年ぐらいでみんな忘れることを考えると、もしリンクロウが今年受験生だったら日大を薦めてたかも。
やっぱり日大ブランドってありますし。

あ、日芸は違う大学なので影響はないんじゃないかと(笑)

脱線しました。
んで、先生方から「近畿大学の広報を見習え」と言われた大学広報関係者も多いのではないでしょうか。確かにこの数年の飛躍はすごく、参考になることも多いです。

で何書いても妬みにしかならないのだけど(笑)、去年あたりから、ようやくメディアも併願をカウントしない「実志願者数」に目がいくようになりました。
実人数って生々しいデータなので公表してる大学はほとんどなかったんですが、この数年でずいぶん増え、週刊朝日さんが調べてくれました。
では、先ほどの表を「実志願者順」にソートするとこうなります。

実は近大さんって実志願者は3万人ぐらいなんですね。
1度の試験で複数併願できたり併願割引作ったり受験方法の仕組みで併願率を高め、「延べ志願者数」を高めてるわけです。千葉工大さんは1回の試験で最大17学科を併願できたりします。しかし併願率500%越えってすごい・・・。
この仕組み(仕掛け?)を先生でも意外と知らない人が多く、入試スタッフが「志願者数が増えた?すごいですね・・・で?」という反応を返しちゃうんで、先生に「うちの入試広報はやる気がない」と怒られたりしちゃうのです(笑)
あ、戦略的に延べ志願者数を増やすことを否定してるわけじゃなく、やっぱり総志願者数が増えた方がいいし、「行列が行列を呼ぶ」ブランディング広報はアリだし、法人運営的には受験料収入と関係する延べ受験者数もすごく大事だし、併願率が高いのは「複数学科受験してでも入りたい大学(ブランド力がある大学)」とも言えるわけで。

ただ、入学定員が厳格化されたことで難関大の受験を避ける傾向が強くなっていると言われてます。
「2年連続で延べ志願者が増えた!」と喜んでみたら、実はそれは第1ー3志望校ではなく「第4・第5志望校」の現れで、長い目で見たら危険な兆候だったりするし、他学科・他大学の滑り止めとしての価値が上がっただけで合格発表したら去年よりいっぱい辞退者が出た・・なんてことも考えられます。先生やOBが「●年連続で受験生増えた!」と喜んでるのを見てると「あ、あのー分析しないとなんともいえないんだけど・・・ま、いいか・・」と。

ちなみに「合格したらその大学を選ぶ(入学者÷合格者)」ことを「歩留まり率」といい、私立大学の歩留まり率平均は40%ぐらいと言われてます。
ちなみにちなみに日本の大学で一番歩留り率が高い(辞退しない)のが東京藝大で毎年ほぼ100%。つまり藝大に受かれば全員藝大にいくってこと。
ただここが難しいところで、歩留まり率が低いのは単純に「歩留まり率が低い=人気のない大学」にはならないんですよね。
ほんと入試データの読み方って難しい・・。


続く。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中