笑い8割感動2割!美大卒業生と現役美大生の演劇集団「舞台屋アホロ」

すでに懐かしい芸術祭。日頃の勉強内容とは少し違うけれど、美大生のクリエイティビティがいろんなかたちで爆発・炸裂する芸術祭だからこそ、それが強い動機になってその後の制作活動に影響している卒業生も少なくない。今回は、ムサビのepa!や劇むさをきっかけに、新しい演劇集団を立ち上げた、舞台屋アホロ代表の山口翔平さんに話をきいた。美大生による王道エンターテイメントへの挑戦!!

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「はじめまして。
舞台屋アホロ代表の山口翔平です。
舞台屋アホロは、僕が大学4年の春に後輩と立ち上げたコメディ専門の演劇集団です。」


— 今回PARTNERが注目したのは、今年の3月武蔵野美術大学を卒業した卒業生。
 学生時代の活動を通じて立ち上げた演劇集団について聞かせてもらう。
 まずは、代表の山口さんが大学ではどんなことを勉強していたのか聞いてみたい。




ほぼ常に舞台に関わっていた大学4年間

僕はデザイン情報学科でグラフィックデザインやwebデザインを中心に学ぶ傍ら、大学1年からずっと舞台関連のサークルに所属していました。


  • epa!2011「Jumafs」でパフォーマンスをする山口翔平さん

大学1年の芸祭:epa!のパフォーマンス班
※epa!:ファッションショーとパフォーマンスショーを融合したようなエンターテイメントショー)
大学2年の春:epa!のパフォーマンス班
大学2年の芸祭:epa!の総演出
大学3年の芸祭:epa? のweb担当
※epa?:この年は少し趣向が変わり、epa!からepa?になっていた
大学4年の春:演劇サークルの劇団むさびの役者

ご覧の通り、4年間、ほぼ常に舞台に携わっていたことになります。




大学4年で立ち上げた新しい演劇集団・舞台屋アホロ
プロの劇団にすべく活動中!


アホロを立ち上げたのは、僕が大学4年の春。昨年2014年のことです。
劇むさ(劇団むさび)の役者をやりながら、「自分で作・演出してみたい」「コメディを作りたい」という思いのもと、同じく役者をやっていた田中義樹とともに舞台屋アホロを立ち上げました。大学4年の6月に舞台屋アホロ初回公演「アホロ」、大学4年の卒業間際(というか卒業式後の3月末)に第二回公演「コモーディア!」を、在学中二回の公演を行いました。


  • 第二回公演「コモーディア!」の様子

第二回公演「コモーディア!」は、春休み期間中に武蔵野美術大学内で上演したにも関わらず、約400人のお客様を動員。現在は12月2日〜6日に荻窪小劇場にて上演される第三回公演「お家に帰るまでがテロです」に向けて活動中です。

僕自身今年の3月に卒業した後、実はカナダのWebデザインの学校に留学したのですが、舞台でプロを目指したいという思いが膨らみ続け、お恥ずかしながらたった3ヶ月で帰国しました。現在は、webデザインの制作会社でバイトをしながら、舞台屋アホロをプロの劇団にすべく、今回の公演「お家に帰るまでがテロです」に向けて活動中です。
僕は今回、作・演出・役者・広報として関わっています。

第三回公演のスタッフは現在17人、ほとんどが武蔵野美術大学の現役の学生、後輩たちと一緒に制作しています。一人だけ、音楽担当として国立音大の学生もいます。メンバーの多くがepa!・劇むさのOB・OGで、本当に優秀な人ばかりです。美大生の中でもレベルの高いものを作れる人たちが揃っていると自負しています。






舞台の醍醐味であり難しさ、それは「チームでひとつのものを作ること」


— 学生時代の原体験が原動力となって活動を大きくしていてすごい。
 学生時代の経験が今の活動にどう結びついているか、もう一歩深く聞いてみたい。


epa!でも劇むさでも、「美大生が何人も集まって舞台をつくる」ことがとても難しいということを知りました。epa!で総演出を務めた時は総勢約80人の上に立って指示を出していましたが、今振り返れば反省することだらけでした。劇むさでも、チームで動くことの困難さを知りました。「いいものをみんなで作ろう」というプラスの空気のまま最後まで走り抜けることがとにかく難しいのです。アホロではそれが出来るようにこころがけています。自分たちが楽しくやれているかどうか、とか、アホロ内でいい空気が出来上がっているかどうかは、本番でお客様に必ず伝わるからです。



「誰でも楽しめるエンターテイメントを作ることはかっこいいこと」
商業として成り立たせる、大衆受けを狙う、という挑戦


舞台屋アホロはより大きな劇場でよりたくさんのお客さんに、「笑い8割感動2割の王道エンターテイメント」を提供することが1つの大きな目標です。

これは、僕がアホロを立ち上げた大きな理由の1つなのですが、「わかりやすいエンターテイメント作品を作る美大生が少ない」という僕個人の思いがありました。これはepa!や劇むさをやっていて強く感じたことなのですが、ムサビには本当に「誰でも楽しめるもの」を作ろうとする人が少ない。「わかる人にわかればいい」という作品を作る人が多い。時には「説明的すぎる(わかりやすすぎる))とか「商業的だ」とか「大衆向けだ」といって「誰でも楽しめる」ものを嫌う人もいる。あまりにも、誰でも楽しめるものを作ろうとする人が少ないなと感じるんです。

僕はアホロを大きくしたいと思っているし、「商業として成り立つか」「多くの人に受け入れてもらえるか」ということは、作品作りにおいてとても重要だと思っています。僕は、アホロを有名にして、美大生に向けて「大衆ウケする作品を作ることも立派なことなんだ」「誰でも楽しめるエンターテイメントを作ることはかっこいいことなんだ」というメッセージを届けたいと思っています。


— そんな山口さんの想いは、公演の内容にも色濃く出ている。


「演劇に興味のない方でも楽しめる舞台」を目指すため、「面白そうなあらすじ」と「面白い脚本」に力を注いでいます。初回公演「アホロ」は、「アポロはファミコン程度の性能しかなかったらしい。ならばPS4を使えば火星に行けるのでは?」とひらめいた大学生がPS4を積んだ自作ロケットで火星に行く話。第二回公演「コモーディア!」は、喜劇でソクラテスを死刑にしようとする劇団に、うっかりソクラテスが紛れ込んでしまう話、そして第三回公演「お家 に帰るまでがテロです」は、酔った勢いでテロリストになってしまった男たちがネット動画で革命を起こす話です。


  • 初回公演「アホロ」

  • 第二回公演「コモーディア!」



‥‥いかがでしょうか?
演劇に興味がない人でも見たくなるようなあらすじを目指しています。
「脚本の面白さ」がアホロの強みです。



ついに舞台屋アホロがムサビから飛び出す!
荻窪の劇場で「誰でも楽しめるエンターテイメント」

— 今回の公演ではテーマが「国会テロ」。昨今の情勢の影響も感じさせるようなタイトルですが。

今回の題材は「国会」「テロ」「革命」そして「ネットの動画配信」です。
しかしアホロの今回の作品では、日本の政治情勢に対するメッセージといったものよりも、それに振り回される「個人」に焦点を当てています。あまりここを事前に話してしまうとネタバレになってしまうので詳しくは話せません。
政治を扱う話ではありますが、あくまで「誰でも楽しめるエンターテイメント」であり、お話を楽しむために特別な知識は必要ありません。

今度の「お家に帰るまでがテロです」は、初の学外公演で、プロを目指すための最初の一歩となります。どうぞ、普段演劇に興味のない方も、騙されたと思って見に来て下さい。きっと楽しい時間を提供できるとお約束します。それでは、劇場でお待ちしております。

舞台屋アホロ代表 山口翔平




▼公演概要


舞台屋アホロ第三回公演

「お家に帰るまでがテロです」


会場:荻窪小劇場

公演日程:
12月2日(水) 16:30〜、19:30〜
12月3日(木) 19:30〜
12月4日(金) 16:30〜、19:30〜
12月5日(土) 16:30〜、19:30〜
12月6日(日) 13:30〜、16:30〜
※開場は開演の20分前となります。
※上演時間は約70分を予定しております。

料金:
学生 1000円 ※/1200円
一般 1800円 ※/2000円
※平日シェア割適用時200円引きとなります

あらすじ:
デモじゃなんにも変わんねぇ!と、酒に酔った勢いでうっかり国会議事堂の総理大臣室を占拠してしまった男たち。酔いが覚め、これが日本で最も重い罪である内乱罪にあたると知り怖くなった彼らが生きて帰る方法は1つ。ーこの国の英雄になることー 彼らはネットの動画配信で革命家を名乗りだすが・・舞台屋アホロが贈る、アホ籠城内乱エンターテイメント!

スタッフ:
作・演出 : 山口翔平
原案 : 田中義樹
出演 : 山口翔平 田中義樹 井上森人
舞台監督 : 飯野美穂
会計 : 並木愛美
演出助手 : 齋藤梧太
舞台美術 : 本多悠悟 矢口由奈 鈴木陽
照明 : 斎藤碧 渋谷みなみ 河端仁美
音響 : 石井美帆 内田運久 塩澤菜生
衣装 : 松井彩
広報 : 山口翔平 五味春佳
映像 : 井上森人
代表 : 山口翔平


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